狩野川の上流部、天城山の北西麓を流れる本谷川から流れ落ちる「浄蓮(じょうれん)の滝」。伊豆市湯ヶ島の観光名所として、また「日本の滝百選」として多くの観光客を集めています。
多分に思い込みなのですが、「滝」観光は一般道から山道経由で大変、しかも滝までの道は駐車場から結構な距離の徒歩なのでこれまた大変・・・と、最初っから敬遠していたので、まさかあの有名な滝が道路沿いのすぐ横にあるなんてこれはもう本当に想定外。
元々、滝を見るのは大好き。できれば日本各地の有名な滝は見ておきたい。でも山道が・・現地までが・・等々で敬遠していただけ。急きょ予定を変更して駐車場に車を入れ、早速滝道へ。古い道標には「此(より)奥浄蓮瀧道」。
当然ですが滝に続く石段は急。それでも手摺りもあるし広さは充分。焦らなければ大丈夫、ご亭主殿もちゃんとサポートしてくれるし(*^^*)
やがて聞こえてくる、ドウドウと滝の音・・・あたりの空気は更に冷たさをましていき、その代償のように周りの全てが澄み切っていく感覚。真っ白な水の塊が、深い青の中に落ちていく・・・飛沫は同じように白いのに、水は青のまま。それは、神秘的という月並みな言葉が、決して陳腐に感じられない「神秘」に満ちた光景。
1万7000年前、伊豆東部火山群の鉢窪山スコリア丘が噴火した際に流れ出したとされる玄武岩溶岩流。 この溶岩流の壁を流れ落ちる瀑布(ばくふ)の落差は25m、幅は7mにも及び、圧倒的な存在感で私を出迎えてくれました。
滝つぼに近い岩盤には、まるで緞子の裾を絞ったように美しい、柱状節理の壁。
滝の左手の洞穴部には「ハイコモチシダ」の群生地があり、県指定の天然記念物になっています。
1917年に国内で初めて浄連の滝で群落が発見された為、別名を「浄蓮シダ」と名付けられたとか。 その昔、この滝には非常に美しい「女郎ぐも」の化身が棲んでいたと云う・・、それはもしかしたら、あの水煙の向こうのずっと奥だったのかも・・
「浄蓮」の名は、かつて滝の付近に「浄蓮寺」という寺があったからと云います。更にその名を有名にしたのは『石川さゆり』が歌った「天城越え」の一節。「寝乱れて 隠れ宿・・九十九折り・・浄蓮の滝」と書きながら思わず口ずさんでしまうほど、実はカラオケでは十八番の一つ(笑)。歌詞碑の前には、昭和の森・俳句大会最優秀作品の句碑。【こだまして 定まる浄蓮 滝の丈】
名残は尽きませんが、さりとてずっとここにとどまる事は出来ません。この後は山越えで次の目的地に向かわなければならないのです。すでに思った以上の時間を費やしています。さぁ・・駐車場へ引き返さなければ。
尽きることなく流れ落ちる瀑布は、峻烈な冷たさを保ったまま岩間を抜けて流れ、川と平行に作られた「山葵田」はつややかな一面の緑。
滝道の一画。この岩の洞窟も流れ出した溶岩流が作り上げたものなのだろうか・・・人の力の何とか細い事。自然の力の何と強大な事。
何が祀られているのか分からない祠に、二人揃って、もう一度この先の旅の無事を祈って手を合わせよう。びっしりと貼られた紙札は、その枚数だけの人の願い。滝口の祠だから祀られているのはお不動様かもしれないね。
「浄蓮の滝」を後にして向かった「道の駅:天城越え」。本来なら次に向かうのは「天城隋道」でしたが、地図で見た連続カーブの山道にあっさり却下(^^;) かといって最寄の駐車場に車を停めて歩いて往復できる程の健脚でもないし体力も無し。あれもこれも欲張れば、結局予定消化の為だけで疲れ果ててしまうからね。
訪問日:2011年11月8日
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます