昨年末から梨木香歩の「渡りの足跡」を読み返していて
「デルス・ウザラー」という名前が出て来た。
100年以上もまえに、未開の地であった極東ロシアを探検したアルセニエフという探検隊の
案内役をつとめたのが、ゴリド族のデルス・ウザラーだった。
この名前にはだいぶ前に聞き覚えがあって
それは図書館にあった子ども向けの絵本のタイトルだった。
とても美しくまっすぐな水彩で、こまかくこの地の動物、虫、厳しい大地のようすが描かれていて
その場で読んで、でも借りずに通り過ぎてしまった。
テレビの衛星放送でも深夜にこのタイトルの映画もやっていて
録画はしたものの、見る時間もなくどっかにいってしまった。
監督は黒澤明だった。
今度は流してしまわないよう、しっかり借りる、それも2冊。
絵本のはじめに訳者のこどばがある。
デルスは、うでのよい猟師で、森のこと、天気のこと、動物のことなどなんでも知っていて
あぶないときに探検隊をたすけます。
デルスは、クマや霧や魚や星を「ヒト」とよび、たき火や川、魚やトラなどの動物たちとも
わけへだてなく話します。
きびしくうつくしい自然の中で猟をしながらずっとひとりでくらしてきたデルスは
人がいちばんえらいのではなく、人もおおきな自然の一部分にすぎないことを
よく知っています。
だから自然のことばがわかるのかもしれません。
つかまえたえものは民族のわけへだてなく分かち合い
タヌキやカラスやアリのことも気づかっています。
(部分抜粋)
自分のなかにもデルスがいたらとてもいいな。
すこしでもいてほしい。
挿絵にもデルス自身が持っていたであろう生き物すべてにむかう愛情、のようなものがある気がする。
うちのちかくにもいる鳥が出ててちょっとニッコリ。
高度経済成長で日本が浮かれているときにこの映画を作ったというのはやはりすごい。失っていく何かを黒澤監督は見ていたのでしょうか。
いま紀行文を読み続けていますがほんと面白いです。
書き手のアーセニエフの観察眼も個性的で、自然の地形を学術的に見る目、植物や鳥、動物を観察する眼、そして原住民のおじいさんを見る目、デルスを見つめる目。。。それは愛情がこもっていました。
探訪のあとデルスは街に連れて行かれるけれど薪を得るのにお金を払うことをどうしてもデルスは納得できない、樹々があるのになぜ金払って薪を買う?
お金を出して何かを買うということに支配され過ぎているんですね、当時からもちろん現在も。
それにしても、1975年のこの映画、日本の好景気はもう始まっていたのに、「世界のクロサワ」が資金難で映画が作れず、ソ連のお金に頼らなければならなかったなんて、金持ちは何のために存在しているんでしょうね。
ただ文章は長くないのでデルスの細かな想いや、アーセニエフとの友情などは書かれていません。
いまわたしが図書館で借りて読んでるのは地球人ライブラリーから出てる「デルス・ウザラ」で、これみーちゃんなら読めます。
「渡りの足跡」に出て来るのは「おれ にんげんたちーデルスー・ウザラーはどこに」だったっけ、アマゾンで調べたらこの本の表紙とてもステキ。これも読みたいね。
ゆきこさんも梨木香歩すき?
さむい冬は「渡りの足跡」読み直すのにいいよね。
絵本は細かいところまで描き込んであって、見入ってしまいます。
(ただ話の内容はやはり子ども向けにみじかくなってました)
ありがとう!絵本探してこよう。絵がまたいいね!