今秋上程予定の「劇場法」により、日本の公共劇場は大きく変わろうとしている
NPO法人アートファーム創立20周年プレ事業・連続公演シリーズ「舞台芸術 -地域との対話」の二回目、平田オリザ「公共劇場とは何か ~劇場法がもたらす地域の文化政策改革~」を、昨晩は聞きに行った。
最近は夜に外出するのが何とも億劫となり、昨日も一度はパスしようかと考えたが、大枚3,000円も支払って「全五回通し券」を購入しているし、「やはり、行くべし」と頑張って行った。
「病院は医師、学校は教員を抜きには運営できないのに、劇場だけは市民の力だけで運営できると思われている。舞台人として情けなく思っている」、講演の中で、平田オリザさんが「劇場法」について語りながら、何度も繰り返された言葉だ。
全国に3,000近くあり、「劇場大国」と言われている日本の公立文化施設。この公立文化劇場が、今秋の国会に上程が予想されている「劇場法」で大きく変わろうとしていることを、詳しくお話しいただいた。県からは文化行政を担当している部長さんが、岡山市からは担当課長さんを始めとして多くの行政関係者の方々も参加され、熱心に学ばれていた。
私も一時期文化行政を担当しており、平田オリザさんが指摘した公立劇場の実態について、反省とともに聞いた。今日、その仕事を離れて過ごす中で、あの時に改善しておけば等の反省も含めて、恥じ入ることがとても多い。
ともあれ、今後の公立劇場については、劇場法の下で、①貸し館を止めて、やる気のある劇場は、拠点として定めて地域に貢献する、②劇場を階層化し、役割を定めて担ってもらう、③館専属の芸術監督やプロデューサーを置くことを義務化する、とのことだ。
これにより、現在の日本の3,000弱の公共劇場は、芸術監督や芸術プロデューサー等を必置する創造・発信の拠点となる劇場や創造や鑑賞の拠点となる劇場群と、それ以外の貸し館だけの2,000位の劇場に大別、淘汰されていくとのことだ。
「劇場法」により、日本の芸術・文化さらには劇場が変わろうとしており、国民的な議論をもっと深めることも大切になっていると考えた。 正直「劇場法」についての学びは、私自身ずいぶんと遅れていることも痛感した。
(社)日本芸能実演家団体協議会(芸団協)が、既に「劇場活性化プロジェクトの検討」(第一次~第四次)等も発表している。こうした文書も読みながら、私自身も考えてみたい。
それにして平田オリザさんの講演は、とても具体的で示唆に富むものだった。しんどかったけれど、参加して良かったと心底思わせてくれた講演会だった。主催された「NPO法人アートファーム」と大森誠一さんに心から感謝した。