北村明子著『だから演劇は面白い!」はビジネス書、興味深く読んだ
北村明子著『だから演劇は面白い! 「好き」をビジネスに変えたプロデューサーの仕事力』(2009年、小学館新書)を読んだ。北村明子は、その著書に書かれた「経歴」には次のように書かれている。
「85年から野田秀樹率いる劇団『夢の遊眠社』の営業マネジメント、制作を担当。その後、野田秀樹の舞台制作会社『NODA・MAP』を立ち上げる。そして『夢の遊眠社』のマネジメント部門を独立させた『シス・カンパニー』による舞台制作も98年からスタート」とある。
筆者のこれまでの活動の中での経験を文章化しており、副題に「仕事力」が入っているように、まさにビジネス書として読むと抜群だ。新書版の本の帯には、「なぜ彼女の仕事はすべてが黒字なのか?」と書かれていることからもわかる。
彼女のビジネスは、「台風の日はどこの事務所も行かないから営業し放題」だから、マネージャーに「台風の日こそ行きなさい!」と言い、「台風のシスカンパニー」と呼ばれているとのことだ。
こうした「シス・カンパニー躍進の秘訣」が、わかりやすく書かれている。少しだけ紹介すると、「マネージャーこそ魅力的であれ」、「電話で終えず、会いに行く」、「分厚い企画書だけでは人の心は動かせない」等々で、結論的には人を動かしていくのは「誠意と熱意しかない」とのことだ。
そんな本だが、この本の中には私がとても興味を持っている野田秀樹やその他たくさんの俳優さん達が登場してくるので、とても楽しく読めた。「シス・カンパニーの一員である堤真一を舞台や映画では主演させるが、テレビでは主演させない」等も、とても興味深かった。一読をオススメする。
さて私は、劇団「夢の遊眠社」や「NODA・MAP」、そして「シス・カンパニー」の舞台を結構観ている。そして、松たか子だけでも3本出演した舞台がある。
*2003年 NODA・MAP『オイル』 作・演出:野田秀樹
*2005年 NODA・MAP『贋作・罪と罰』 脚本・演出:野田秀樹
*2007年 舞台『ロマンス』 作:井上ひさし 演出:栗山民也
しかし、松たか子のことは一度も登場してこない。宮沢リエは、とても才能豊かとずいぶんとほめているのに。少しだけ悔しい気がする。それにしても、いつも松たか子のことが頭にある自分を、美智子妃殿下ではないが「おかしがっている」。