記録映画「ニッポンの嘘」を観た、写真家・福島菊次郎の生き様に魅せられた
正直に告白するが、私は福島菊次郎という写真家について、知識は皆無だった。しかし昨日観た記録映画「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」の冒頭から、圧倒された。まずはその風貌である。胃がんを手術しているとのことで、体重は37㌔。そして「法を犯してはならない。しかし問題自体が法を犯したものであれば、報道カメラマンは法を犯してしてもかまわない」と平然と、カメラ教室の講義で語る。
その福島菊次郎のカメラマンとしての出発は、ヒロシマのヒバクシャの撮影。一人の漁夫である被爆者をカメラで追い続け、写真集「ピカドン ある原爆被災者の記録」を発表。日本写真批評家賞特別賞を受賞し、その後プロとして活動するため上京している。しかし一方では、その撮り続けた方が亡くなられた後に、ご家族から厳しい言葉を投げつけられ衝撃を受ける。
原爆投下を「人間の歴史に類のない殺人」と言い切り、その後権力との対峙は続く。「この国を攻撃しながら、この国から保護を受けることはできない」として、年金受給を巨費。その時々の原稿料などで暮らす。すざましい生き方だ。25歳でヒロシマのビバクシャの撮影を始めて、今や90歳。その福島菊次郎は、昨年の3・11以降にフクシマに行き撮影もする等、自らの信念を貫き通して、カメラマンとして生きる姿は崇高である。帰宅して早速、写真集や著書の予約カードを書いた。
そうした福島菊次郎の姿を追い続けた映画「ニッポンの嘘」は、素晴らしい記録映画だ。こうした映画が製作されたことを嬉しく思うし、この映画が観られるのもシネマクレールがあればこそだ。しかし、昨日の私が観た回の観客は、私を含めて6人だった。より多くの方が観て、時代の嘘と真実について考えてみては如何。と同時に、シネマクレールで映画を観て欲しいと願う。
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