tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

民主主義の危機は世界で深刻化の様相

2024年02月09日 14時20分23秒 | 政治

ロシアの大統領選挙が近づいています。結果はすでにはっきりしていてプーチン現大統領の圧勝という事のようです。殆ど誰も疑わない所でしょう。その理由は単純で、野党を率いるナワリヌイ氏はシベリアの奥地に収監されていますし、新たに立候補を表明したウクライナ侵攻反対のナデジディン元下院議員は選挙管理委員会が書類の不備により立候補を認めないことになったからです。

アメリカの大統領選挙も大変なようです。世論調査では、共和党のトランプ前大統領38%、民主党のバイデン現大統領37%、無所属の新人ロバート・ケネディJr 21%といった数字が出ているそうです。

常識的にはバイデン氏とトランプ氏の争いですが、トランプ氏は、大統領末期の国会乱入事件でコロラド州最高裁の立候補の資格なしと判断され、連邦最高裁での弁論が始まっています。

連邦最高裁の判断がどうなるかですが、選挙戦の在中ですから司法が決めるより選挙の結果に従うのが民主主義という意見もあるようです。

もし、最高裁緒判断が、立候補の資格なしと出れば、三権分立ですからそれに従がうことになるのでしょうが、何やらロシアの場合と同じようだ、などという意見も出て来そうです。

勿論、ロシアのような独裁政権の国の話ではないので、司法の決定は決定的な重さをもつのでしょうが、ちょっと見には、政敵に立候補が認められなかったので勝ったように見え、何か格好が悪い印象になりそうです。

どんな結果になるにしても、民主主義を大事にするという立場からは、何事も投票、選挙で決めるというのが最も良い方法という事になるのでしょうが、アメリカの場合を見てきますと、トランプ大統領の時代にはトランプさんの独裁的な行動が目立ち、対中国では対立の激化、北朝鮮とは結局何の効果もなかったスタンドプレー、国連関係や、多国籍交渉の分野では、自国優先で世界には迷惑をかけるような姿勢が目立ちました。

世界に責任を持つべきアメリカでも、国民の多くに「自国優先」、「アメリカを偉大に」、「アメリカファースト」が人気なのです。

翻って日本を見れば、支持率が30%を切るような政権が、閣議決定で国の運命を変えるような政策を次々に打ち出して、一般国民や民間企業の目で見れば、当然脱法であり脱税であるといった行動が、日常茶飯で行われています。

それを国会で追及されても、公開されるべきものが公開されず、誰が聞いても嘘と分かるような答弁が連日繰り返され、知性も恥の文化もなく、民心を逆撫でするような政権維持行動が進んでしまっている状況です。

民主主義というのは、基本的には人間の倫理性と誠意と責任感の上に成り立つものだという事が、この所世界中で忘れられているような、民主主義の「明らかな誤用」が一般的になって来ているような気がします。

そんな中で、日本、日本人に出来ることは、先ず、日本だけでも、これがまともな民主主義国ではないでしょうかと世界に向けて言えるような国になるという真剣で力の入った真面目さを追求する事ではないでしょうか。

どうでしょう、もともと生真面目な日本人です、本気でやってみませんか。


野党党首は政策構想を熱く語れ

2024年02月05日 13時49分36秒 | 政治

自民党の真の姿、対米従属、主権放擲、政権執着、金権に繋がる拝金思想といった主権国家の政権担当に不適切な要素が丸見えになってきたのが最近の状況です。

此処まで来てしまうと、国民のほとんどは愛想を尽かし、自民党の内部にもさすがに問題意識を持つ人も出て来ている様です。

この辺りは、世論調査の内閣支持率に示されているところですが、それでは総選挙をやれば自民党は政権政党から転落すると誰もが思っているかと言いますと、どうもそうではなくて、やっぱり自民党が第一党になるんじゃないですかとい人も多いようです。

なぜそうなるのか解らないという人もいますが、野党に票が入らないとう事は、自民党を批判しても、それなら野党に頼むという気にならない、という微妙な心理が働いているようです。

そうなると、問題は野党の方にもあり、それも野党の責任の方が大きいのではないかという意見も出て来るようです。

その尻馬に乗るわけではありませんが、考えてみますと、じゃあ自民党に下りてもらって野党に政権を託そうと考えた場合、なんだか野党の容器が小さ過ぎて日本という大きな存在を盛ったら、盛り切れずに溢れてしまいそうだと感じるからではないでしょうか。

これは端的に言って、野党が小党分立だからという事もあるでしょう。しかし、日本の政治は政府がすべてやっているのではありません。かつては政府が頼りなくても、日本は官僚組織が確りしているから大丈夫などとよく言われたものです。

では、政党は何をやればいいのでしょうか。国民が政党に期待するのは、それぞれの党が、党是として、多くの国民の望むような国の在り方の構想を国民に常に示し、一旦政権を取れば、それを官僚機構も総動員して実現に邁進するという明確な意思表示でしょう。

多くの国民はそれを望んでいるのでしょうが、残念ながら現状を見ていますと、野党の多くは、自民党の失態追求にほとんどの精力を使っているようです。

国民が呆れている政権党の失態を追求することは楽でしょう。マスコミも応援して「追及が甘い、責任を取るまでやれ」と言った調子ですSが、追求だけでは政権は取れないという点に思いを致すべきでしょう。

野党の党首は、「自民党では出来な事を我々はやる」、という主権国日本の在り方を、この際、国民に真剣に熱く語ることが必要でしょう。

日本は戦争をする国になるのかならないのかといった国民が最も危惧する問題、関連する重要な外交問題、日米関係、日中関係、国連関係などなど、国内問題では、政治の在り方、政治資金の在り方、経済政策、税制、社会保障などなど、政治と国民の関係を中心に、日本の国家構想を国民に熱く熱く語ってほしいと思います。

それこそが野党党首の為すべきことでしょう。国民は、絶望半分の中で、そうした政治家の出現を熱望しているのではないでしょうか。


自民党は党名を変えるべきでは?

2024年02月03日 16時24分38秒 | 政治

自民党の本当の名前は「自由民主党」です。これは素晴らしい名前です。国民が何故か選挙になると自民党に票を入れるのは、多分、この素晴らしい名前が国民の安心感を呼ぶからではないでしょうか。

ところで、「名は体を表す〕という言葉がありますが、今日の状況を見ていますと、この党名は全く体を表していないようです。

「名前負け」という言葉がありますが、余り名前が良すぎて、中身が名前に追いつかない状態の今の自民党だったら、名前を変えた方がいいように思われます。

自由党と民主党が合同して出来たからというのが歴史でしょうが、こうした立派な名前を決めたからには「名は体を表す」ような立派な「リベラル・デモクラティック・パーティー」になってもらわないと国民が迷惑します。

まず「自由」ですが、これはリベラルの翻訳です。リベラルという英語は、本当の自由の在り方を表すものです。

大学には教養課程というのがありました(今もあります)これは「リベラルアーツ」の翻訳です。リベラルアーツはギリシャ時代の「文法、論理、修辞、算術、幾何、音楽、天文」の7つの学問を修めて天の摂理を知り1人前の教養人というのが起源で、それぞれの時代に必要な教養人としての学問を修めることの大事さを教えるものです。

東洋思想を借りれば孔子の言う「不惑」の境地、更には「己の欲する所に従いて矩(法)をこえず」のように十分な知識教養を持てば人は過ちをしないという事でしょう。

リベラルを体現するためには、人はそれだけの教養人でなければならないのです。

次に「民主」これもギリシャに起源をもつ「デモス」(一般的な人々)から進化し、一般的な人々が主権を持つ政治体制を意味する言葉となり今日に至ると考えられています。

今、世界は、民主主義と独裁主義の対立に苦しんでいます。宗教や人種の対立もありますが、そうした対立が戦争に至るのは、どちらか、あるいは双方が独裁主義的な政治体制にあるときです。

80億になろうという世界人口ですが、そのほとんどは「一般的な人々」です。そして、この人々は平和と安定、豊かで快適な社会を望んでいます。ならば、民主主義である限り、戦争は起きないはずですが、民主主義の中で独裁者は出現し、往々「一般的な人々」の生命と財産を犠牲にする戦争を好んで進めるのです。

今、世界が心を痛める戦争はプーチンという独裁者、ハマスという独裁組織、ネタニヤフという独裁者が居なければ起こり得なかった事でしょう。その意味で、今の人類社会にとって、独裁者を出さない事は最重要の課題です。

こうした視点から今の自民党を見れば、自民党という組織はリベラルの名を冠しながら、総理一強の体制を望むリーダーとそれを善しとする少数の人間、後はトップの決定に異を唱えない物言わぬフォロワーの集まりのようです。

裏金問題では、制度上も、税制上もおかしいと思いながら、上が言うならと従う人々ばかりの様です。リベラルの意識が少しでもあれば、「自らの判断」を明確に発言する確たる自由思想と教養に基づく行動が続出する組織であるはずです。

こうした発言もなく、トップが言うならそれに従うという行動は民主主義を蔑ろにし、独裁主義への道を開くものでしょう。

自由主義の本来であるリベラルな思想行動を忘れ、トップの意向を安易に鵜のみにする(忖度も含めた)独裁に従う心理が一般的な組織は、どう考えても「自由民主党」の名に値するものではありません。

「名が体を表さない」場合、道は2つ、名を改めるか、体を改めるかです。リベラルの神髄があって、初めて民主主義は健全に機能するのです。

日本を代表する「選良」たちが、如何なる発言と行動を国民に見せるか、自由で民主的な国である日本の国民も、己の良識を駆使し、行方を監視しなればならない様です。


混沌の 政治の中で 年は暮れ

2023年12月29日 14時36分38秒 | 政治

令和5年、2023年も暮れようとしています。新聞の紙面にも、テレビのニュースにも、新しい年は来るけれども、来年の日本はどうなるのかなと気に懸る事の多い年の暮れです。

国会の解散があるのか、総選挙になるのかなどという声もあった中で、岸田政権は、日本は平穏無事であるがごとくに、国債を発行して、岸田流経済対策を掲げて内政、外交に忙しいようです。

しかし今年の日本経済はあまり良いものではありませんでした。春闘の賃上げが少し高かったという事で、日本経済も元気が出るかと思いましたが、政府の意に反して物価が上がり、実質賃金の対前年マイナス記録が連続19カ月に伸びています。

良いことを探せば、円安が急進、輸出関連企業の為替差益が拡大、日経平均3万4千円に近づいたりしましたが、これはマネーゲームの世界で、先行きは不透明です。

良くない事の方が圧倒的に多い中でも、政治とカネの問題は異常でしょう。実はここまでひどい状態だったことが、安倍さんが居なくなったので明らかになったようです。

事は安倍政権の時から深刻化していて、裏金が自民党の中では裏金でなくなっていたようです。外と中では倫理基準が違うという異常な事になっていたのです。

何故こんなことになったかと言えば、成長と分配の好循環ならぬ「政治権力とカネの好循環」を作り出し、自民党の長期政権の基礎固めが目的だったのでしょう。

そして政治家は、国のためを言いながら、内実は選挙に勝つ。政権維持こそが最大の目標といった意識に捕らわれてしまったのではないでしょうか。

政治とカネの問題と並んで、沖縄の基地問題も、日本人の心を暗くしている大きな要素です。沖縄の民意とは裏腹の事が国の力で強行されるという、民主主義と違うのではないかという現実が進み、今日が国の代執行が始まる日でしょうか。

事は総てアメリカの方針に沿って進められているという見方が一層強くなっているようですが、状況証拠としては、その可能性が大きい事を多くの人が感じているようです。

政治とカネの異常さ、沖縄の民意の無視といった報道が日本国民の気持ちを暗くしている中で、嘗ての武器輸出三原則の見直しが進んでいる事も、国民の心を暗くしています。パトリオットを日本で作り、アメリカに輸出する事を決めたようです。

これにはロシアが即座に、それがウクライナで使われれば日本にとって重大な結果をもたらうすとコメントしています。

日米関係の裏表、我々には知らされない事ですが、嘗ての経験、現在の諸状況から判断すれば、アメリカの意向には、日本国民の意見と相容れなくても従おうとするような政権の態度を感じます。

残念なことですが、日本の主権は日本の国民に在るという民主主義の基本を現政権はどう考えているのかと一層気持ちを暗くする年の暮れではないでしょうか。

それだけに来年への期待を一層強めるところです。


日本も再び独裁国家への道を辿るのか

2023年12月25日 16時24分21秒 | 政治

今朝の報道でかつてはソ連邦の機関紙だったイズべスチア紙が、ロシアの主要産業で人手不足が深刻と報じているというのがありました。

一方で、プーチンは政府の会合で、ロシアの失業率は記録的な低水準にあり、実質賃金も増加している、と自讃しているという報道もありました。

端から見れば、皆ウクライナ戦のせいで若者に動員令を出せば人手不足は当然で、若者の戦争の犠牲者や国外脱出が増えて人手不足で賃金上昇も当前と解ります。

正にロシアの悲劇の中の喜劇という感じですが、恐らくロシアではプーチンの発言を良い事と肯定する人が大勢いるのでしょう。

小学校6年生の夏まで、軍部独裁国日本の教育を受け、大本営発表が正しいと信じていた自分を省みる独裁性の恐ろしさを経験してきた世代としては、ロシア国民の多くがプーチンのいうように、賃金上昇で結構せすと思っていても、それもありうると思うのです。

それだけに独裁国とは恐ろしいものという感じを強くするのですが、よく考えてみれば、今の日本もその方向へどんどん舵を切っている事に気が付き、一瞬背筋に寒さが走ります。

独裁国家が成立してしまってからでは遅いのです。成立する前に国民が気付き、進行方向を変えなければならないのですが、ここは独裁者と国民の知恵と力比べという事になるのでしょう。

日本の独裁化が顕著に進み始めたのは2013年の第二次安倍政権の成立からでしょう。
長期不況からの脱出がままならず、国民の不満が累積というタイミングで打ち出された「決める政治」というスローガンは、国民に受け入れられたのでしょう。

日本経済不振の最大の原因だった円高を、日銀と図って一挙に円安に変えた金融政策は、国民に「頼れる」という感じを植えつけたのではないでしょうか。

それ以降の経済政策の大半は失敗でしたが、安倍総理の嘘も含めた爽やかな演説に引きつけられた国民も多かったようです。

その結果が、集団的自衛権、敵基地攻撃能力、武器輸出の再開、おまけのカジノ3か所開業という国民の望まぬ方向への展開になったという事でしょう。

それを可能にしたのが、「決める政治」を肯定した国民を次第に「独裁制」に慣れさせるための意思決定機構の改革です。

具体的には、官邸への権力の集中、これには人事権の掌握が大きな役割を果たしています。
そして、国会論議に頼らず、閣議決定で基本的な国の進行方向も決め得るという国の意思決定方式の既成事実化でしょう。

そしてその後の自民党政権も、「なんでも官邸主導で決められる」というのは使い勝手が良いからでしょう、その方向でどんどんも事を進めて行っているようです。

国民は殆ど反対ですから、内閣の支持率はどんどん下がります。
しかし高齢者は昔の様に国会に押しかけてデモをやる元気はなく。若者は、政治に無関心になっているようです。

野党は、完全に与党のペースに乗せられ、こまめに反対はしても、現政権と違った健全な国の進路を構築し、現政権と対峙する国家の構想を国民に語るまでの努力はしません。

その隙を狙って、アメリカはアメリカの都合の良い様に日本を動かす努力を着々と進めて来ています。

いま日本は、大げさな表現ではなく、国の進路を誤るか正すかの岐路に立つのでしょう。
今の内なら、未だ正す可能性はあると思っています。

やらなければならない事は、内閣支持率の低下の「数字」を「行動」に表わすことです。
多分それは、下がりに下がった投票率を、民主主義の基本に則って確りと上げるだけで良いのではないでしょうか。
そうすれば嫌でも、あるべき日本の針路についての議論が本格化するでしょう。

防衛力整備計画と為替レート

2023年11月29日 14時06分40秒 | 政治
岸田政権からよく聞かれる言葉に「国民の生命と財産を守る」というのがあります。
振り返ると安倍政権のころからこの言葉は良く使われていて、岸田総理もそれを引き継いでいるのかもしれません。

ロシアのウクライナ侵攻、習近平の台湾は中国発言で台湾有事などという言葉が一般的になったことを背景に、この言葉は、自然災害からの守りの強化、国土強靭化中心から、国際情勢の変化の中で、国際紛争(戦争)を意識したものに変わってきたようです。

国際情勢が変わってきたのは、本当に困った事ですが、敵基地攻撃能力も含めて、防衛力をいくら強化しても、「国民の生命と財産を守る」事に繋がってくれるのでしょうか。

「国民の生命と財産を守る」のには戦争をしない事が一番なのです。徹底的に平和外交で国を守ることが先ず大事でしょう。

戦争をすれば、ロシアのウクライナ進行でも、パレスチナ、イスラエル問題でも明らかですが、必ず生命も財産の失われることになります。
民間人も含め多くの生命が失われ、巨額の防衛装備は地上の残骸や海の藻屑となるのです。

防衛力の強化をうたって戦争防止というのも大変危ない選択で、これは相手に戦う意思のあることを明示することになりますから、相手次第で効果は大きく違います。

幸いにして戦争が避けられたとしても強化した防衛装備品は不良在庫となり、忽ち陳腐化して、廃棄処分、減損となって国民の財産は失われるのです。

これは戦争というものの現実ですが、戦争までいかないための日本の平和外交努力に期待しつつ、補正予算の審議の中での防衛力整備計画の43兆円の議論を聞いて、そんなことだったのと驚いた点を指摘しておきたいと思います。

2023年度から5年間の防衛費を従来の5割増しとして43兆円し、その財源は確保したという事でした。
但しその後の異次元少子化対策や国土強靭化計画は計画だけで、財源の手当ては未だなく、これからの検討になるというので、これにも些か呆れて来ていました。

少子化対策の財源は3兆円とかで現在、定額減税、増税メガネなどと議論かまびすしいところですが、防衛費の太宗を占める防衛装備品の価格については、アメリカから買うのでドル建てで、円安になればその分値上がりする事が国会の議論で解ったのです。

円で財源確保したというので、43兆円の範囲で賄うのかと思ったのですが、アメリカとの話は量的で飛行機が何機、イージス艦が何隻とかいうことになっているようで、それなら円安になったら、その分値上がりするのです。

国会答弁では円レート108円の計算だそうですから、148円ですと1ドルの支払いごとに40円増やさないと約束したものは買えません。
円レートを108円に戻さないと43兆円も財源確保も「嘘」になります。

やるべきことは円レートを早く108円に戻すか、アメリカにドル高になった分は装備品購入を減らしますと言うのかどちらかになります。

日本政府にはどちらも出来そうにないのですが、岸田さんはどうするのでしょう。

これからのGDP四半期報の度に、「政府固定資本形成」の項目の動きを確り見ていきたいと思うところです。

基金とは何でしょう

2023年11月14日 13時37分46秒 | 政治
マスコミによりますと、この臨時国会で決まった補正予算13兆円余の内4.3兆円が基金に充てられているという事です。

政府が作っている基金と言いうのは150ぐらいあって、そこに積んである基金の昨年度末の残高は16兆円余りもあるそうです。

この基金の残高というのはコロナ以降急拡大してきたのだそうで、コロナ対策にカネがかかるので関連する基金が増えたのかもしれません。

一寸聞きますと基金の残高が16兆円もあるのは、財政が豊かで結構なことではないかなどと感じてしまいます。
ですが、補正予算の中から4.3兆円も基金に積み増すという話や, 補正予算の財源のうち7兆円は赤字国債だなどと聞きますと、何かおかしいなという感じになります。

基金というのは、何か有意義な事業を行うために、余裕資金を積み立てたり、篤志家の寄付を得たりして、その活動のための基金を作り、その基金を運用して果実(利子などの運用収益)を得で、それを使って目的の事業を行うというものでしょう。

基金は、自力で稼いで果実を生み出し、それが活動の資金になるというのが常識ですから、基金が潤沢な額を保有しているというのは結構だと思うのですが、今はゼロ金利時代で、何処の基金も大変なのに、政府の基金は成り立つのかな(GPIFは頑張っているようですが)と思っていました。

そしたら、何のことはない、政府の経常支出をどんどん基金に注ぎこんで、それが基金の収入源だというのです。

それなら経常支出として予算を組めばいいのではないかと思いましたら、基金にすれば予算の様に厳密に支出をチェックされることがないようで、使い残してもいいことになっているので、種々便利なために、纏めて基金という形で支出して、使い勝手を良くしているという事のようです。

これはこのブログの憶測ですが、全体のカネの流れを素直に見れば、そうしか考えられないというのが、常識だと思うので、やっぱり多分そうなのだろうとなってしまうのです。

だとすると使い残している16兆円というのは、もともとは赤字国債ですから、もし日本がゼロ金利でなかったら、ムダ金に利息が付いて、将来の国民負担が増すという事になります。
そんな心配はいらないよ、今はゼロ金利だから借金は増えないから大丈夫というのかもしれませんが、日銀は金利政策を変えようとしていますから、何時までそれで済むか解りませんよと思っていましたら、河野デジタル大臣が、少しキチンとすべきだと言いだしました。

何か、コロナ以来日本の政府はMMTが正しいと信じ切ってしまったように感じられますが、MMTが駄目というのは、「将来、日本の国債が紙屑になるよ」という批判だけでなく、「今日只今の国家財政がいい加減なものになりますよ」という直近の問題にもつながるのです。

端的な問題である、政府(野党も)のバラマキ財政、補助金・給付金では日本経済の自家製デフレは治りません、という事も含めて、実効のある経済政策を日本学術会議から建策してもらったら良いのではないでしょうか。

日本経済低迷の実態をGDP統計で見る

2023年10月25日 22時09分09秒 | 政治
日本経済低迷の実態をGDP統計で見る
昨日のブログで、この10年来日本政府の経済政策は、全く見当違いの事を続けて来たのではないかと書きました。

そのあたりをGDPの構成の推移から見てみようとしたのが今日の試みです。

昨日は、実質GDPの構成の日米比較をして、アメリカ経済の元気の源は国民の消費需要の旺盛な所にあるのではないかと指摘しましたがそれはその通りだと思います。

日本でも政治家も経済学者も評論家も殆どに人たちが、日本経済の不振の原因は個人消費の不振にあると指摘し、消費需要の喚起が重要と言っています。

そして不振の原因は、将来不安、老後不安で貯蓄に走り、消費は節約の対象になっている事や格差社会化が進んで、貧困世帯が増え、中間層が薄くなって来てしまっていること、更にはコロナ禍で巣篭り生活になったことまで挙げられて来ている事は 皆様ご承知です。

政府もそれに手を打とうと、国民の貯蓄が増えているのを担保に、赤字国債を大量に発行して補助金、給付金のバラマキを重ね、それで何とか消費需要を支えて、経済活動の活発化につなげようとしています。

また企業の業績が良いこと、株価が上がって来ている事を背景に、貯蓄から投資へと庶民のカネを誘導し、企業も得、庶民も得と言っています。

しかし、そうした動きでは、どうも経済は活性化しないという事がこの10年来のGDPの実績から見えて来ている事には気付いていないようです。

下の図を見て頂きますと、そうした問題点が見えてくるように思われるのです。

過去10年間の実質GDP 構成の推移

                 資料:総務省「国民経済計算」

2011年度はリーマンショック後の日本経済の最悪期でした。そこから出発して2012年度には日銀の白川総裁が1%インフレ目標で少し円安に、13年度、14年度と黒田総裁のゼロ金利政策進み、円レートが80円から120円と正常化が達成されました。

国際競争力は回復、企業利益は急速に復活です。賃金も上昇を始め経済が回り出します。この期間には政府支出の赤い線は下降気味、民間消費(青)と設備投資(緑)が上向きです。多くの人は、これで景気回復と期待しました。

ところが、その後がおかしくなっています。民間の経済活動が元気になり、財政の梃子入れは後退するはずが、どうでしょう、設備投資の緑の線は順調に伸びていますが、民間消費の青い線は一貫して下降気味です。

結果、財政テコ入れは相変わらず続き、日本経済は消費不振で設備投資の片肺飛行、財政の役割は減らない形で20年度コロナ禍による「消費沈滞、投資も減少、財政出動」という最悪の状態になっています。

ここで問題は、なぜ民間消費が伸びなかったかです。このブログとして、1つの答えを出しておきましょう。

多分それは、政府が全てを取り仕切らなくてはならないと考えるようになり。その権力と能力を過信するようになったことにあるようです。

典型的な例を挙げれば、「働き方改革」然り、「成長と分配の好循環」然り。これらは民間の現場の創意工夫から生まれるものです。
政府の指示で出来るものではありません。もともと、政府はノーハウの開発もその実行もできないのです。

政府が手を出せば出すほど、民間労使はやりにくくなり、やる気をなくし、そこまでうるさいのならやらせておけという事になり、「神の見えざる手」の反対の「政府の見える手」がはびこって、経済効率は悪化するばかりなのです。

「来春闘は労使にお任せします」と言えば、労使は「貧困家庭の増加は、我々の責任だ」と考えることになるでしょう。

「何でも決める、何でも出来る」は独裁政権の特徴です。独裁政権は今、世界に害をなしています。日本の政府は十分気を付けてください。

日本経済低迷の実態をGDP統計で見る

2023年10月25日 22時09分09秒 | 政治
日本経済低迷の実態をGDP統計で見る
昨日のブログで、この10年来日本政府の経済政策は、全く見当違いの事を続けて来たのではないかと書きました。

そのあたりをGDPの構成の推移から見てみようとしたのが今日の試みです。

昨日は、実質GDPの構成の日米比較をして、アメリカ経済の元気の源は国民の消費需要の旺盛な所にあるのではないかと指摘しましたがそれはその通りだと思います。

日本でも政治家も経済学者も評論家も殆どに人たちが、日本経済の不振の原因は個人消費の不振にあると指摘し、消費需要の喚起が重要と言っています。

そして不振の原因は、将来不安、老後不安で貯蓄に走り、消費は節約の対象になっている事や格差社会化が進んで、貧困世帯が増え、中間層が薄くなって来てしまっていること、更にはコロナ禍で巣篭り生活になったことまで挙げられて来ている事は 皆様ご承知です。

政府もそれに手を打とうと、国民の貯蓄が増えているのを担保に、赤字国債を大量に発行して補助金、給付金のバラマキを重ね、それで何とか消費需要を支えて、経済活動の活発化につなげようとしています。

また企業の業績が良いこと、株価が上がって来ている事を背景に、貯蓄から投資へと庶民のカネを誘導し、企業も得、庶民も得と言っています。

しかし、そうした動きでは、どうも経済は活性化しないという事がこの10年来のGDPの実績から見えて来ている事には気付いていないようです。

下の図を見て頂きますと、そうした問題点が見えてくるように思われるのです。

過去10年間の実質GDP 構成の推移

                 資料:総務省「国民経済計算」

2011年度はリーマンショック後の日本経済の最悪期でした。そこから出発して2012年度には日銀の白川総裁が1%インフレ目標で少し円安に、13年度、14年度と黒田総裁のゼロ金利政策進み、円レートが80円から120円と正常化が達成されました。

国際競争力は回復、企業利益は急速に復活です。賃金も上昇を始め経済が回り出します。この期間には政府支出の赤い線は下降気味、民間消費(青)と設備投資(緑)が上向きです。多くの人は、これで景気回復と期待しました。

ところが、その後がおかしくなっています。民間の経済活動が元気になり、財政の梃子入れは後退するはずが、どうでしょう、設備投資の緑の線は順調に伸びていますが、民間消費の青い線は一貫して下降気味です。

結果、財政テコ入れは相変わらず続き、日本経済は消費不振で設備投資の片肺飛行、財政の役割は減らない形で20年度コロナ禍による「消費沈滞、投資も減少、財政出動」という最悪の状態になっています。

ここで問題は、なぜ民間消費が伸びなかったかです。このブログとして、1つの答えを出しておきましょう。

多分それは、政府が全てを取り仕切らなくてはならないと考えるようになり。その権力と能力を過信するようになったことにあるようです。

典型的な例を挙げれば、「働き方改革」然り、「成長と分配の好循環」然り。これらは民間の現場の創意工夫から生まれるものです。
政府の指示で出来るものではありません。もともと、政府はノーハウの開発もその実行もできないのです。

政府が手を出せば出すほど、民間労使はやりにくくなり、やる気をなくし、そこまでうるさいのならやらせておけという事になり、「神の見えざる手」の反対の「政府の見える手」がはびこって、経済効率は悪化するばかりなのです。

「来春闘は労使にお任せします」と言えば、労使は「貧困家庭の増加は、我々の責任だ」と考えることになるでしょう。

「何でも決める、何でも出来る」は独裁政権の特徴です。独裁政権は今、世界に害をなしています。日本の政府は十分気を付けてください。

補正予算は20兆円の国債発行で賄うのですか

2023年10月07日 16時52分42秒 | 政治
先日も書きましたが、岸田政権(自民党政権)は、国債の発行は無尽蔵に可能と思っているのでしょうか。

国債発行で財政破綻はないというMMT(現代貨幣理論)は成立するかと言いますと、これはアメリカと日本に当てはまりそうだからという事から出てきたもののようです。

アメリカの場合は解らない事もありません。アメリカは基軸通貨国で、万年赤字です。しかし、世界中の赤字国の赤字の合計と、黒字国の黒字の合計は等しいのです。
そして黒字国は、基軸通貨国の貨幣を買って外貨準備にします。つまり世界の黒字は、アメリカの国債を買って外貨準備にするという形で、アメリカに還流するのです。

日本の場合は、いわば不思議な国で、どんなに経済が悪くマイナス成長・ゼロ成長でも国際収支は黒字なのです。これは国民が真面目で、常に収入の範囲内で生活し、国民所得を使い切らずその分国際収支は黒字になりますので、その分を政府が借りて(国債発行)、財政政策を打つ余裕が常に生まれているという実績のお蔭です。

それ以外の国は、経済が悪くなると国際機関や外国から借金しますから、早晩IMFがこれは危険だと判断し、IMF管理になり、経済緊縮の苦労の末、赤字を脱して漸く放免というプロセスを辿ります。

という事で、日本を見てMMTが生まれ、その変な「理論」を日本の政府が信用し(半信半疑かな)赤字国債を出しているというおかしなブーメラン効果になっています。

これは、はっきりって「日本人は節度を守る」とい神話を世界が信じ、一時「有事のドル」が「何かあれば円」などという事もあるほど、日本の真面目さへの「信用」があった(今でもまだある?)からという事でしょう。

今、17カ月の実質賃金赤字が続く中で、日本国民は、政府が「賃上げ、賃上げ」と言っても、インフレを恐れて、賃上げはほどほどで、後は家計が消費抑制、貯蓄指向に切り替えて、経済は成長しなくても、黒字は増えて、政府のために赤字国債発行の環境お整え始めたようです。

本当に日本国民は健気ですが、これでは日本経済は成長しそうにありません。
それでも外国から見れば、インフレは低く、万年黒字は続いているので、円は安全だろうという「神話」は続くのでしょう。

国債増発の余地も、家計の節約が生み出し、政府がバラマキで支持率向上の可能性を作っているようです。

勿論これには低インフレとゼロ金利という環境がなければなりません。
若し、国債に3.1%の金利を付ければ、借金は12年で5割増え、20年で2倍に膨らみます。既発債は減価して日銀は巨大な評価損を抱えます。

低成長、低物価上昇、ゼロ金利、家計の節約というアベノミクス型の経済が今後も続くことを国民が許すでしょうか。
しかしこの「ゆでガエル」ならぬ「冷やしガエル」状態が何かのきっかけで崩れる時、何が起きるかという事も考えておく必要がありそうです。

日本の信用という「神話」が現実であるためには現状を続けることが大事ですが、岸田総理は、「冷温経済を適温経済へ」、「貯蓄から投資へ」、「賃上げが必要」などいろいろ言われます。しかし、これと金利水準、赤字国債発行などのバランスをどう理解しているのかは不明です。

信用の崩壊がいつ起きるかは、必ずしも理論や数字では解りません。バブルの崩壊でも、金融機関の破綻でも、不測のきっかけで起きるのです。そして、きっかけは後から解るのです。

日本もこれから、物価、賃金、金利、国際収支、外国人投資家の眼、それに、国際紛争(防衛予算)などに十分注意して、経済の運営をする必要が、次第に出て来るのではないでしょか。
もう失敗は許されないと考えて、万全の安全対策をお願いしたいものです。

迷惑な円安騒動:国民に説明しない政府・日銀

2023年10月04日 12時15分43秒 | 政治
迷惑な円安騒動:国民に説明しない政府・日銀
円レートが1ドル150円に乗るという所で大騒ぎになっていますが、149円が、151円になっても、もちろん大きな変化ではありません。

何で大騒ぎをするかと言えば、多分、何処かで線引きをしないと、とめどない円安になるのではないかという疑心暗鬼のせいでしょう。

150円になるかならないかでやっと財務大臣が出て来て「政府としては、引き続き高い緊張感をもって万全の対応をとっていく」などと言っていますが、「万全」という言葉の意味が解っているのでしょうか。

「万全」でなくても「十全」でもいいですから、1ドルが110円だったものが、あれあれと言っているうちに149円まで行って、既に日本の物価は上がり、実質賃金は1年以上もほとんどマイナスが続いている状況に拍車がかかっている現実に「対応を取っている」のでしょうか。

今回は為替介入をしなかったのに、マネー投機筋の混乱で一時円安に振れたのかどうか本当の事は解りませんが、また150円の攻防が来たとき国民の生活安定のために何をするのか、何が出来るのか、何もしないのか国民には何も解りません。

「為替は安定しているのが良い」と日銀も政府も言いますが、「注視」したり「万全」と言ったりすれば、それで為替が安定したり国民が安心したりすると思っているのでしょうか。

もともと、今回の円安は、アメリカの労使が、自国の万年赤字体質も考えずに賃上げ走り、賃金インフレを起こし、困ったFRBが自国の都合で金利を引き上げたことが原因です。

嘗ては、サブプライムローンの証券化に発したリーマンショックをゼロ金利政策で救い、それで日本は大幅円高になり日本経済は瀕死になりましたが、いずれもアメリカの企業や労使の外国への悪影響などは気にしない(覇権国・基軸通貨国の責任などは気にしない)行動の結果なのです。

アメリカからの防衛装備品の買い付けにしても、円安分だけ高くなりますから。例の42兆円も3~4割高くなるのではないでしょうか。

何にしても、政府・日銀の言うとおり為替レートは安定が望ましいので、口舌ではなく「実行」で「実効」を上げる事が、国民のために現実に必要なのです。

アメリカに気兼ねして出来ないのではないかという意見も聞きます。日銀は政府の圧力で、国債を購入して長期金利が上がらないようにすることに専念しなければならないという解説も聞きます。

しかし、それらは総て「誰かさんのご都合」の話で、日本国民のためになるようなものではないのです。

日本政府は、日本国民のために存在するはずですから、「日常の国民生活が安定して向上することが」政府の第一の関心事のはずです。
何処か肝心のところで思考回路が歪んでしまっているのであれば、国民はそれを正さなければならないと考えることが国民の義務かも知れません。

日本国民は、アメリカの国民にょりずっと真面目だと思っています。ただ、残念ながら、政策当局が、正確な情報を十分に国民に与えない所から、賢明な判断にたどり着けない所があって、その辺のモヤモヤが、政府支持率の低下という形で、不健全な反感のような形で表れているのではないでしょうか。

日本国民は、世界中での一般国民の現実の行動も含めて、世界から信用されうるだけの資質、判断力、そしてそれを実行する能も持っていると考えています。
国民に、可能な限り正確な状況を含む「情報」を周知することで、日本の経済・社会は、相互の信頼感をベースに、もっともっと良くなるのではないかと思っています。

「持続的賃上げ」実現への必要条件の整備:試論

2023年09月30日 14時51分42秒 | 政治
「持続的賃上げ」実現への必要条件の整備:試論
10月に入れば補正予算の議論が本格化するでしょう。噂では20兆円ほど国債発行が増えそうです。また今迄と同じことの繰り返しになりそうです。赤字国債でカネをばら撒き消費需要を支えるようなことを続けても日本経済は元気にはなりません。

そうした後追いの弥縫策ではなくて、事の原因に手を打つ根本解決を目指してこそ先手必勝の王道なのです。

そのためには「持続的賃上げ」実現のための必要条件の検討・整備がまず必要です。
主なものを上げます
1、長年の輸入物価上昇の国内価格への転嫁は出来たか
2、為替レートの正常化を実現する準備はよいか
3、国家財政の節度を弁える意識はあるか
4、異次元金融緩和の出口政策のシナリオの策定は出来たか
といった所でしょうか。

1については消費者物価のコアコア指数が十分に「リベンジ値上げ」を終えているかでしょう。消費者物価の統計で見ますと、2021年夏から22年春にかけて、コアコア指数の上昇が大きく遅れています。輸入原材料値上がりの影響が遅れたこと、コロナ禍で消費が落ちたことなどが原因でしょう。

グラフで見ますと、その分遅れての上昇ですが、そろそろ取り返したかな、という所です
但し、品目別、業界別では差がある様なので、そのあたりの配慮は必要でしょう。

2の、為替レートの正常化については、目標は110円から120円でしょうか、これは主に日銀の仕事でしょう。はっきり言ってアメリカ次第ですから、まず、為替レート変動と賃金水準の関係を、確り理論化して、国民に周知する必要があります。動向を「注視する」だけでは国民はイライラするだけです。

3の、財政の節度の問題では、取るべき経済政策を取らずに、補助金のバラマキで、その方が票につながるといった思考は厳禁でしょう。
政府の使う金は、経済成長の中から調達するという原則に立ち返り、カネより頭脳を使う政治、国民が経済活動、消費、投資、研究開発を活発にする気になるような政策を与野党が競うべきでしょう。特に現下の課題は消費需要のの安定した拡大でしょう。

4の、異次元金融緩和の出口政策のシナリオの策定については、金利の正常化で、借金まみれの財政の問題を、政府・日銀が国民の納得する筋道を早急に国民に示すべきです。
今のように、添えもこれも「将来の国民負担」という解説で済ますようなことでは「持続可能な賃上げ」も、SDGsも保障されません。

正常な経済とは、正常な金利が、経済活動の潤滑油として機能する経済です。
貯蓄しても利息が付かない、インカムゲインがないから、キャピタルゲイン獲得を優先するというのは、正常な経済活動ではありません。

「持続的賃上げ」は正常な経済社会、安定して成長する経済の中で初めて成立するのです。
今回の補正予算の議論の中で、上記の諸点が確り検討されれば、来春闘の労使共通の目的を目指す議論が可能になり、日本経済は正常化路線に乗るきっかけをつかめるのではないでしょうか。

蛇足ですが、選挙の時期についての憶測がマスコミを賑わせています。
日本経済社会の正常化が、当面する最も重要な目標であり、そのために真剣な努力をするものが政権に就くというのが正常な民主主義国の姿でしょう。
政権維持の「ハウツー」が通用するような社会に堕すかどうかは、国民の意識にかかっている事も忘れてはならないと思っています。

持続的賃上げ実現の方策は?

2023年09月26日 13時36分01秒 | 政治
岸田総理は日本経済を冷(低)温経済から適温経済へと目標を掲げ、些か総花的な政策提示をしていますが、マスコミはその中でも、持続的賃上げの実現が主眼といった報道です。

補正予算の季節に合わせての政策展開なので、中でもパートの就労時間自粛の原因と言われる130万円の壁、106万円の壁、の緩和についての報道が賑やかで、50万円の助成も議論の的ですが、これらは、持続的「賃上げ」の外の問題でしょう。

岸田総理は、言葉の発明はお上手で、「適温経済」というのもその一つかと思いますが、残念ながら、いつも内容の説明がありません。

今回は「持続的賃上げ」が主要な問題ですから、これに絡めて解釈すれば、
・輸入価格上昇でコストが上がっても、インフレを嫌い、出来るだけ製品値上げはしない、というのが低温経済。
・輸入価格が上昇すれば、それに輪をかけて賃上げし、値上し、忽ちインフレを起こす、というのが高温経済。
という事ではないでしょうか。

前者が一昨年までの日本、後者は今のアメリカです。
日本はアベノミクス第1弾で円レートが80円から120円と50%の円安になっても、輸入穀物が値上がりしても、賃金も物価も上がらず、ずっと消費不振の低成長経済でした。

アメリカは(ヨーロッパも)、原油や穀物の輸入価格が上がれば、忽ち輸入インフレは賃上げを触発し、原材料と賃金のコストアップで今回も10%レベルのインフレ景気になり、中央銀行が金利引き上げで景気の過熱を抑えるのに大童です。

日本も、第一次石油危機の時は、今の欧米と同様でしたが、その行き過ぎた反省から、インフレ嫌いの冷温経済になったようです。

「冷温」も良くない、「高温」も良くない、ならば「適温」と岸田流の造語は巧みですが、ではいかにして「適温」に導くか、これが問題です。

岸田さんはその答えの中心に「持続的賃上げ」を置いています。これも「言葉」としては正解です。しかし、どうやって、持続的賃上げを可能にするかの説明はありません。

現実に賃上げをするのは、企業労使です。特に、賃上げを仕掛けるのは労働組合です。

殆どの(今の日本の)経営者は、昔の「労使一体」の「企業は人間集団」という意識はお忘れのようですから、業績好調は「ボーナスの多少の調整」で十分とお考えでしょう。

労働組合も昔の様に大幅賃上げとは言いません。組合の一部には毎年10%の賃上げを掲げるグループもあります。しかし社会的支持は得られないようです。

こうした中で、日銀と共に掲げる「2%インフレターゲット」という安定した「適温経済」に、如何なるシナリオで持って行くのか、それが問われているのです。

今、日本のインフレは疾うに2%を超えています。明らかにインフレですが、その原因には目に見えるものが2つ、潜在的なものが1つあるようです。

目に見えるものは、1つに国際的なエネルギー、穀物その他資源価格の値上がり、2つに異常な円安です。
潜在的なものは、こうした中で、賃金と物価の関係を如何に理解すべきか政府、日銀、アカデミアの解説がなく、国民の意識は混乱し困惑、結果は不安感、不満足感になって、生活必需品などの出来るところが値上げに動いているという現実ではないでしょうか。

という事で、国民は、「政府どうする」、「日銀どうする」と、具体的な、腑に落ちる説明を聞き、対応の仕方を考えようと思っているのではいでしょうか。

そうした十分な説明・情報を得て、労使の国民も、みんな「いかにして持続的賃上げを実現するか」を議論するようになれば、その中から「適温経済」への道が見つかるでしょう。

日本はもともと『コンセンサス社会』です。「持続的賃上げ」は政府から与えられるものではなく、政府が提供する正しい情報をもとに、国民が(労使が)考え出すものでしょう。

当初予算(本予算)とは一体何なのでしょう

2023年09月25日 16時28分43秒 | 政治
当初予算(本予算)とは一体何なのでしょう
当初予算の審議で、新年度も最大の規模などと報道されますが、通常伸びたのは1兆円か2兆円です。
しかし今年もそうですが、もう補正予算を組むことに政府の意向はどんどん進んでいきます。

補正予算を組んでいろいろなことを付け足しているのが政府の仕事のようですが、補正予算を組むといっても、税収が増える見通しだから、新しい仕事が出来るというのではなくて、財源はほとんど公債金収入をあてにしてという事のようです。

つまり赤字の政府がさらに国民から借金をして、経済社会情勢が大変だから新たな政策を打ち出そうというのです。
大事なことはすでに当初予算つまり「本予算」で組んであるはずですが、やらなければならない事がいっぱい出て来るのです。

本予算の時は、無駄を省き少しでも節約して公債依存度減らすなどといった論議もあるようですが補正予算になると何をやるか、やってくれるかの方が、重要で、財源の方は、予備費がありますとか国債発行も結構みたいな雰囲気になるようです。

予備費も元は国債ですし、補正予算の財源は10兆円単位で国債発行がまかり通るようです。選挙などという事になれば、何をサービスするかに話は集中してきます。
この辺の様子をグラフにしました。

    令和以降の当初予算(本予算)と決算の推移(単位:兆円)

            資料:財務省「毎年度の国の予・決算」

2019年(令和元年)までは真面だったようですが、2020年から大変化で、本予算(青の柱)にもたっぷり国債収入が入っていますが、決算(赤の柱)との差額は殆ど国債発行で、この年の国債発行総額は100兆円を超えています。

それで結果は40兆円近い使い残し、繰越金は予備費という事でしょうか。
その後も巨大な補正予算は続き、予備費の残額は使い込みで減っています。

今年も岸田総理は補正予算に勢い込んでいますから、結果がどうなるかは解りませんが、国債発行残高はまた増えるのでしょう。

予備費で遊ばせておいても利息はつくはずですが、今はゼロ金利だから気にしないのでしょうか。利息の付く民間企業でしたら、借金は少しでも返済しておくのですが。

MMTではいくら政府が借金しても問題はないとい理論だそうですが、MMTが正しいかどうかはまだ証明されていません。

日銀が金利を上げると、借金づけの政府は大変だと言われますが、国債は半分以上日銀が持っていて、日銀に利息が入ればそれは直ちに【国庫納付金】になるので政府の負担は半分以下です。そのあたりは日銀と話が付いているのでしょうか。

お上の事は解りませんが、財政の話は予算よりも「決算」の方が大事のように思われます。

財政学の大御所伊藤半弥先生は「財政学の基本は『入るを計って出づるを制す』にありと言われましたが、今は『出づるを謀って、入るを合わせる』で良いのでしょうか。

補助金より減税の方が合理的では

2023年09月02日 13時11分05秒 | 政治
最近与党の政治家の中で活躍している言葉に「寄り添う」というのがあります。
結構頻繁に使われる言葉ですが、私などは、むくつけき、そして偉そうな政治家が「寄り添って」きたら、「気持ち悪いからやめてくれよ」と逃げるでしょう。

言葉には、その本来の「語感」がありますから、そのあたりは日本語の繊細なニュアンスを意識して、自分が使って似合う言葉かどうか考えた方がいいような気がします。

この言葉を政治家が使うのは、大体相手が困っているときで、自然災害で被害を受けたり、政府の閣議決定の結果、不都合が生じたり、何か政府がやらないと評判を落とすという状況があるのが一般的で、「寄り添う」というのは、忙しいけれど出来るだけ顔を出すという事から始まって、決め手は補助金を考えましょうという事でしょう。

最近のガソリン価格高騰についてもリッター170円台を超えないように元売り企業への補助金を継続するというのが、元売りにも、スタンドにもドライバーにも「寄り添う姿勢」という事なのでしょう。

これに対して、「補助金を出すよりガソリン税の減税をした方が合理的では?」という意見も出ていました。

ガソリン税は国・地方税込みでリッタ―55円(50円+5円)程度ですが、この税金分にも10%の消費税がかかります。
「税金にも消費税がかかるの!」と驚く人もいる日本人の「人の好さ」ですが、これは有名な2重課税の代表例です。

こうやって税金を取っている政府が、それでも足りないから国債を出し国民から借金して、それを財源して補助金を出すという仕組みになっているのです。

補助金は一時的で、税金は恒久的だから、そういうことになるのも仕方ないという意見もあるでしょう。

しかし、減税をすればそれは全国民に均霑しますが、補助金は、政権が気にかけている人だけに払われるので、基本的に不公平になる可能性が大きい、という意見もあります。
補助金を当てにせず頑張れば、補助金の対象にはなりません。

この春の決算でも、石油元売り会社のトップの、「補助金もあって、市場最高の決算になりました」などの正直な発言も目にしたとことです。

政権党にしてみれば、陳情があって補助金を出すことが集票にもつながるわけで、そんな気持ちは微塵もないとは言えないでしょう。

大体減税をすれば、カネはそのまま国民の懐から動きません。増税や国債発行で、国民のカネを一度政府の懐に入れて、それを政府の裁量でまた国民に戻すという事になると、余計な手間や手続きが必要になります。

政治家や官僚の人件費は.結構高いので、その余計な手続きのコストが場合によっては効果を上回ることは結構多いかもしれません。

こういう事をできるだけ無くして政治、行政のコストを安くするのは、本来政治家や官僚自身の仕事ですが、有名なパーキンソンの第一法則の様に「官僚組織は常に肥大化する」のです。

改めて言えば、「寄り添う」というのは本来心情の問題で、カネで解決する事ではないというのも、日本語としては本来の意味ではなかったと思うところです。
政治用語は特別かもしれませんが、本来の日本語を正しく使うことも大事ではないかと思ったりするところです。