tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金融政策過信という過ち

2012年05月03日 22時25分03秒 | 経済
金融政策過信という過ち
 前回も指摘したように、昨今の経済政策は、あまりにも金融重視に偏っているようです。  企業でも、一国経済でも、基本は同じですから、解りやすく企業の例で考えてみましょう。 企業が金融援助で救済可能というのはどういう場合でしょうか。

 良く言われるように、企業には黒字倒産というケースがあります。利益は順調に出ているのだが、たまたま資金繰りの計算をミスって、今月入ると思っていたカネが実は来月で、今月の決済資金が足りなくなり、銀行に短期融資を頼みに駆け込みます。

 銀行は、「本当に来月は入るんでしょうね。もしかしたら、先方さんは何か問題があって、払えないじゃありませんか。先方さんが倒産して、お宅も連鎖倒産などいう状態ではないでしょうね。」などという会話があるかもしれません。調査の結果、問題がなければ、短期融資に応じましょう、という様なことになるのでしょうか。

 単なる資金繰りの間違いだったとわかれば、もともと黒字の会社ですから、銀行も融資に応じるでしょう。しかし、黒字でも、銀行が融資を断れば、不渡り、倒産です。

 逆の場合で赤字不倒産というケースもあります。
 売り上げは先細り、人員削減は容易でなく、コストはなかなか減らず、赤字に転落、人件費を支払うと、原材料仕入れの資金が不足、銀行に融資を申し入れ、といった場合です。

 銀行が寛大で、それでも金を貸してくれれば、赤字でも倒産はしないで済みます。しかしそれで問題が解決することはありません。
 現実にはどんな銀行でも経営改善の計画を建てさせ、それが実行可能と判断しなければ、融資することはないでしょう。

 例外的には、「大きすぎて潰せない」とか、東京電力のように、社会での役割を考えれば、潰すことなど不可能といった場合もあります。
 しかし、国も大銀行も黙ってカネは出しません。経営は銀行や政府や社会の監視下に置かれ、再建策がたてられ、企業行動は厳しく制限されます。

 一番大事なのは、その時、その企業がいかに、経営を改革し、コストカットをして、黒字経営に転換できるかです。金融はあくまで、経営黒字化までの時間稼ぎです。

 企業ならすぐ解ることですが、一国経済になると、EUでもアメリカでも、なかなか簡単ではありません、なぜでしょうか。