tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

企業・経済が成長できる形とは

2012年05月27日 22時16分43秒 | 経済
企業・経済が成長できる形とは
 前回のブログで、G8で「緊縮も成長も」という路線が選択されたが、虻蜂取らずになるだろうという懸念を書かせていただきました。
 理由は単純で、アメリカ、ヨーロッパ(除ドイツ)の今の経済構造を変えずに、経済を成長軌道に乗せることは、どう考えても不可能と思われるからです。

 そのなかで、「企業や経済を成長させるには、経営や経済を、成長をする形に作り替えることが必要」と述べてきました。今回は、この「成長する形とはどんな形か」という点について考えてみたいと思います。

 経営でも経済でも、やっていることは同じで、それは付加価値 の創造です。そして年々より大きな付加価値を創造することが成長です。
 そして付加価値を創造するのは人間です。人間が資本を活用して付加価値を創るのです。
作った付加価値は、人間と資本に分配されます。人間は分配された付加価値(雇用者報酬)で生活し、資本に分配されえた分を従来の投下資本に追加して活用し、翌年はより大きな付加価値を創造します。この繰り返しが経済成長です。これは経営でも経済でも同じです。

 ではこの単純なプロセスの中で、成長に影響するのは何でしょうか。それはすでに明らかで、創造された付加価値のうち、どれだけが「資本に分配されるか」です。
 極端な場合、資本分配がゼロならば、会社なら利益のない会社、経済なら、追加資本の無い経済で、技術革新も設備高度化も無く、基本的に生産性 は上がらず、したがって、経済成長もありません。

 サラリーマンの先輩がよく後輩にアドバイアスします、「給料もらったら、全部飲んでしまわずに、その中からきちんと自分に投資しなさい、その投資はきっと将来帰ってきます。」人間でも企業でも経済でも同じです。成長の源泉は投資 です。

 少ない投資より、より大きい投資の方が、より早い成長を可能にします。主要な投資の中身というのは、技術開発、設備投資、そして人材開発でしょう。

 そして、より大きな投資を可能にするのは、より大きな資本への分配です。もう1つの分配の対象は労働への分配です。ここで「労働分配率 」の問題が出てきます。「資本分配率+労働分配率=100パーセント」、これは定義です。
 労働分配率というのは、単なる労使関係上の問題ではないのです。経済・経営の基本の基本、「成長」に最も深く関わる問題なのです。

 今の世界経済の不振を解く鍵もここにあります。皆さんもぜひ推論を試みてください。