tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

G8と日本の立場

2012年05月21日 13時57分23秒 | 経済
G8と日本の立場
 キャンプデービッドのG8が終わりました。結論は、みんなに優しいものでした。「緊縮も成長も」は、アメリカにも、フランスにも、ギリシャにも優しいですね。

 優しいのは、ポピュリスト政権の特徴ですが、日本には「虻も蜂も」という諺はありません。あるのは「虻蜂取らず」「二兎を追う者は一兎をもえず」という諺です。虻蜂取らずが懸念されます。

 緊縮なくして成長なし、経済にタダの昼飯はない 背伸びをしたままではジャンプは出来ない 、というのが現実世界でしょう。だとすれば、今回のG8は何だったのでしょうか。日本も600億ドル拠出した、IMFの基金積み増しで借金経済の国々が国民に優しい政策を維持できるのは何年でしょうか。

 企業でも一国経済でも同じですが、成長するためには、企業の財務構造、国の財政構造を「成長できる形」に作り替えることが必要なのです。緊縮はその形を作るために必須の条件です。

 同時に、実はこの方が重要なのですが、従業員や、国民が、今までの安逸な生活から、一転して、成長に向かって頑張るという「意識改革」を行う事が何にもまして重要です。
 緊縮で生活水準を落とすのは嫌だ、失業は困るが、頑張って働こうなんていうのは「アジアのどこかの国」ではよく聞くが、俺には似合わない。緊縮などという事を言うなら政権を変えればいい・・・、では済まないはずです。

 やっぱり家庭でも、企業でも、国でも同じですが、家族や従業員や国民が、確りした意識を持たない限り、経済的破綻は救えません。経済も社会も人間の営為の結果なのですから、基本は人間の心の持ち方が問題なのです。

 ただ、今日の世界経済の仕組みの中では、頑張らなくてもやり繰りのできる便法が発見されているのです。それは、為替レートを自由に変えることによって、頑張っている国の生産性向上分を帳消しにし、その他の国がその分、得をするという仕掛けです。かつての近隣窮乏化政策(為替ダンピング)を、国の政策としてではなく、為替市場にやらせる仕組みです。

 いま頑張って生産性を上げている国は、日本をはじめアジア諸国です。日本人がこんなに頑張るのに、なぜ日本経済は20年も停滞しているのかの原因もここにあります。
 日本からは、野田さんがG8に参加していますが、この辺の仕組みの歴史的な変化が良くお分かりなのでしょうか。