tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

背伸びしたままではジャンプできない

2012年05月08日 15時44分46秒 | 経済
背伸びしたままではジャンプできない
 フランス、ギリシャの選挙の結果が出ました。それほど大きな差ではありませんが、矢張り、自分の身の丈の範囲で生活するように心がけよう、という現政権の政策は不評だったようです。

 一度生活のレベルを上げてしまうと、下げるのはなかなか難しく、そこに「私にやられてくれれば何とかしますよ」という無責任でも甘い言葉がかけられると、どうしてもそちらについていきたくなるというのは人情かもしれません。

 オランドさんは、ジスカールデスタンを破ったミッテランを気取ったようだという報道がありましたが、かつてヨーロッパの多くの国がスタグフレーションで、フランスもフランス病と言われた時、最低賃金の大幅引き上げなどを公約にして当選したミッテラン も、最終的には賃金凍結までやらなければならなかったという当時の経験を、フランス国民はもう忘れているのでしょう。

 身の丈以上に背伸びをしたまま『ジャンプして見せます』と公約しても、それは不可能です。経済成長でも人間の跳躍でも、そのための「姿勢」をとることが必要です。背伸びしたままジャンプはできません。オランドさんが公約するようなことは不可能です。

 この分ではギリシャもフランスも経済や財政の健全化は差当たって実現不可能でしょう。こうした傾向がヨーロッパのほかの国にも伝染すれば、ユーロの不安定は今後も長く続き、世界経済の安定化は遠のきそうです。

 EUやIMF、G20は、何か効果的な対策が取れるでしょうか。もともと、権利意識が強く常にコスト高に悩まされ続けて来ているヨーロッパの国々です。ゴタゴタすれば、ユーロ安になって、いくらかは助かるという最近の経験も手伝って、根本治療はますます難しくなるような気がしてなりません。

 そして今後もそのたびに、円高になって、真面目に頑張っている日本がその余波、皺寄せで苦労するようなことでは、日本はとても遣り切れないのではないでしょうか。
 ヨーロッパの問題国が、自主改善の様子を見せないのであれば、そして、EUもIMFもG20も有効な対策が取れないのであれば、日本は、日本自身で、真剣に自己防衛策を考える必要があります。

 今回のヨーロッパの選挙結果は、日本の政策当局に、今後の本格的な円高防止策を迫るものではないでしょうか。