経常収支再論 2
経常収支の赤字化の最大の原因は貿易収支の赤字ですが、原発停止により化石燃料輸入の急増、加えて価格上昇といった問題の外に、円安になったのに輸出が伸びていないことが指摘されています。
前回、輸出の数字を見ましたが、「伸びてはいるが伸び率は予想外に小さい」ということなのでしょうか。
このブログでも国際投機資本の潜在的な動きとして「円安、国債暴落、日本売り叩き」などを過大に宣伝する向きもありますが、円安になれば、日本経済は息を吹き返すからそこまでの心配は当面杞憂でしょう」と書いて来ました。
円安で、息を吹き返したことは明らかですが、円安で国際競争力が強くなったはずの輸出はどうなんだという意見は当然出るでしょう。円安がすぐに輸出増に反映する部門もあります。今輸出が伸びているのは、そうした部門でしょう。しかし、すぐには変化に対応できない種々の事情もあります。その辺りを見てみます。
20円幅の円安になった後も、企業の海外での工場建設のニュースは多く聞かれます。
そうした動きの背後には、現地生産、現地販売という基本的な流れがあります。
理由の第1はこれでしょう。世界経済の安定した発展を考えれば、海外への工場進出が増えるのはある意味で自然です。日本国内では、海外では出来ないもの、いわば明日の製品の開発・生産に注力すべきでしょう。
第2の理由は、既に一部に見られますように、海外生産の一部を日本に引き揚げるという動きに関してです。規模の問題を含め様々な事情有之、国内生産に切り替えるのは簡単ではありません。例えば、いすゞがピックアップの生産をタイに移し、日産がマーチの生産を同くタイに移しましたが、それぞれ十分な時間をかけてのことです。
再び国内生産に移そうとしたら、為替レートだけではなく、様々な事情と将来予想を考慮しなければなりません。そうした決定にはそれなりの条件と時間が必要です。
第3に理由は、この円安が安定的に維持されるかどうかという問題です。この2年ほどは何とかなっていますが、好調と言われるアメリカ経済は経常赤字の拡大を伴うようです。数年の内にはまたドル暴落、円高襲来の危険性はゼロではありません。
企業はこの辺りを十分に睨みつつ、国内生産か海外生産かを選ばなければならないのです。容易ではありません。
振り返ってみれば、円高に苦しんだ頃、日本はGDPの2~4パーセント、年間10兆円とか20兆円の経常黒字を計上していました。今、経常収支がトントンになって、海外の機関投資家は、円を買っていいものかどうか、多少は考えるでしょう。
赤字の政府が無暗に金を使うのは問題としても、アメリカへの忠告も含めて、アメリカ国債を少し売れば(アメリカに貸した金をちょっぴり返してもらう)済む程度の経常赤字が、時には出たとしても、日本は経常収支を常時垂れ流す国にはなりそうもありません。
それだけ日本は真面目に頑張っています。落ち着いて先行きを見て行きましょう。
経常収支の赤字化の最大の原因は貿易収支の赤字ですが、原発停止により化石燃料輸入の急増、加えて価格上昇といった問題の外に、円安になったのに輸出が伸びていないことが指摘されています。
前回、輸出の数字を見ましたが、「伸びてはいるが伸び率は予想外に小さい」ということなのでしょうか。
このブログでも国際投機資本の潜在的な動きとして「円安、国債暴落、日本売り叩き」などを過大に宣伝する向きもありますが、円安になれば、日本経済は息を吹き返すからそこまでの心配は当面杞憂でしょう」と書いて来ました。
円安で、息を吹き返したことは明らかですが、円安で国際競争力が強くなったはずの輸出はどうなんだという意見は当然出るでしょう。円安がすぐに輸出増に反映する部門もあります。今輸出が伸びているのは、そうした部門でしょう。しかし、すぐには変化に対応できない種々の事情もあります。その辺りを見てみます。
20円幅の円安になった後も、企業の海外での工場建設のニュースは多く聞かれます。
そうした動きの背後には、現地生産、現地販売という基本的な流れがあります。
理由の第1はこれでしょう。世界経済の安定した発展を考えれば、海外への工場進出が増えるのはある意味で自然です。日本国内では、海外では出来ないもの、いわば明日の製品の開発・生産に注力すべきでしょう。
第2の理由は、既に一部に見られますように、海外生産の一部を日本に引き揚げるという動きに関してです。規模の問題を含め様々な事情有之、国内生産に切り替えるのは簡単ではありません。例えば、いすゞがピックアップの生産をタイに移し、日産がマーチの生産を同くタイに移しましたが、それぞれ十分な時間をかけてのことです。
再び国内生産に移そうとしたら、為替レートだけではなく、様々な事情と将来予想を考慮しなければなりません。そうした決定にはそれなりの条件と時間が必要です。
第3に理由は、この円安が安定的に維持されるかどうかという問題です。この2年ほどは何とかなっていますが、好調と言われるアメリカ経済は経常赤字の拡大を伴うようです。数年の内にはまたドル暴落、円高襲来の危険性はゼロではありません。
企業はこの辺りを十分に睨みつつ、国内生産か海外生産かを選ばなければならないのです。容易ではありません。
振り返ってみれば、円高に苦しんだ頃、日本はGDPの2~4パーセント、年間10兆円とか20兆円の経常黒字を計上していました。今、経常収支がトントンになって、海外の機関投資家は、円を買っていいものかどうか、多少は考えるでしょう。
赤字の政府が無暗に金を使うのは問題としても、アメリカへの忠告も含めて、アメリカ国債を少し売れば(アメリカに貸した金をちょっぴり返してもらう)済む程度の経常赤字が、時には出たとしても、日本は経常収支を常時垂れ流す国にはなりそうもありません。
それだけ日本は真面目に頑張っています。落ち着いて先行きを見て行きましょう。