tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

核分裂と核融合

2014年08月24日 09時44分45秒 | 科学技術
核分裂と核融合
 専門外ですが、今回もエネルギーに関わる科学技術の問題を取り上げました。
 原発への対処は、恐らく今日の日本の最も困難な経済と科学技術の問題でしょう。今の原子力発電は核分裂という現象を利用しています。

 一口で言えば、ウランやプルトニウムを利用して(ウラン濃縮など)ウラン235などの核分裂物質(放射性同位元素)を作りその分裂時に出すエネルギーを利用して発電するというこ仕組みです。

 核分裂物質は原子核にある中性子を放出して崩壊していくわけですが、中性子は他の放射性元素に当たって核分裂を促すとともに、放出された中性子はE=mc² の公式にしたがってエネルギーとなり膨大な熱を出すという訳です。

 しかも核分裂物質は崩壊を続けながら超長期にわたり放射線を出し続けるため原子炉で使えないレベルになってもその放射能ゆえに人体には有害なので、放射性廃棄物の処分が大問題になるわけです。

 放射能が低レベルになっても放射線が出る限りエネルギー源として利用するといった技術はなく、最高の放射能力を持つ時だけ利用して、後はお払い箱ですから、核分裂物質としても、「もっと使い切ってくれ」と不満を言うのではないでしょうか。

 核分裂をエネルギー源として利用するなら、とことん使い切る技術開発が必要なようです。使用済み燃料棒を水で冷やしていますが、冷やすより、その熱で発電できるはずですが、ペイしないというのでしょうか。
 いずれにしても核分裂物質は超長期に亘り分裂を続けるのですから、それをエネルギー源にしようというのなら、最後まで面倒を見る心構え(技術開発)が必要なのでしょう。

 ところで、核融合の方は全く違います。基本的には、太陽は内部で4個の水素原子が融合してヘリウムの原子核になる核融合反応で、その時減る質量がエネルギーに変換され、あの膨大なエネルギーを出しているという原理を、地球上でやろうという試みです。

 技術的には大変難しいことのようですが、水素もヘリウムも大変安定した元素ですから、核分裂のような後腐れの心配はありません。

 素人目には、核分裂の後処理で、いくらかかるか解らないカネを使うより、核融合の技術開発にカネを使った方が前向きでいいと思うのですが、既に核廃棄物が出てしまっているので、矢張りそちらも何とかしなければならないわけです。
 それなのに、電力会社や政府はもっと核廃棄物を出そうとしているようで、経済的にも科学技術的にも何か勿体ない話になっているような気がします。