tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

賃金・物価・消費税

2015年03月16日 09時44分27秒 | 労働
賃金・物価・消費税
 三題噺ではありませんが三つ並べさせて頂きました。
 今週18日の春闘の山場を前に、電機、自動車名護リーディング産業の交渉の具体的な中身がマスコミ上で賑やかになっています。

 ベアは電機大手では3,000円、自動車では4,000円を軸などと報道され、その他、久方ぶりのベアが決定といった情報も多くなっています。
 業績改善のはかばかしくない部門や、いわゆる中小でも、人材確保のためにある程度の賃上げはやむなし、といった見方も強くなっているようです。

 いずれにしても、こうした事がマスコミをにぎわすのは、それだけ日本経済に元気が出てきた証拠で結構なことですが、大手のマスコミの中には「それでも物価上昇には追い付かない」などという論評も見られます。些か不勉強のように思われ、残念です。

 確かに、消費税の3パーセントの増税、円安、原油高騰で昨年4月から消費者物価の上昇率は3パーセントを超え、原油が下がりはじめた秋以降も2.5パーセント前後です。その内、消費税の影響が2パーセント程度でしょう。
 
 今春闘で定期昇給分が1~2パーセント、ベアが1パーセント強としても、物価上昇はカバーされないという意見は、感覚論、感情論としてはよくあります。
 ここで問題は、消費増税分は賃上げでカバーされるべきかということです。このブログでも繰り返し触れていますが、消費増税は、国民が諒解して、消費者から国庫に消費支出の3パーセント分を上納することで、国民と政府の間の「分配を見直す」という作業です。

 物価が上がるのはそのためですから、消費者は甘んじて負担するべきものです。そうしないと、消費増税という官民の配分変更政策がきちんと機能しないことになります。

 来月、4月になれば、消費増税の影響は消えるでしょう。消費者物価上昇率は多分1パーセント以内になるでしょう。そして、新年度の賃上げで、新年度の実質賃金はプラスになるでしょう。

 消費税は政府への所得の移転(赤字財政の是正のために)で、国会で決まったことです。それを後から春闘で取り返そうというのは、些か筋違いではないでしょうか。

 連合が消費税による消費者物価の上昇を賃上げ要求に入れないのは、こうした論議をわきまえての話でしょう。「労使の喧嘩祭り」といわれた春闘にも、 経済理論は必要です。