tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

賃金交渉進行中

2015年03月09日 10時30分53秒 | 労働
賃金交渉進行中
 春闘の真っ只中、企業の中では労使間での真剣な交渉が進められている時期でしょう。
 既に「すかいらーく」のように、会社側から、昨年の2倍以上のベースアップ4300円が回答されたところも出ています。人材確保の視点が重視されているようです。
 定期昇給など6200円と合わせ、平均的には1万円を越える賃上げとマスコミは報じ、外食産業各社に波及するのではないかといった観測を示しています。

 因みにアメリカではファストフードの従業員が最低賃金時給15ドルを要求して(現状8ドル程度)デモやストをして逮捕者も出ているそうで、アメリカは大変ですね。

 定期昇給は企業内の制度で決まっているものですから、特別な事情がない限り実施されるのが当然です。もちろんこれもコストアップ要因にはなりますから、その分は適切に推計、ベアはそのまま上乗せになります。

 ということで問題はベアですが、本来、ベアは一律定額(まれには定率)を加算する形で賃金表全体を書き換えるものですからコスト計算は簡単なはずですが、最近は年代や資格や職種などによってベアに差をつけることも多いようです。

 実は、ベアに差をつけるというのは「賃金体系の変更」ですから、これは賃金体系の変更として「賃金体系をどう修正するか」という視点で、労使で「制度・体系」の交渉として考えなければならないことでしょう。

 ということで、通常どの企業でも、賃上げ(定昇+ベア)が妥結した後で、その配分交渉をすることになります。
 しかし、ベアの配分に「厚い部分、薄い部分」を設けて賃金体系を変えるというのは、いわば年々のパッチワーク、現在の体系の中での修正作業ということで、本格的な賃金制度・体系の変更ではありません。

 人事・賃金制度というのは、昔から「糠味噌管理」などと言われ、手を突っ込んで何時も掻き回していないと、カビが生えたり腐ったりすると言われるものです。

 相手が人間であるだけに、常に微調整、時に心機一転の新制度といった形で、従業員が常に新鮮な気持ちで、より満足して仕事に取り組めるような状況を求めて、労使で交渉を積み重ねていくことが肝心なようです。
 
 今年の労使交渉でも、労使双方にとって、良い妥結点に到達されることを願う所です。