tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経常黒字の使い道

2015年12月30日 09時43分50秒 | 経済
経常黒字の使い道
 経常黒字というのは、その年に日本が生産した付加価値の中から使い残した部分で、現実にそれがどうなっているかというと、アメリカなど外国の国債を買ったりその他外国の債権・証券を買ったり、外国に預金したりということになっています。

 日本は中国と1、2を争うアメリカ国債の保有国ですし、日本の銀行はアメリカの証券を沢山買ってリーマンショックで大損をしたりしています。
 これをお読みの皆様の中にも、グローバルソブリンやブラジルボンドを買って損した方は多いと思いますが、日本の金利が安すぎるので、ついつい外国の高い利回りにつられ、結果は元本で大損ということになるわけです。

 こんなことになるのも、日本の金利が安すぎるからで、早くまともな金利が付く『 金融正常化
』をやってほしいのですが、為替戦争の戦略(円高にしたくない)や国内経済の停滞状況から出来ないようです。

 外国に預けて損するぐらいなら、思い切って使ってしまったほうがいいかとも考えるのですが、将来不安、老後不安があるので、銀行に貯金します。銀行が外国の債券・証券を買えば、あなたの代わりに銀行が損をして、金融不安、不況です。

 こうした行き詰まりを何とかしようとしたのが安倍さんの3本の矢でしょうが、1本目の金融の異次元緩和だけは成功しましたが、あとは・・・。
 それで新3本の矢になりましたが、目標だけあって、具体策がないのであまり本気にする人はいません。
 結果は、国内でカネはあっても回らない停滞状態です。

 このブログでは、最も肝心な消費の積極化を実現するのには、まず「 格差社会化」の危惧(すでに現実ですが)を払拭する政策が必要と言ってきましたが、所得税制、法人税制、果ては消費増税の軽減税率まで、逆行するものが多いようです。

 もう1つ、経常黒字の使い道があります。それは途上国援助です。中国は異常に積極的ですが、COP21でも議論され、日本への要請は大きいようです。
 外国のために使うのではなく国民のために使えという見方もあるでしょう。

 しかし戦後の賠償論議の中で、小島清が主張したように、こうした援助は援助の内容や政策の在り方の適切さを得れば、近い将来必ず日本経済への需要となって帰って来るでしょう。
 
 唐突に3万円をバラまいたり、労組の頭越しに、企業に賃上げせよとけしかけてみたり、政策がいかにも場当たり的で、総合的な視野に欠ける状況では、本格的な日本経済の活性化には道遠しでしょう。
 
 大きな経常黒字という大変な財産を持ちながら、それを生かせない日本の政策当局に情けなさを感じる方も多いのではないでしょうか。