tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金融正常化の始まり

2015年12月17日 10時32分08秒 | 経済
金融正常化の始まり
 日本時間の今朝早く発表されたFOMCの結果は大方の予想内のものでした。
 フェデラルファンドレートを0—0.25から0.25-0.5パーセントに引き上げるということで、9年余かかったゼロ金利政策による金融破たんの回避を漸く収拾できる見通しになったことを宣言したということでしょう。

 客観情勢からみて、恐らくこのようなことになるとの予想が大勢だったこともあり、株式市場が多少喜んだ程度で、円レートにも大きな変化はないようです。

 このブログでも書いてきましたが、アメリカのこれからの金利引き上げは、極めて慎重なものになるでしょう。
 FOMCの声明でも、雇用、個人消費、設備投資は堅調だが、物価上昇はゆっくりで、純輸出(貿易収支)はまだ弱いことに言及しています。

 物価上昇が緩やかなのは、アメリカの事情というよりも国際的なものですから特に問題にすべきではないでしょうが、貿易収支の問題は、数十年来のアメリカの痼疾であり、ゼロ金利を齎した『サブプライム・リーマンショック』の原因だったわけですから、一言で済ませるには本当は大きすぎる問題で、長期的にはこれが問題の核心でしょう。

 声明の最後に述べている「FRBが非常に大きな額の長期証券を保有し続けること」が役に立つというのは、基本的に金融緩和は続けるということで、まさに、今回の声明は、金融正常化が「やっと」緒に就いただけということを象徴しているように思われます。

 日本では、日経平均が2日連騰した程度で、大きな変化はありませんが、いずれ日本も、金融正常化に踏み切らなければ、一億層活躍社会が描くような本当に健全な経済社会に脱皮したとはいえないでしょう。

 日本の場合は、国際収支が大幅黒字ですから、アメリカよりずっと有利な状況でしょうが、金利の上昇は大量の国債を抱えた政府の財政を直撃するでしょう。
 政府が国民の信頼を得つつ、ゼロ金利政策課あら脱出することは、やはりかなりの軋轢を予想しなければなりません。

 政府も日銀も、まだまだといった姿勢で、この問題には全く触れていませんが、アメリカが曲がりなりにも成果を見せれば、日本も、そう遠くない日にこの問題の処理にかからなければならないでしょう。
 
 今は消費税の問題で手いっぱいかもしれませんが、早いうちにそのシナリオも考え、国民の理解も得つつ適切なアプローチを図る必要があるのでしょう。