tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

為替レートと経常収支:経常黒字は円安のせい?

2015年12月29日 09時22分16秒 | 経済
為替レートと経常収支:経常黒字は円安のせい?
 国際収支(経常収支)の黒字・赤字の原因は、為替レートの設定にあるので、為替レートを変えれば何とかなると考えている国は多いようです

 アメリカは強いドルと言いながら本心はドル高は避けたいようですし、中国は人民元の切り上げには強く反対します。
 日本が失われた20年のデフレに苦しんだのも、そうした考えに基づいて、円の大幅切り上げ(1ドル240円から120円)に追い込まれたからです。

 今また日本は経常黒字はGDPの3パーセント前後を維持していますので、国際的には円はもっと高くてもいいという見方はあるようです。円安で輸出競争力が高まり、黒字になるという考え方によるものです。

 現実の為替のマーケットでも、日本はいつも黒字、だから円は安全(健全)通貨だということで、何かあると買われて円高になります。しかしもう円高で苦労するのはこりごりで、何とか120円あたりで安定してほしいというのが日本の本音でしょう。

 円高にならないために、日銀も金融の異次元緩和を続けなくてはなりませんし、それでは金融の正常化はなかなか実現しません。

 ということで、経常黒字の縮小を考える必要があるのですが、それには2つの方法があります。

 1つは、円高にする方法、経済学ではそういいますが、現実はうまくいきません。大幅円高になった後でも日本は経常黒字国でした。
 もう1つは、内需拡大で、GDPの使い残しをせずに全部使ってしまう方法です。このほうが、経済成長率も高くなり、雇用や賃金利益も増えて経済は好況、国民はハッピーです。

 アメリカやギリシャなら容易にそれができるのですが、日本ではこれが難しいのです。それは日本人が基本的に アリ型の国民だからです。

 確かに働いて蓄えるのは健全な経済行為です、キリギリス型ではいつか破滅が来ます。しかし日本人の場合は、何かに使うために貯蓄するのではなく、貯蓄するために貯蓄するようなことになる気配もあります。貯蓄は生かして使ってこそこそ意味があるのです。

 今、日本経済は大幅黒字を出しながら、経済成長が踊り場で、経済ムードも沈滞です。これを打破するのは、年間15兆円ほどにもなる経常黒字を「生かして使う」のが一番良いで方法でしょう。

 しかし放っておいても誰も動きません。安倍さんの新3本の矢でも誰も踊りません。日本人の知恵はそんなに貧困なのでしょうか。

 もしかしたら、今の日本人は上からの押し付けでは動かないのかもしれません。オリンピックのエンブレムではありませんが、みんなが参加する体制が必要のようです。