消費税軽減税率論議と格差社会
消費税の軽減税率では自民党が公明党に全面譲歩ということで決着の方向という報道がありました。
この論議にはどう見てもあまり合理性がないと過日書かせていただきましたが、金持ちの方が余計に恩恵に浴すると思われる軽減税率の食料品全体への拡大を主張した公明党の意図がどう見ても明瞭ではありません。
自民党が、最初、財源の問題もあり、生鮮食料品にとどめると主張しながら、何故に全面譲歩に踏み切ったのか、これにも合理的な説明はないでしょう。来年の選挙目当てというのは自民党にとっては合理的なのかもしれませんが、それは本来の税制改革の目的とは関係ありません。
もともと、今回の税制改革は、「社会保障と税制の一体改革」と銘打っていたのではないでしょうか。消費税の増税は、社会保障給付の財源にすると私たちは教えられ、格差社会化への対抗策の一環として理解していたところです。
自民党が最初主張した、マイナンバーカードを使って、一定所得水準以下の人には消費税を還付するという方法は、この趣旨からいえば、ある程度の合理性を持っているということでしょうが、マイナンバー自体が右往左往している状態で、そんな迂遠なことは説得力がなかったようです。
もちろん、それなら、消費税による税の増収を社会保障税度全般の合理的な改善に使ったほうが、という意見の方がまともでしょうし、手数のかかることをやれば、それだけ公務員の人件費も増えるという意見もその通りでしょう。
迷走の結果が最終的にどこに行き着くのか分かりませんが、いずれにしても、安倍政権が掲げる「一億層活躍社会」にスムーズにつながるようには思えません。
かつて「一億総中流」「分厚い中間層」などと言われた時代は、日本の所得分布が世界でも屈指の「格差の少ない」社会の下で実現されたものでした。
今、日本経済再生のために、政府は消費拡大に注力しているようですが、消費拡大は「格差社会では実現しない」というのが、最近の多くの国の経験から明らかになっているのではないでしょうか。
消費税とは直接は関係ありませんが、子や孫への教育、住宅建設資金贈与などの減税、ジュニアNISAの導入など、格差社会の固定化につながる税制改革も目白押しです。
安倍政権には、日本経済社会全体をしっかりと把握し、国民の望む目標に向けての、つぎはぎでない「一体改革」という言葉をもっと大事にしてもらいたいと思います。
消費税の軽減税率では自民党が公明党に全面譲歩ということで決着の方向という報道がありました。
この論議にはどう見てもあまり合理性がないと過日書かせていただきましたが、金持ちの方が余計に恩恵に浴すると思われる軽減税率の食料品全体への拡大を主張した公明党の意図がどう見ても明瞭ではありません。
自民党が、最初、財源の問題もあり、生鮮食料品にとどめると主張しながら、何故に全面譲歩に踏み切ったのか、これにも合理的な説明はないでしょう。来年の選挙目当てというのは自民党にとっては合理的なのかもしれませんが、それは本来の税制改革の目的とは関係ありません。
もともと、今回の税制改革は、「社会保障と税制の一体改革」と銘打っていたのではないでしょうか。消費税の増税は、社会保障給付の財源にすると私たちは教えられ、格差社会化への対抗策の一環として理解していたところです。
自民党が最初主張した、マイナンバーカードを使って、一定所得水準以下の人には消費税を還付するという方法は、この趣旨からいえば、ある程度の合理性を持っているということでしょうが、マイナンバー自体が右往左往している状態で、そんな迂遠なことは説得力がなかったようです。
もちろん、それなら、消費税による税の増収を社会保障税度全般の合理的な改善に使ったほうが、という意見の方がまともでしょうし、手数のかかることをやれば、それだけ公務員の人件費も増えるという意見もその通りでしょう。
迷走の結果が最終的にどこに行き着くのか分かりませんが、いずれにしても、安倍政権が掲げる「一億層活躍社会」にスムーズにつながるようには思えません。
かつて「一億総中流」「分厚い中間層」などと言われた時代は、日本の所得分布が世界でも屈指の「格差の少ない」社会の下で実現されたものでした。
今、日本経済再生のために、政府は消費拡大に注力しているようですが、消費拡大は「格差社会では実現しない」というのが、最近の多くの国の経験から明らかになっているのではないでしょうか。
消費税とは直接は関係ありませんが、子や孫への教育、住宅建設資金贈与などの減税、ジュニアNISAの導入など、格差社会の固定化につながる税制改革も目白押しです。
安倍政権には、日本経済社会全体をしっかりと把握し、国民の望む目標に向けての、つぎはぎでない「一体改革」という言葉をもっと大事にしてもらいたいと思います。