経済実態と合わない政策が問題では
選挙戦たけなわですが、与党サイドのアベノミクス礼賛と、野党共闘の安全保障問題も争点に、という噛み合わない相対発言(対話にならない言いっ放し)が、マスコミでも街頭でも騒々しく響いています。
アメリカの選挙戦でも、イギリスの国民投票でも、相手をけなす発言が多く聞かれ、先進国の市民や政治家の矜持はどこへ行ったと言いたいような、印象を受ける場面が往々見られましたが、そんな社会の退歩が日本でも感じられることは、大変残念です。
ところで、この所の経済情勢ですが、ますます思わしくないような展開になっているようです。
大きな問題は円高でしょう。$1=¥120でアベノミクスを謳歌した与党ですが、円安で起きる経済回復は、必然的に格差の拡大を伴います。
円安というのは、国際的に見た日本人の賃金水準(日本経済の最大のコスト)を下げて、国際競争力をつけ、経済成長を実現しようということなのです。
確かに大企業中心に企業収益は著増、自己資本比率を飛躍的に高めた企業も続出です。次は、そうした企業が生産性を上げ、賃金所得の上昇、消費も拡大して経済が全体的に底上げされるというのが順調な成長過程です。
このプロセスはアベノミクスで言えば、第二の矢、第三の矢が担当するところですが、残念ながらこれが機能しませんでした。
その最大の原因は「将来不安」でしょう。将来不安の原因は大きく2つあるように思います。
その一つは、21世紀はアジアの世紀と言いながら、最大のプレーヤーである中国との関係が悪化し、「日米」対「中国」といった構図が出来てしまったことです。アジアの時代が、日米の時代に逆回転したようです。
もう1つは、国内の将来不安です。最大は高齢化に対する過剰認識でしょう。高齢化はいずれにしても日本全体として対応しなければならない問題で、絶対に避けられません。ならば、国民が協力して 最も凌ぎ易い方法で、乗り切るしかないのです。
そのためには国民が互いに協力し合わなければならないのですが、そのための手立てが、どうにも巧く出来なかったということでしょう。その原因として、安倍政権が対話が不得手(嫌い)ということもあるようです。
円安政策の結果発生した格差社会化(実は失われた20年の中でも進行していた)を「是正しますよ」という納得できる明確な政策がなかったことは致命的です。
国際的な風潮かもしれませんが、最近の政策の主なもの、法人税率の引き下げ、所得税の累進化の軽減、消費者物価2%上昇の目標設定、株価上昇での景気判断を助長、消費増税に使途の不明確と今回の延期、年金原資を株式市場で稼ぐ、非正規雇用の固定化、などなど。これらは格差社会化の増幅に役立つようです。
国際的に見て、「割安」になった日本の賃金ですから、国際企業は当然日本国内の雇用を増やすでしょう。求人倍率の高さは、割安になった日本の雇用コスト(非正規労働者と新卒労働者)の反映です。そしてこれが、アベノミクスの成果として喧伝されています。
今、改めて円安時代が終わる様相です。政府、日銀に1ドル=120円に戻す戦略はあるのでしょうか。
日銀短観も停滞を示し、消費者物価はコアコアでも上昇はコンマ以下、財源のない高齢者・子育て対策、ゼロ金利でも貯蓄は増え消費性向は低下・・・・・、今回の選挙で国民の将来不安が少しでも軽減されるような結果を期待したいと思います。
選挙戦たけなわですが、与党サイドのアベノミクス礼賛と、野党共闘の安全保障問題も争点に、という噛み合わない相対発言(対話にならない言いっ放し)が、マスコミでも街頭でも騒々しく響いています。
アメリカの選挙戦でも、イギリスの国民投票でも、相手をけなす発言が多く聞かれ、先進国の市民や政治家の矜持はどこへ行ったと言いたいような、印象を受ける場面が往々見られましたが、そんな社会の退歩が日本でも感じられることは、大変残念です。
ところで、この所の経済情勢ですが、ますます思わしくないような展開になっているようです。
大きな問題は円高でしょう。$1=¥120でアベノミクスを謳歌した与党ですが、円安で起きる経済回復は、必然的に格差の拡大を伴います。
円安というのは、国際的に見た日本人の賃金水準(日本経済の最大のコスト)を下げて、国際競争力をつけ、経済成長を実現しようということなのです。
確かに大企業中心に企業収益は著増、自己資本比率を飛躍的に高めた企業も続出です。次は、そうした企業が生産性を上げ、賃金所得の上昇、消費も拡大して経済が全体的に底上げされるというのが順調な成長過程です。
このプロセスはアベノミクスで言えば、第二の矢、第三の矢が担当するところですが、残念ながらこれが機能しませんでした。
その最大の原因は「将来不安」でしょう。将来不安の原因は大きく2つあるように思います。
その一つは、21世紀はアジアの世紀と言いながら、最大のプレーヤーである中国との関係が悪化し、「日米」対「中国」といった構図が出来てしまったことです。アジアの時代が、日米の時代に逆回転したようです。
もう1つは、国内の将来不安です。最大は高齢化に対する過剰認識でしょう。高齢化はいずれにしても日本全体として対応しなければならない問題で、絶対に避けられません。ならば、国民が協力して 最も凌ぎ易い方法で、乗り切るしかないのです。
そのためには国民が互いに協力し合わなければならないのですが、そのための手立てが、どうにも巧く出来なかったということでしょう。その原因として、安倍政権が対話が不得手(嫌い)ということもあるようです。
円安政策の結果発生した格差社会化(実は失われた20年の中でも進行していた)を「是正しますよ」という納得できる明確な政策がなかったことは致命的です。
国際的な風潮かもしれませんが、最近の政策の主なもの、法人税率の引き下げ、所得税の累進化の軽減、消費者物価2%上昇の目標設定、株価上昇での景気判断を助長、消費増税に使途の不明確と今回の延期、年金原資を株式市場で稼ぐ、非正規雇用の固定化、などなど。これらは格差社会化の増幅に役立つようです。
国際的に見て、「割安」になった日本の賃金ですから、国際企業は当然日本国内の雇用を増やすでしょう。求人倍率の高さは、割安になった日本の雇用コスト(非正規労働者と新卒労働者)の反映です。そしてこれが、アベノミクスの成果として喧伝されています。
今、改めて円安時代が終わる様相です。政府、日銀に1ドル=120円に戻す戦略はあるのでしょうか。
日銀短観も停滞を示し、消費者物価はコアコアでも上昇はコンマ以下、財源のない高齢者・子育て対策、ゼロ金利でも貯蓄は増え消費性向は低下・・・・・、今回の選挙で国民の将来不安が少しでも軽減されるような結果を期待したいと思います。