tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

元気だが舵取り不明の日本経済

2017年06月08日 11時27分19秒 | 経済
元気だが舵取り不明の日本経済
 何はともあれ、日本経済は元気なようです。OECDは昨日発表した世界経済見通しで、2017年の日本経済の実質成長率を、前回の予測より0.2%高めて1.4%と改訂しました。アジア向けの輸出が増えるという説明があるようです。

 このブログでも、日本経済はマクロで見ても、 企業統計などのミクロで見ても 、経済外的な事でもない限り、当面安定成長路線を目指すだろうと見て来ました。

 今朝ほど今年1-3月の第2次GDP速報値が発表になり、瞬間風速(1-3月期の対前期比成長率の年率換算値)が、 第1次の2.2%から、1.0%に改定になったとのことです。大幅な下方修正のように見えますが、対前年同期比で見れば、1.6%成長が1.3%成長に見直されたもので、トレンドとしてはOECDの1.4%の近辺にあります。

 一方、国会論議を見れば、アベノミクスなどは何処へやら、国民の不信感が、いろいろな形で高まりそうな状態の連続ですが、さらに不安をあおるのが、北朝鮮のミサイルです。
 今朝も1発が発射され200キロほど飛んで日本海に落下したそうですが、政府が安全ですと言ったのは、時間的には、本当にミサイルが飛んで来れば、疾うに着弾してからではないかと疑念と心配ばかりです。
 専守防衛の日本としては、アメリカ、韓国の情報に依存するのではなく、日本の情報が一番速くて正確ぐらいのことが出来なければ、国民は本当には安心できません。

 話を経済に戻しますが、こうした国民の多様な不安感、不信感の中で、日本の企業、国民の頑張りで、経済は何とか健全に動いているのです。
 しかし、長い目で見れば、政府の舵取りが確りしない経済にはやはり不安が残ります。

 OECDも日本経済の成長率を上向き改定した中で「財政健全化の道筋をキチンとしないといけません」と言っていますが、現政権は、不可能がすでに明らかな「 2020年プライマリーバランス回復」という念仏を未だに唱えているだけです。

 今日は、また2016年度の経常収支が発表になり、20.2兆円の黒字でマスコミはリーマンショック前を回復と言っていますが、黒字が大きければいいというものではありません。アメリカはじめ赤字の国からは「国際的不均衡」と陰に陽に文句をつけられ、円高になる原因を作っているのです。

 前回も書きましたように、大幅黒字が円高に反映することを避けるために日銀は異次元金融緩和をしています。結果がゼロ金利で、定期預金にも国債にもほとんどまともな利息は付かず、貯金は増えていきません、仕方なしに、貯金を積み増す(自分で利息をつける)ことになり、家計は緊縮で、 消費は伸びず、経済成長の足かせになっています。

 輸出が伸び、経済成長が高まっても、消費が増えなければ、 その差額である経常黒字が膨らむばかりです。これはいずれ対日批判を呼ぶでしょう。
 現政権の経済政策はいったい何を目指しているのやら、というより、現政権は「一体何を目指して政治をいるのか」見えてこない中で、国民、消費者、家計は将来不安がますます募るのではないでしょうか。
 それがまた消費にブレーキをかけ・・・。この辺でやめておきます。