tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アップルとアメリカ、日本の企業は?

2018年09月19日 15時28分36秒 | 国際経済
アップルとアメリカ、日本の企業は?
 米中関係が複雑の度を増しています。資源獲得競争、覇権争い・・・、世界第一と第二の経済大国の確執は容易ではありません。そして今度は貿易戦争です。

 トランプさんの目から見れば、中国は、アメリカ市場が寛容に中国製品を買ってやったから経済発展できたのだ、「もうアメリカ相手にそんなうまい商売ばかりさせない」と貿易(関税)戦争を仕掛けたという事でしょう。(日本にも言って来るかも知れませんね)

 しかし、今度新たに実施する2000億ドル規模の関税引き上げで、アップルウォッチやエアポッド、フィットビットなどは対象から除外するという事になるようです。
 これらの製品を作っているアップル社やフィットビット社はアメリカの会社ですから、アメリカの本社からトランプ大統領に頼んだなどといわれています。

 もともとアメリカの会社は、賃金の高いアメリカでモノを作っても儲からないので、低賃金の新興国などへ出て行って、アメリカの技術を生かしてモノを作って世界中に売れば大儲けできるということで中国にも工場進出したわけです。

 アメリカの企業とってみれば、中国進出は利益を出すために重要な選択だったのでしょうが、お蔭で、賃金の高いアメリカの労働者は仕事を失う事になるわけです。
 これは所謂、国と企業の利益相反で、先進国の企業が利益を増やそうと思えば、当然取る行動でしょう。それで、良い製品が安く出来て、それを買うアメリカの消費者も喜ぶという図式だったはずです。

 先進国の企業進出で、後発国の経済成長も早まり、世界経済としてもいいことでしょう。ミャンマーが国を開けば、世界中の先進企業が進出し、ミャンマーの経済発展に貢献、今後もし北朝鮮が国を開けば、韓国、日本をはじめ、高度技術を持った企業が続々進出するでしょう。北朝鮮もそれを期待しているはずです。

 こうして、世界経済の発展にも役立つ先進国企業の後発国進出ですが、それが米中間では今度の様な貿易戦争になり、日本にとってもトランプさんがどんなことを言ってくるか大変気になる所でしょう。
 
 何とかこの問題を、巧く解決する方法はないでしょうかと、国連や、OECD、IMF、WTO等が知恵を絞らなければならないのでしょうが、「問題解決は2国間で」というトランプさんの主張もあり、国際機関は出る幕がないようです。

 はっきり言ってしまえば、アメリカ企業が国内労働者を見捨てて、賃金の安い後発国へ出ていくことばかり考え、企業はMulti-nationalsとして立派になりましたが、それがアメリカ経済に悪影響を及ぼすという結果を無視してきたこと、つまり、企業と国家の利益が相反することについての国内の認識が不十分で、国と企業の適切なコミュニケーションもなく、「国としてどう考えるか(するか)」という重要な問題への関心やアプローチが無かったという失敗がもたらしたものという事でしょう。

 トランプさんにしてみれば、今は結果だけ見て被害者意識のかたまりでから、「解決の手段は貿易戦争」という事なのでしょうが、それでは世界中が迷惑するばかりです。
 
 トランプさんを説得することは容易ではないでしょうが、G7とかG20などで、この問題をしっかり議論することが本当は必要なのでしょう。

 日本にとってもこの問題は重要でしょう。何時かアメリカの様にならないように準備は出来ているのでしょうか。