tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

トランプ大統領、対中貿易柔軟化へ

2020年02月19日 23時02分49秒 | 国際関係
トランプ大統領、対中貿易柔軟化へ
 トランプ大統領は、突如としてか、なし崩しにか解りませんが、強硬な対中貿易路線の転換に動いたようです。

 先に、対中関税の半分への引き下げを決めましたが、今度はアメリカGE社が仏サフラン社との合弁で製造しているジェットエンジンの対中輸出制限を非難し、規制を緩めるべきだと政権に指示したとのことです。

 関税引の引き下げについては、それによって、中国のアメリカからの穀物の輸入の大幅増加を引き出したとしていますが、今回のジェットエンジン輸出制限については、「アメリカが輸出しなければ、自力で作るか、よそから買うか」という事で、「アメリカにとって、結局プラスにはならない」という説明のようです。

 考えてみれば、これは全くまともな説明で、アメリカはジェットエンジンをどこにでも売って、アメリカとしては、さらに優れたジェットエンジンを作り続けるのが最善の道というのは自明でしょう。

 ファーウェイについては相変わらず厳しいようですが、これは通信機器という性質上の問題が絡むからでしょうか。我々にはわからない所です。

 いずれにしても、世界経済という視点から見れば、米中貿易摩擦で多くの国の経済がマイナスの影響を受け、結果的に世界経済が下振れし、そこにまた、新しいコロナウィルス問題が発生して、これがまた経済の下振れを招くといった、人災に天災が重なったような状態ですので、ここは少し貿易戦争も休戦して、世界経済に過度なマイナスにならないような選択をする方が賢明かもしれません。

 我われ素人の目から見ていると、トランプさんも、はじめは、中国は、対米輸出で儲けているから関税をかければいいと単純に思って、実際に関税をかけてみると、対中貿易で儲けていたのはアメリカの企業が多かったようで、返り血を浴びて軟化したように思われてなりません。

 マスコミでは、トランプ大統領は利益に敏感なので、損になる事が解れば態度は変わるのは当然のような指摘もありますが、このあたりがやっぱり良く解らない所で、どのくらい長い目で見て損得を判断するかという期間設定によって、判断は変わってきます。

 ユネスコから脱退したり、気候変動のパリ協定やイランの核協定から離脱したりするのも、長い目で見れば、決してアメリカの得にならないのではないかと思うのですが、期間設定はもう少し短期で、認識の分野はビジネスだけなのでしょうか。

 大国の世界的責任とかノブレス・オブリージュといった見方からすれば、期間設定は出来るだけ長期の方がいいし、視野は広い方が良いように思うのですが、いままでのトランプさんには、覇権国の大統領ですが「 国としての地球的責任(NGR)」といった問題までの広い視野での長期的視点は、やっぱり無いのでしょうか。

 これから大統領選挙戦の本格化を控えて、トランプさんの視点の広範囲化と長期化と、アメリカ国民の視点の広さと長さとがどんな関係になるのか、それに巻き込まれる同盟国日本の視点の的確さも含めて、短期的視点と長期的視点や、視点の広さの錯綜や確執が如何なる展開になるのでしょうか。確り見ていきたいと思う所です。