tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

NYダウは下げられない、日経平均は?

2020年02月07日 20時49分21秒 | 経済
NYダウは下げられない、日経平均は?
 この所、アメリカの株価の動きは順調です。対中摩擦が問題になって下がると、トランプさんが宥和的なツイートをして、結果は上げ幅の方な大きくなるようです。

今回のコロナウィルスの場合も、一時下げましたが、すぐに持ち直しています。頻繁に史上最高といった言葉が聞かれます。
テレビでも「株が上がって生活が安定した。トランプさんのお陰です。このまま行ってほしい。」などというインタビューの様子が見られたりします。

 日経平均の方も、アメリカのコピーなどと言われるように、一時下げても、また上値を追っているようです。

 アメリカでは雇用統計が先行指標のようになっていて、雇用増が予想通りとか予想以上であればアメリカ経済は好調と判断されて株価が上がります。

 素人の私などが見ても、いよいよ始まった大統領選挙戦の中で、株価が下がったらトランプさんの評価にも翳りが出るでしょうから、トランプさんは、何としてでも雇用も堅調、株価も好調という状態を続ける必要があるのだろうと思っています。

ということになれば、当面、NYダウが暴落などないという予測が成り立って、結果的に日経平均もそれなりの水準を維持していくと読めそうな気がしてきます。

 とんだ「桶屋哲学」の株高予想ですが、他方では、「今のアメリカの株価は、はっきり言って、バブルじゃないの?」などという人もいますから、バブルならそう長くは続かないという判断もありうるでしょう。

 おそらく大統領選挙の結果がつくころには、アメリカ経済や株価にも何らかの変化が起きる可能性は大きいと思います。理由は、今のアメリカ経済が、かなりの無理の上に成り立っているという現実があるように思うからです。

 過日も日銀が、アメリカの中小企業向けローンを証券化した商品 CLOについての警告を出しましたが、これは リーマン・ショックを引き起こしたサブプライムローンの証券化のいわば焼き直し版だから要注意ということでしょう。

 基本的に、アメリカは、1986年に純債務国に転落して以来、ほとんど毎年経常赤字で、国としての借金は増加の一途です。
 国でも家計でも収入より支出が大きければ、その穴は借金で埋めなければなりません。
トラプさんは幸運にも、アメリカがシェールオイルの開発で、世界一の産油国になるという時の大統領です。石油・ガスの純輸出国になるそうです。
 つまりこれまでの石油輸入のお金が要らなくなるわけですから、経常赤字も大幅に減るはずですが、トランプさんになってから財政赤字も経常赤字も大幅に増えています。

 ということは、新しい収入源が出来たのに、それは贅沢に使い、そのうえ、今まで以上に借金をして国内景気を支えているということでしょう。
 それなら、雇用も増え、好況感いっぱいで、NYダウが上がっても当然ですが、実はその背後で、借金はどんどん増えているという現実があります。

 いくら基軸通貨国といっても無限に借金が出来るわけでもないので、何時かは資金繰りがつかなくなります。CLOを使って新たなリーマン・ショックをやるのでしょうか。外国も、もうAAAという格付けには騙されないでしょう。
 こういうアメリカ経済の状況を、中国の諺では「累卵の危うき」というのでしょうか。