tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

人口減少・都市消滅、長期予想を反面教師に

2024年04月26日 15時08分01秒 | 文化社会

有識者グループ「人口戦略会議」は、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに2050年を過ぎると出産適齢期の女性の数が多くの都市で半減し、その結果人口が急減する可能性が高くなり、結果的に全国で消滅する都市が744に達するという推計を発表し、反響を呼んでいます。

前提は社会保障・人口問題研究所の日本の人口の将来推計で、これは都道府県別、市町村別など詳細ですから人口戦略会議はその推計を発展させ、都市の消滅というショッキングな推計にまで展開したのでしょう。

元々の人口推計は、2030年には日本の人口は1億1500万人になり、2050年には9500万人、2100年には4800万人という中位推計の数字です。

「人口推計」は比較的正確度が高いなどと言われるので、政府機関がこういう数字を出しますと、真面目な日本人はどうも将来について悲観的になるようです。

それでも「あなたの住んでいる都市はいずれなくなりますよ」などと言われば「消滅などさせない」という人の方が多いと思いますが、このところ長期不況で、元気が出ない日本人も「そこまで言われては」と少し昔の元気を取り戻せないものでしょうか。

政府は高齢化対策ばかり懸念していた時代から、アメリカに追随いて防衛力の増強に熱心になり、今度は子育てに力を入れると言い、防衛費までは何とか算段をしましたが、子育てではもう財源がありません。国民一人一人に金を出せという事になるようです。

政府は「出せ」と言えば済むのかもしれませんが、国民にすれば、稼がなければ出せません。そして結局は経済成長が無ければ駄目だという事になるのです。

考えてみればこれは当たり前のことで、政府はおカネの印刷は出来ても、経済成長は民間にしかできない仕事です。つまりは、民間、具体的には企業の労使が頑張って経済成長を実現するしかないのです。

いくら政府が補助金や給付金を出しても、経済は成長しないのです。補助金や給付金は、国民の「やる気」を「カネを出した分だけ」失わせているのです。

今年の春闘はその辺に企業労使が気付いて、やっぱり労使が協力して頑張らなければ駄目だと思い直し、「まずは給料を上げよう、カネは大分溜っているから」という雰囲気が出てきたところでしょう。

この企業労使の「気付き」は極めて大事です。1980年代まで、日本の労使はアメリカ・ヨーロッパ何するものぞ、という気概で、世界一の経済成長を成し遂げて来ました。

私自身、駆け出しのころ国際的な会合で、日本の高度成長の説明に苦労しましたが、次第に日本の発言が一目置かれるようになり、非常にやり易くなったのを実感しています。

あの頃の日本人がやって来た事が今の日本人に出来ない事はないでしょう。政府に頼るのをやめて、民間企業(労使)が「我々が主役」の意識で本気になれば、それは容易に可能になるでしょう。井深大、本田宗一郎、松下幸之助の時代の続編です。

そしてその結果が出れば、気が付いたら合計特殊出生率も上がっていたり、厚生労働省は人口推計をやり直したり、都市が消える話などは忘れられるのではないでしょうか。

その頃の年寄は「あれは反面教師だったのだよ」と言うかもしれません。