何処の国でも、国民は、基本的にその国の「GDP」(国内総生産)で暮らしています。ですから、国民にとって最も関心のある経済指標はGDPでそれが年々何%増えるかという「経済成長率」は最大の関心事といってもいいでしょう。
高度成長期は良かった。それに引き換えこの30年は殆ど経済成長が無く、「一人あたりGDP」はかつての常時世界のベスト10入りから、今や世界30位以下に転落しているというのは、日本人が身に沁みて感じているところでしょう。
勿論GDPの配分としてのサラリーマンの給料にしてもGDPと同様増えない時代が続き、「賃金統計」でそのあたりも歴然です。
賃金統計と言えば、関連するのは「消費者物価統計」です。賃金の上昇率より物価の上昇率が大きければ「実質賃金」はマイナスで、生活のレベルは下がるという事はわかっていますし、そういう状態が23か月も続いているといことはマスコミでも報道します。
こうして経済関係の統計は国民にいろいろなことを教えてくれます。国民は政府がきちんと経済政策をやってくれているのかどうか、選挙演説とは別に、客観的なデータとして、正確に判断する資料を持つことが出来ます。
国民と政府の経済的な関係では「国民負担率」という数字が発表だれています。これは、国民の働きが生み出した国民全体の所得である「国民所得」(≒GDPから「減価償却費」を差し引いたもの)に占める「税金+社会保険料」の割合で、国民は(企業も含め)自分たちの稼ぎの何%を政府に納めているかを示します。
「国民負担率」が高い国(訪欧諸国など)では政府のサービスは手厚く、アメリカの様にあまり政府に頼るなという国の「国民負担率」は低く、日本はその中間です。
ところで、いま日本で問題になっているのは「格差社会化」のようです。非正規従業員が増えた事が原因と言われたり、高額所得者が増えたからなどとも言われます。
格差社会化が進んでいるかどうかについても統計があります。それは「ジニ係数」という指標です。「ジニ係数」0~1の数字で格差が大きくなると数字が増えます。
所得の分配が完全に平等なら「ジニ計数」はゼロです。1人の人に所得が集中していればほぼ1でゼロに近いほど格差の少ない社会です。
ところで日本での「ジニ計数」はどうなっているのかですが、厚生労働省が総務省の「家計調査」をベースにした「所得再分配調査報告書」というのを2年おきに出していて、そのなかで当初所得の「ジニ係数」と税・社会保険料で所得再分配を行われた後の「ジニ計数」を計算しています。
その最新資料(令和3年)によりますと
という事になっています。
この間、所得格差は増えたが、税・社会保険料で再分配した結果、格差社会化は進んでいないという結果です。
この報告書はOECDに報告するために作られている資料のようですが、OECDでは世界各国の所得の「ジニ計数」を発表しています。
それによりますと日本のジニ係数は主要国の中では低い方ではありませんし長期的に見れば高まっているようです。
格差問題がいろいろな場で議論されている今日の日本です。「ジニ係数」を積極的に活用してより豊かで快適な日本経済実現に役立てたら良いのではないかと考えるところです。