キャベツの値段が倍以上になったとか、収穫時のキャベツ畑で、一夜にしてキャベツが全部盗まれたとか、日本でそんな事が起きるのかと情けなくなるようなニュースが入ってきます。これもキャベツの値上がりと同時に日本社会の劣化現象の結果のように感じられます。
キャベツから電線まで盗まれるような社会の劣化問題は重大事ですが、物価問題でいえば、生鮮食品の価格の変動も些かひど過ぎる気もします。現状、生鮮食品とお米の価格上昇が消費者物価指数を押し上げています。
キャベツの価格は、天候が良ければ暴落し、産地ではトラクターでひき潰す事もあるように、天候次第という面もありますから、この所政府は消費者物価指数の発表の際には「生鮮食品を除く総合」の数字を発表しています。
ところで、12月の消費者物価指数は、生鮮食品の値上がりもありますが、エネルギー価格の上昇、お米の値段の異常なほどの上昇もあり上昇基調が続いています。
消費者物価3指標の原指数の推移(総務省)
上の図の原指数の動きですと昨年9月に、ようやく物価も安定してきたなと思った途端、その後は急角度の上昇です。
日銀も今回の利上げは物価が安定してきたからというより、インフレ防止という意味が強くなりそうな状態です。
トランプさんが石油の値段を下げろと言っていますから、エネルギー価格があまり上がらないかもしれませんが日本ではお米の価格が対前年比で10月は60%、11月は64%、12月は66%と上がり続けています。漸く備蓄米放出などと言い始めましたが、政府はお米の価格を下げる気はないようです。
お米の値段が上がれば、すでに、すし、おにぎり、牛丼などなど値上上がりが始まっていますが、大手の宅配弁当なども3月から値上げを考えているようです。高齢者の家計は大変です
12月の動きを前年比で見ますと下の図です。
消費者物価3指数の対前年比(総務省、%)
「総合」は3.6%、「生鮮食品を除く総合」が3%、「生鮮とエネルギーを除く総合」が2.4%と最も落ち着いていますが、これからが問題でしょう。
お米の値段は、あまり下がりそうにありません。すでに9月段階で農協の、農家からの買取価格が昨年より3割上昇と決まっていて、その結果が小売価格の6割上昇という事になったようです。
主食であるお米が6割も上がって、政府やマスコミが大騒ぎしないという事は通常ならあり得ない事だと考えれば、これも政府の政策の裡なのでしょう。
春闘では、大企業の一部の6%賃上げ方針や、連合の中小企業6%賃上げ目標、単産労組の発表する賃上げ基準がベア中心になり高めになって来ています。結果にもよりますが、自家製インフレの懸念もあります。
遅きに失した感もありますが、デフレ脱出はこれで完成という事になりそうです。
デフレ脱出で政府は万歳かもしれませんが、デフレ脱出はインフレにすることではなく、実質経済の成長が目標ですから、取り違えの無いように願いたいものです。