tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

諺とツイッター

2023年04月14日 21時45分23秒 | 文化社会
諺とツイッター
電気自動車のトップ企業「テスラ」の創業者で、世界トップクラスの資産家と言われるイーロン・マスク氏がツイッター社を買い取って、経営合理化のために従業員を半分に減らすのだそうで、大変なことのようですが、経営の問題はさておき、ここでは情報伝達手段としての言葉の問題です。

ツイッターでは英語でも日本語でも140字以内でないといけないという事で、長い文章は書けません。
(ツイッター・ブルーという400字というのもあるようですがあまり使われてはいないようです)

日本語で140字はまだいいとして、英語の140字では、些かword数が足りないような気がします。

いずれにしても、常人には、そんな短い文章で、自分の意思や情報をきちんと伝えることは至難でしょう。

「寸鉄人を刺す」ような名文や警句を即座に編み出すなどは、バーナード・ショウやプア―・リチャードならともかく、2~3日かけて考えても駄目でしょう。

日本人は、それでも、俳句、短歌、川柳、狂歌という伝統文化もありますから、まだいいのかもしれません。

そういう意味で感心するのは「諺」です。
「諺」は決して長くありません。しかし、聞くと誰もが素直に感心し納得するものが多いからこそ、何百年、何千年も語り継がれているのでしょう。

しかし、そうした諺でも、場合によっては大変な誤解を生じる場合もあります。
例えば
「君子危うきに近寄らず」と「虎穴に入らずんば虎児を得ず」は意味が反対。
「一石二鳥」と「二兎を追うものは一兎を得ず」も同様。
「待てば海路の日和あり」と「待ちぼうけ」も同様。

こうした諺は、直接「やれ!」とか「やめろ!」とかいうのではなくて、何かに託して考え方を伝え、その場に適切であれば説得力を持つのです。しかし状況が違うととんでもないことにもなります。

例に挙げたのは極端な、並べてみれば正反対の意味のものですが。言い回しの巧みさもあって、状況とタイミング次第で効果的な、納得性のあるものなのです。

ツイッターなども、こうした諺のように、厳しく鋭い発言の趣旨をソフトに「例え」や「ユーモア」や時には「ペーソス」などに包んで、巧みに表現すればいいのかもしれませんが、常人にはとても可能という感じがするのです。

常人がそれをやろうとすると、長文の説得調になるか、端的な肯定や否定の言葉になるか、場合によっては誹謗・中傷、悪口雑言のようなものになりかねません。

トランプさんをはじめ、政治家もツイッターを多用するようですが、それは単純に、自分の意見に賛成か反対かの反応を知るためが多いようです。
単純な反応で物事が済むようになると往々人間社会は賛否の分断の兆候が出て来ます。

こうして、「短文」が広く社会に行き渡ることは、表現の単純化から思考の単純化、行動の単純化を生むような気がしてなりません。

イーロン・マスクさんが、ツイッターを買収したのも、ツイッター文化に何らかの問題点を感じ、何ら化の改革を試みようと思ったからでしょうが、さて、ツイッターはどんなことになるのでしょうか。

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