輸入品が値上がりしても、円安になっても輸入物価が上がって、その影響で、国内物価も値上がりします。今、アメリカやヨーロッパでは大問題です。
日本でも当然同じ影響があるわけで、やっぱり物価が上がっています。しかし、日本の場合は、アメリカやヨーロッパのように大きく上りません。
いずれもこの1年間で、アメリカが8%、イギリスが10%などと言いますが、日本は3%です。
この差は何でしょうか?これがまず1つ目の問題です。
もう1つの問題は、円安になっても同じように輸入物価は上がります。
輸入品の国際価格が値上がりした場合でも、円安の場合でも(円安と書いたので日本の場合という事になりますが)輸入物価は同じように上がりますが、日本経済への影響は違うのでしょうか?これが2つ目の問題です。
そんなことはもう解っているよと言われる方は物価問題の専門家ですからこれからの説明はお読みになる必要はありません。
実は、私もよく解らないので、書きながら、頭の中を整理してみたいと思っているのです。
先ず、GDP100兆円の経済で輸入依存度が10%の経済と仮定し、輸入物価が5割上がったとします。
これまで10兆円 で済んでいた輸入代金が15兆円になります。5兆円は日本のGDPの中から外国に払われますので、今迄と同じ100兆円のGDPを生産すうためには105兆円のカネが必要になります。
この増分5兆円は通常、輸入関連品目の値上げで賄われることになります。「済みませんが、輸入大豆が値上がりしたので豆腐が値上げになります」といった形です。
100兆円のGDPは105兆円になり、値上げで賄った5兆円(5%)は、物価上昇(GDPデフエータの上昇)という事になり実質GDPは100兆円で変わりません。
この5兆円の損を、国内の経済政策で取り返すことは出来ません。翌年から経済成長をし、1%成長なら5年、2.5%成長なら2年、5%成長で1年かけて取戻すしかないのです。
輸入品が値上がりした分だけがきちんと負担されればこれでいいのですが、アメリカやヨーロッパでは、輸入原材料が値上がりしたからと言って余計に値上げしたりする「便乗値上げ」、物価が上がったから賃上げもしろと言って余計な賃上げをするケースが一般的です。そうすると物価は計算上より大きく上ります。
今の欧米の状態は正にそれで、嘗て1970年代の石油ショックの時もそれが酷く結局スタグフレーションになって苦労したので、アメリカではFRBが早期に金利を上げてそうした動きを抑えようとして、後に触れます為替レートの問題に繋がります。
日本の場合は、全く逆で、輸入原材料が値上がりしても我慢して値上げをしない傾向が強かったので、上の例でいえば5兆円が回収できないので、利益が減り輸入も手控えられることもあり経済成長が名目105兆円、実質100兆円にいかないといった経済成長の阻害が起きたりします。
政府は心配して目立つ所(たとえば石油元売り)に補助金を出したり、色々な景気テコ入れ策をやるので国債発行が増えて、国民の将来負担が増え、財政再建などは不可能になりますが、それでも物価は上がらず経済成長の小さい国になります。
欧米の様な便乗値上げでおインフレ景気になる国と、日本のように、輸入品の値上がり分が値上げできず、不況と低成長、政府の赤字が増える国の両極端に分かれています。
ただ日本のような国は例外で、こんなに国民が値上げを気にする国は他にないようです。
ですから金融政策も、欧米は金利の大幅引き上げ、日銀は逆に金融は緩和一筋という逆方向になるわけで、日銀は理屈通りの事をやっているという事でしょう。
しかし、欧米の金融引き締めもすぐにはインフレ抑制に効かないように、逆の日本でも金融緩和がすぐにインフレには繋がりません。
その日本で、最近、輸入原材料高騰だから国内価格もその分上げたいという値上げの動きが起きています。これは正常化への動きですが、その中にはいくらか便乗値上げ的なものも散見されます。
上の例でいれば正確に5兆円分の値上げを正確にやることは不可能でしょうが、余り遠慮したり欲をかいたりせず正直に価格設定をすれば欧米と今の日本の中間の適切な経済に落ち着くと思います。
欧米の「行き過ぎ」、日本の「行かな過ぎ」の結果起きているのが「ドル高、円安」問題です。次回はその困った問題について考えてみましょう。
日本でも当然同じ影響があるわけで、やっぱり物価が上がっています。しかし、日本の場合は、アメリカやヨーロッパのように大きく上りません。
いずれもこの1年間で、アメリカが8%、イギリスが10%などと言いますが、日本は3%です。
この差は何でしょうか?これがまず1つ目の問題です。
もう1つの問題は、円安になっても同じように輸入物価は上がります。
輸入品の国際価格が値上がりした場合でも、円安の場合でも(円安と書いたので日本の場合という事になりますが)輸入物価は同じように上がりますが、日本経済への影響は違うのでしょうか?これが2つ目の問題です。
そんなことはもう解っているよと言われる方は物価問題の専門家ですからこれからの説明はお読みになる必要はありません。
実は、私もよく解らないので、書きながら、頭の中を整理してみたいと思っているのです。
先ず、GDP100兆円の経済で輸入依存度が10%の経済と仮定し、輸入物価が5割上がったとします。
これまで10兆円 で済んでいた輸入代金が15兆円になります。5兆円は日本のGDPの中から外国に払われますので、今迄と同じ100兆円のGDPを生産すうためには105兆円のカネが必要になります。
この増分5兆円は通常、輸入関連品目の値上げで賄われることになります。「済みませんが、輸入大豆が値上がりしたので豆腐が値上げになります」といった形です。
100兆円のGDPは105兆円になり、値上げで賄った5兆円(5%)は、物価上昇(GDPデフエータの上昇)という事になり実質GDPは100兆円で変わりません。
この5兆円の損を、国内の経済政策で取り返すことは出来ません。翌年から経済成長をし、1%成長なら5年、2.5%成長なら2年、5%成長で1年かけて取戻すしかないのです。
輸入品が値上がりした分だけがきちんと負担されればこれでいいのですが、アメリカやヨーロッパでは、輸入原材料が値上がりしたからと言って余計に値上げしたりする「便乗値上げ」、物価が上がったから賃上げもしろと言って余計な賃上げをするケースが一般的です。そうすると物価は計算上より大きく上ります。
今の欧米の状態は正にそれで、嘗て1970年代の石油ショックの時もそれが酷く結局スタグフレーションになって苦労したので、アメリカではFRBが早期に金利を上げてそうした動きを抑えようとして、後に触れます為替レートの問題に繋がります。
日本の場合は、全く逆で、輸入原材料が値上がりしても我慢して値上げをしない傾向が強かったので、上の例でいえば5兆円が回収できないので、利益が減り輸入も手控えられることもあり経済成長が名目105兆円、実質100兆円にいかないといった経済成長の阻害が起きたりします。
政府は心配して目立つ所(たとえば石油元売り)に補助金を出したり、色々な景気テコ入れ策をやるので国債発行が増えて、国民の将来負担が増え、財政再建などは不可能になりますが、それでも物価は上がらず経済成長の小さい国になります。
欧米の様な便乗値上げでおインフレ景気になる国と、日本のように、輸入品の値上がり分が値上げできず、不況と低成長、政府の赤字が増える国の両極端に分かれています。
ただ日本のような国は例外で、こんなに国民が値上げを気にする国は他にないようです。
ですから金融政策も、欧米は金利の大幅引き上げ、日銀は逆に金融は緩和一筋という逆方向になるわけで、日銀は理屈通りの事をやっているという事でしょう。
しかし、欧米の金融引き締めもすぐにはインフレ抑制に効かないように、逆の日本でも金融緩和がすぐにインフレには繋がりません。
その日本で、最近、輸入原材料高騰だから国内価格もその分上げたいという値上げの動きが起きています。これは正常化への動きですが、その中にはいくらか便乗値上げ的なものも散見されます。
上の例でいれば正確に5兆円分の値上げを正確にやることは不可能でしょうが、余り遠慮したり欲をかいたりせず正直に価格設定をすれば欧米と今の日本の中間の適切な経済に落ち着くと思います。
欧米の「行き過ぎ」、日本の「行かな過ぎ」の結果起きているのが「ドル高、円安」問題です。次回はその困った問題について考えてみましょう。