今日は、地元の町内会の絵画クラブの作品展を見に行きました。
会場は、所沢駅前の市民ギャラリーでした。「とんぼ展」と言う名前がユニークです。町内に日月神社をいう歴史の古い神社があります。その神社の 境内に通称「とんぼの寄木」と言われるけやきのかれた古木があります。この木にまつわる民話が有名ですが、新しい住民の方はほとんど知りません。この木に因んで「とんぼ絵画クラブ」「とんぼ展」と称しているそうです。とんぼのやどりきの民話を下に記しました。
世話役の方の案内で50点余りの作品を見せてもらいました。町内の方の作品ですから、お名前を見聞きした方ばかりです。でも、作品はいづれも立派です。海外でスケッチした作品も多く、クラブ員の熱意の程がみなぎっていました。
休憩のテーブルの上には、今までの作品集が展示してありまた。
「とんぼ絵画クラブ」と開場してから30回目の作品展です。それ以前の時代のものもありますので、30有余年続いている作品展だそうです。
絵画の指導者はいません。各自がそれぞれの描き方で描いた作品を持ち寄り、作品展を開いているそうです。ユニークなクラブです。よい勉強をさせてもらいました。
民話 とんぼのやどり木
昔々、埼玉のある所に家来に無理難題ばかりを申し付ける殿様がいた。
家来の顔が怖いから取り替えて来いと言い、それが出来ないと知ると、今度は家来の眉毛を剃り落とし、顔に落書きをするという調子だった。
ある日殿様は、空に浮かぶ雲を取ると言い出し、4人の家来を連れて北秋津の日月神社(じつげつじんじゃ)の境内の近くにやって来た。そこで、空に浮かぶ雲を矢で射落とすよう家来に命じた。そんなことは出来ようはずもなく、家来の1人が、「とんぼが邪魔をして矢を射れません。」と言い訳をして、何とか殿様の機嫌を損ねないようにした。
すると殿様は、今度はとんぼを自分の歳と同じ数だけ捕まえて来いと家来に命じた。家来たちは、とんぼを取る道具も無ければ虫かごも持ってないので、悪戦苦闘する。しかし家来の1人が、ちょうど境内の裏で鳥もちでとんぼを取っている子供を見つけ、虫かごに入ったとんぼを譲ってもらった。ところが、とんぼの数は殿様の歳には1つ足りない。
家来の苦労をよそに昼寝をしている殿様を起こすと、家来たちは、とんぼを捕まえたものの、殿様の年齢の数には1つ足りない旨を伝えて土下座して謝った。しかし殿様の怒りは治まらず、とんぼが入った虫かごと手に取ると、こう言った。
「これ日月大明神よ、もしお前に神としての力があるなら、これからワシが投げ入れるとんぼを、別の木にしてご神木から生やして見せろ。それが出来ないのなら、この祠は取り壊してしまうぞ。しかし、もしそれが出来たら、ワシは二度と家来に無理難題は言わない。」
そう言うと、殿様はとんぼの入った虫かごを、ご神木の空ろ(うつろ)の中へ投げ入れてしまった。
すると、なんと不思議なことに、ご神木の空ろの中から榎木(えのき)が生えてきた。そしてそれ以降、殿様は口が聞けなくなり、本当に家来に無理難題が言えなくなってしまった。
今では、日月神社のご神木のケヤキは枯れてしまい、その枯れ木の空ろの中から生えた榎木だけが大きく育っているそうだ。