守田です。(20110713 23:30 )
再び京都の企画のお知らせです。7月17日に、自民党の河野太郎さんを囲んだ討論会が行われます。僕もスタッフとして参加します。事前申込制で、あと枠が30人ぐらいだそうですので、ご参加ご希望の方、お早めにお申し込みください。
当初、この企画への協力を求められた時、とまどいも感じました。国会議員さんにあまり興味を感じないことが一つ。ましてや自民党の方にはなおさら興味を感じないことが二つ。さらに河野さんの見解自身も良く知らないことが三つ。
でも、今はこういう考え方は狭いかなあと思いなおしました。
国会議員だからではなく、自民党ということも差し置いて、原発を批判している人の話なら、何でも聞いたり、話したり、意見を交わしたりする必要があるのではないだろうか。
ましてや、原発推進派の総本山だった自民党の中で、原発への批判をどうやって行っているのか、一度、虚心坦懐に耳を傾けてみなくちゃいけないなと思い、参加を考えました。それで河野さんの見解を学んでみました。
それで見えてきたのは、河野さんは脱(反)原発ではなくて、「反核燃料サイクル」という立場にあることです。この辺が、ネットテレビ「トーク・オン・デマンド」をまとめた地震と原発 今からの危機』に掲載されたのでみていきましょう。(同書は「扶桑社」から刊行されています)
河野さんによる核燃料サイクル批判
核燃料サイクルについて、河野さんはこう述べています。「たくさん問題があります。まずひとつは、一番の肝である高速増殖炉が、まったく見通しが立たないこと。・・・いま政府の公式見解では「少なくとも2050年までは実用化できない。そのあとは分からない」。つまり高速増殖炉なんで影も形もないわけ。」(同書p191)
現在日本が40トンものプルトニウムを使い道もなく持っていることを踏まえつつ「青森県六ケ所村に核燃料再処理工場を建設中で、これができたら毎年8トンもプルトニウムができちゃうんです。こんなバカな話はないでしょう。これが2番目の問題」(同書p192)
「で、推進派は切羽つまって「プルサーマルでいきましょう」と言いだした。でもプルサーマルは・・・1割のウランを節約できるだけなんですよ。・・・全部MOX燃料にしても、ウランの埋蔵量70年分が7年伸びるだけでしょ。寿命を7年延ばすのに何兆円もかけるんだったら、オーストラリアのウラン鉱山を買っちゃった方が安いという話で。これが3番目の問題です。」(同)
つまりプルトニウム利用計画が、高速増殖炉建設の行き詰まりによって展望がなくなっているのだから、核燃料サイクル計画から撤退すべきだというのが河野さんの基本的な見解で、僕はそれ自身は正しいと思います。
僕自身、今、「行き詰った原子力政策」を連載中ですが、そこでも原子力政策の行き詰まりの大きな根拠としてあげているのは、プルトニウム利用計画の破産です。
なぜならもともと原子力政策は、ウラン鉱石の中に99.3%も含まれる、核分裂しないウラン238が、中性子を吸収してプルトニウム239という核分裂性物質に変わるので、これを取り出して新たな燃料にし、多大なエネルギーを手にするための政策なのであって、核燃料サイクルのとん挫は、原子力政策そのものに未来がないことを示すものに他ならないからです。
原子力政策からのソフトランディングをめざす河野さん
ではどのようにして核燃料サイクルを閉ざしていくのか。あるいは原子力政策からどう離脱していくのか。この点を河野さんはどのように考えているのでしょうか。同書の中ではなぜか対談している神保哲生さんがまとめています。
「僕からざっと解説すると、まず「原発の新規立地も増炉もやめる」。それから「危ない原発―古かったり活断層の上だったりする原発を止める」。それ以外の原発は、安全確認を行った上で稼働する。原子炉の耐用年数が40年とすると、どんどん廃炉になって、2050年までには原発はなくなるわけです。その間、再生可能エネルギーの普及を猛スピードで進め、中継ぎ的に天然ガスを使う。これが河野さんの提案です。」(同書p205)
つまり「危なくない原発の稼働は認める」という、言わばソフトランディング計画なわけです。これを踏まえて河野さん自身は次のように語っています。
「僕自身、「原発は危ない」という論点には、意図的に与してこなかったんです。「原発危ない!止めろー!」みたいな運動がありますが、逆にあれも感情的だったり、あまり論理的でないと思うんで。「明日止めろ!」「じゃあ電気はどうすんの?」ということになっちゃう。
だからどうぞやってください。私は横で見てます、と。ですが、合理性で議論できる核燃料サイクルについては、私が出ていってケンカを買います、と。」(同書p211)
河野さんは原発の危険性を軽視しすぎではないか?
・・・河野さんは、「原発は危ない」というのは「感情的だったり、あまり論理的でないと思う」とおっしゃる。これには巨大なハテナマークです。福島原発事故を見たら、原発は危ないということは「感情的」でも「論理的でない」こともないのは明らかではないでしょうか。むしろ「論理的でない」とおっしゃる河野さんの方が、論理性を欠いているのではないでか。
原発は危ない・・・。多くの人がそれを論理的に解明してきました。その中心にあったのが日本は地震国多発国であること、また歴史的に何度も巨大な津波が起こっていることでした。そうして今回、悲しいことにその論理的な指摘通りのことが起こってしまった。にもかかわらず、河野さんのこの見解は、僕には納得できないですね。
さらにそうした地震や津波による崩壊だけでなく、そもそも通常運転でも原発が放射能を常に漏らしていること、また深刻な被曝労働があってこそ、運転が成り立っていることにも、河野さんの目は行き届いてないのではないでしょうか。あるいは内部被曝の問題を余りに軽視しているのではないか? 僕にはそう思えます。
それらから、僕自身は、自民党の内部から核燃料サイクル批判を行っている河野さんに共感を表明しつつも、河野さんにもっと原発の危険性について目覚めて欲しい、内部被曝の恐ろしさに気がついて欲しいという想いから、お話をしにいこうと思います。そんな点で「河野太郎さんとガチンコ討論」ができて、実のある集まりになるといいなと思います。
申し込み枠が後わずかですが、興味があるかたはぜひご参加下さい。こうやっていろいろなところで論議を重ねながら、脱原発の道をみんなで創っていけるといいと思うのです。
**************************
「河野太郎・脱原発 in 京都」 トーク集会
2011年7月17日(日) (事前申込制)
【日時】 2011年7月17日(日)14:00~16:30
【場所】 京都市岡崎 みやこめっせ地下会議室
【要・事前申込】 先着120名
【申込先】 sato_etsu[@]hotmail.com
090-4037-2158(さとなか)
-----------------------------------------------------
長年、原子力開発を推進してきた自民党にあって、党内から疑問を呈し、臆せず批判を続けている衆議院議員河野太郎さんと、フリーにおしゃべりする場をもちました。ナマ河野太郎さんとガチンコ討論、ぜひ、ご参加ください。
注意事項:事前申込制です
(2011年7月11日付:主催者からのメール案内より)
「17日の河野太郎議員とのトーク集会は申し込み制です。
まだ席にゆとりはありますが、もしかしたら(先着120人だから並べばいい)と誤解されている人もある様子です。
当日混乱のないよう、ご連絡をお願いします。」
【申込先】 sato_etsu[@]hotmail.com
090-4037-2158(さとなか)
(なおこの集会案内はピースメディアから転載させていただきました。http://peacemedia.jp/event/110717.html)
守田です。(20110713 11:30)
これまで3回ほど出演させていただいた、「清水ただしの派遣村
TV」が、7月18日に公開録画を行うことになりましたので、お知
らせします。僕もスピーカーの一人として参加します。大阪での
開催です。お近くの方、よければご参加ください。申し込み先着
順です。
申し込み用紙はこちらからダウンロードできます。
会場アクセスのための地図も出ています。
http://hakenmura.tv/pdf/note.pdf
http://hakenmura.tv/pdf/acsess.pdf
このテレビは、インターネットで配信中。社会問題、労働問題な
どさまざまな課題について、派遣村村長の清水ただしさんが、ゲ
ストを招いて突っ込んだ討論を行っています。僕も原発問題で
繰り返し出演させていただいています。僕が参加した番組は以下
の通りです。
○4月30日 福島原発事故について
http://www.youtube.com/watch?v=s5jKoYRBQ08&feature=related
○6月11日 事故対策、チェルノブイリ事故との比較、
正常性バイアスなど
http://www.youtube.com/watch?v=xf1hyRqd_qc&feature=related
○6月25日 核兵器開発の副産物としての原子力発電と、
放射線から身を守る方法
http://www.youtube.com/watch?v=GNEhFjWWOp8&feature=related
今回は、村長の清水ただしさん、アシスタントの清水共子さんの他、
労働問題でやはり何度か登場されている大前弁護士と、僕と、4月
に村長代理をつとめたたつみコ―タローさんの5人で出演し、労働
問題、原発問題、大阪の経済について語り合います。公開録画との
ことで、会場からも質問をいただきながら進めていくそうです。
ちなみにこのときに僕は、お土産として脱原発団扇を持参するつも
りです。会場でみなさんにパタパタと振っていただいて、それも
収録していただき、会場からの帰りのバスや電車の中でも、パタパ
タと振っていただこうと思っています。
大阪では24,25日に天神祭がありますので、そこでもパタパタと
振っていただきたいですね。
脱原発団扇については、下記をご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/uchiwa10/20110630/1309453755
僕のブログでも紹介しています。
http://abc.pwkyoto.com/?eid=245
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/830d8ba2b31b93148863d04bb63e829b
以下、当日の公開収録についてのお知らせを貼り付けます。
*************************
行き倒れより、食い倒れの大阪に!
清水ただしの派遣村TV 公開収録
日時:7月18日(月)海の日
受付開始 13:00 収録 13:30〜16:30
会場:関西共同印刷所3号館4階
定員:100名(お申し込み先着順)
参加費:無料
お申し込み:申し込み用紙ご記入の上、FAXをお送り下さい。
☆ただともトークショーも開催☆
参加予定ゲスト
大前治さん(弁護士)
守田敏也さん(フリーライター)
たつみコータロー(此花区)他
話題は、労働問題、原発問題、大阪の経済についてです。
会場アクセス(市バスor 徒歩)
◆大阪駅前5のりば(JR 高架下歩道) から市バス58系統乗車
(野田阪神行き)大淀中四丁目下車
※12:35 発のバスにご乗車下さい。(12時代この1本のみ)
◆野田阪神前3 のりばから市バス58系統
(大阪駅行き)大淀中四丁目下車
※12:14 発と12:54 発のバスがあります。
(参照:大阪市交通局 http://www.kotsu.city.osaka.jp/index.html)
◆福島駅(JR 環状線、阪神電車) から徒歩約15 分
<お問い合わせ>
国会議員団大阪事務所内 派遣村TV製作委員会
〒540-004 大阪市中央区玉造2ー15ー7
tel : 06-6768-7371 fax : 06-6762-2673
mail : mail@hakenmura.tv ( 担当:桑山 )
これまで3回ほど出演させていただいた、「清水ただしの派遣村
TV」が、7月18日に公開録画を行うことになりましたので、お知
らせします。僕もスピーカーの一人として参加します。大阪での
開催です。お近くの方、よければご参加ください。申し込み先着
順です。
申し込み用紙はこちらからダウンロードできます。
会場アクセスのための地図も出ています。
http://hakenmura.tv/pdf/note.pdf
http://hakenmura.tv/pdf/acsess.pdf
このテレビは、インターネットで配信中。社会問題、労働問題な
どさまざまな課題について、派遣村村長の清水ただしさんが、ゲ
ストを招いて突っ込んだ討論を行っています。僕も原発問題で
繰り返し出演させていただいています。僕が参加した番組は以下
の通りです。
○4月30日 福島原発事故について
http://www.youtube.com/watch?v=s5jKoYRBQ08&feature=related
○6月11日 事故対策、チェルノブイリ事故との比較、
正常性バイアスなど
http://www.youtube.com/watch?v=xf1hyRqd_qc&feature=related
○6月25日 核兵器開発の副産物としての原子力発電と、
放射線から身を守る方法
http://www.youtube.com/watch?v=GNEhFjWWOp8&feature=related
今回は、村長の清水ただしさん、アシスタントの清水共子さんの他、
労働問題でやはり何度か登場されている大前弁護士と、僕と、4月
に村長代理をつとめたたつみコ―タローさんの5人で出演し、労働
問題、原発問題、大阪の経済について語り合います。公開録画との
ことで、会場からも質問をいただきながら進めていくそうです。
ちなみにこのときに僕は、お土産として脱原発団扇を持参するつも
りです。会場でみなさんにパタパタと振っていただいて、それも
収録していただき、会場からの帰りのバスや電車の中でも、パタパ
タと振っていただこうと思っています。
大阪では24,25日に天神祭がありますので、そこでもパタパタと
振っていただきたいですね。
脱原発団扇については、下記をご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/uchiwa10/20110630/1309453755
僕のブログでも紹介しています。
http://abc.pwkyoto.com/?eid=245
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/830d8ba2b31b93148863d04bb63e829b
以下、当日の公開収録についてのお知らせを貼り付けます。
*************************
行き倒れより、食い倒れの大阪に!
清水ただしの派遣村TV 公開収録
日時:7月18日(月)海の日
受付開始 13:00 収録 13:30〜16:30
会場:関西共同印刷所3号館4階
定員:100名(お申し込み先着順)
参加費:無料
お申し込み:申し込み用紙ご記入の上、FAXをお送り下さい。
☆ただともトークショーも開催☆
参加予定ゲスト
大前治さん(弁護士)
守田敏也さん(フリーライター)
たつみコータロー(此花区)他
話題は、労働問題、原発問題、大阪の経済についてです。
会場アクセス(市バスor 徒歩)
◆大阪駅前5のりば(JR 高架下歩道) から市バス58系統乗車
(野田阪神行き)大淀中四丁目下車
※12:35 発のバスにご乗車下さい。(12時代この1本のみ)
◆野田阪神前3 のりばから市バス58系統
(大阪駅行き)大淀中四丁目下車
※12:14 発と12:54 発のバスがあります。
(参照:大阪市交通局 http://www.kotsu.city.osaka.jp/index.html)
◆福島駅(JR 環状線、阪神電車) から徒歩約15 分
<お問い合わせ>
国会議員団大阪事務所内 派遣村TV製作委員会
〒540-004 大阪市中央区玉造2ー15ー7
tel : 06-6768-7371 fax : 06-6762-2673
mail : mail@hakenmura.tv ( 担当:桑山 )
守田です。(20110712 23:00)
311からこれまで、日々、刻々と変化する情勢に合わせながら情報発信を行っ
てきましたが、この間、脱原発に向けてぜひとも踏まえておきたいことがらに
充分、言及できずにきました。そこで今後、何回かに分けてこの点を論じたい
と思いますが、そのために、僕が一昨年の秋に書き、友人たちのMLに投稿した
原稿を再構成して連載させていただきます。
タイトルは「行き詰った原子力行政」です。福島原発事故があったから行き詰
ったというのではありません。日本の原子力行政はそもそもその前から行き詰
っていたのです。なぜなら原子力政策は、核燃料サイクル計画=プルトニウム
の大量利用によってこそ、「無限のエネルギー」を手にする体系だったにもか
かわらず、その道が完全に閉ざされてしまったからです。
このことをおさえるために、ここで核燃料サイクル計画=プルトニウム利用計
画の概要と、その道が閉ざされてしまった経緯についてみていきましょう。
プルトニウムの成り立ち
まず原子力エネルギーの基本から出発したいと思います。原子力は、ある物質
の原子が核分裂する際に発する、大きな熱エネルギーをさしています。人類が
これに着目したのは、もともとは原子力による爆発=核爆発を起こすこと、要
するに原子爆弾を作るためでした。原子力発電は、この工程でたくさん発生す
る熱を、何かに利用できないかと考えているうちに生み出された副産物でしか
ありません。
さてその原発ですが、現在運転している原子炉では、天然に存在するウラン鉱
石に含まれるウラン235という物質を核分裂の燃料にしています。ただし天然
鉱石に含まれている割合はわずか0.7%。凄く少ないことが1つのポイントです。
このウラン235に中性子をあててやると、原子が分裂します。これが核分裂の
基本です。
この核分裂反応では、大量のエネルギーや放射性物質の発生と同時に、幾つか
の中性子という物質が飛び出してきます。これが次のウラン235にあたると、再
度、分裂が起こり、連鎖反応が始まります。これが継続化し、核分裂が増えも
減りもせずに持続されている状態を、「臨界」と呼びます。
この時、中性子は、ウラン鉱石の残りの99.3%をしめるウラン238という核分裂
をしない物質にも当たりますが、そのときウラン238の一部は、中性子を吸収し
て3日ほどで、自然界には存在しない新たな物質に変わります。それがプルトニ
ウムです。正確にはプルトニウム239,240,241等々、幾つかのプルトニウムが生
まれます。このわずかに組成の違うものを同位体と呼びます。
この中で一番大事なのはプルトニウム239です。この物質は、ウラン235よりも
さらに核分裂性が高い。そのためより爆発性も強く、より強力な原子爆弾を作
ることができるのです。日本には広島・長崎の2箇所に原爆が投下されたわけで
すが、広島に落されたものはウランを使ったもの、長崎に落されたものは、プ
ルトニウムを使ったものでした。2タイプあったので、最低でも2箇所に落とす
「必要」があったのです。まさに壮大な人体実験でした。
その後の原子力エネルギーの利用は、このように核分裂性のないウラン238から
プルトニウム239が新たに生み出される点に期待をかけたものでした。ウランを
核分裂させてエネルギーを得ながら、同時に、プルトニウム239という新たな燃
料を生み出していくことになるからです。この体系が確立すれば、今は燃料には
使えない99.3%のウラン238を次々に燃料に変えることができるため、非常に長
期にわたってエネルギーを手にすることが可能になります。核燃料サイクルは、
そんな夢の体系として構想されたのです。
このサイクルは次のような形で実現が目指されてきました。まず通常に運転して
いる原子炉ではウラン235を分裂させているわけですが、ウラン235はもともと自
然界では0.7%しかないわけです。しかもこの部分だけを削り取って集めるには
大量のエネルギーを必要とするため、通常は少し濃度を上げて、3~5%にして
発電を行います。このため原子炉の中には、95%以上の燃えないウラン238が持
ち込まれることになります。
ここに中性子があたると、その中にプルトニウム239などが発生します。発生し
たプルトニウム239に再び中性子があたると核分裂するため、原子炉は、初めは
ウランの核分裂だけで運転されていますが、次第にプルトニウムの分裂の割合も
増えてきます。それでも原発の運転が終了したときに、使用済み核燃料の中には、
燃え残り(分裂しなかったという意味)のウラン235と、プルトニウム239が残っ
ているので、これを取りだす必要が生じます。これが「再処理」と言われる行程
ですが、放射能をたくさん含んだ放射線物質、外に出してしまえば「死の灰」と
呼ばれる物資と分離するので、その際に、どうしてもいくらかの放射性物質が大
気中に漏れ出てしまう難点を抱えています。
それでもなんとかプルトニウム239を取りだすと、今度はこれをウラン235と混合し
て、発電を行うことが目指されます。複合された燃料をMOX燃料といいますが、そ
の際にも核分裂性のないウラン238が再び炉心に入るので、運転のための核分裂を
引き起されると同時に、ここに再び中性子が当てられ、プルトニウムをよりたくさ
ん作ることが目指されます。こうして使った燃料以上のプルトニウムを回収しよう
というのが、核燃料サイクルの核心なのです。燃料を焚きながらにして増殖すると
いうのす。
もしもこれが可能になると、核分裂性のウラン235が少なくなっても、原発は残り
の99.3%のウラン238を次々にプルトニウムに変えて、運転を続けることが可能に
ります。そもそもウラン235は、ウラン鉱石の中に微量しか含まれていないため、
石油と比較しても埋蔵量(エネルギー換算)はけして多くはなくて、今のままの通
常運転だけでは、いつしか終焉を迎えることになります。(そして事実、その道を
確実に歩んでいます)。これを突破する魔法の竈(かまど)を作り出すのが、原子
力政策の核心でした。この魔法の竈が、「高速増殖炉」と呼ばれるもので、日本で
は「もんじゅ」(実験炉)がそれに当たります。
通常原発の仕組みと高速増殖炉
この「夢」のプルトニウムの増殖は、通常の原発ではできません。何故なのでしょ
うか。また高速増殖炉はいかにしてそれを可能にしていくというのでしょうか。
それを知るためには、通常の原発の仕組みを、もう少し、おさえる必要があります。
先にも述べたように、核分裂は中性子があたることによって連続的におこっていく
わけですが、この際、特徴的なこととして、中性子は、そのスピードが遅ければ遅
いほど、次の原子にあたりやすく、核分裂を誘発しやすいということがあります。
ゆっくりゆらゆら左右にゆれる幾つもの小さな玉を想像してみてください。それが
原子だと仮定すると、その間を中性子が抜けていくことを想像できます。かりに中
性子が光速だとすると、すきまが目視されたときには、中性子はその間を抜けてい
ることになります。
ところがごくごくゆっくりだと、ゆれ動いている原子がすきまだったところに移動
してきて、それにあたる確率が高くなることが分かると思います。実際には、中性
子のスピードは、もともと秒速2万メートルもあります。このスピードを、通常の
原発では秒速2、3キロまで激減させて使用しています。こうして生まれるものを熱
中性子(サーマル・ニュートロン)といいます。それで核分裂をおこす効率は400倍
になるといわれています。
中性子のスピードを落とすには、中性子と質量が近い物質を炉心に満たして、中性
子をぶつけてやるのがよく、この役目を果たす物質を減速剤といいます。これに
もっともよく使われているのは、中性子と質量が同じ水素原子です。それは自然界
に豊富にある水(正確には軽水)を構成しているので、炉心に水を満たしてやれば
いいのです。
こうするとさっきゆらゆら揺れていたウラン原子の他に、たくさんの水素原子が入っ
てきます。中性子はこれに次々とぶつかり、方向を変えながら、再び衝突を繰り返す
ことでエネルギーを奪われ、スピードが落ちていき、最終的にウラン原子と衝突しや
すくなります。
同時にこの水は、炉心の過熱に対する冷却剤の役目も果たし、さらに、発生する
熱を蒸気にかえ、発電のためのタービンをまわす役割も果たしてくれます。ただし、
このように水によって減速をしただけでは、水自身が一定量の中性子を吸収してし
まう性質をも合わせ持つため、中性子がそのぶん減り、核分裂連鎖反応がうまく進
まない面も持ちます。
そこで水を減速剤とした場合、中性子がよりウラン235にあたりやすくする別の工夫
として、先にも触れましたが、ウラン235の濃度を、天然のものより高め、3~5%に
する対処が必要になってきます。このための作業が、ウランの「濃縮」です。これ
ももともと原爆を作るために開発された、核分裂性の高いウラン235だけをより集め
る技術から応用したものですが、こうして作られた濃縮ウランを燃料に、炉内の核分
裂連鎖反応が行われているのが、軽水炉原発の基本的仕組みです。軽水炉は世界の
原発の主力であり、日本はほとんどがこのタイプを採用しています。
ちなみに、濃縮行程は、ウラン235だけを削ぎ取られた「残りカス」を発生させます。
これは濃縮ウランの反対に劣化ウランと呼ばれます。廃棄物と位置づけられますが、
わずかながら放射線を発し続ける放射性物質の1つです。
これが現在、砲弾に使用されています。劣化ウラン弾です。単位あたりの放射線は
わずかでも、例えばイラクでは、何百トンという単位で劣化ウラン弾が使用されて
きたので、これまた大量の放射性物質を撒き散らしている点で大問題です。
さてこうした通常の原発では、なぜプルトニウムが増殖出来ないかですが、それに
は核分裂で生じる中性子の数が関係しています。というのは核分裂の連鎖を行いな
がら、一方でウラン238に中性子を当て、プルトニウムを作り出すとなると、燃やし
た(分裂させた)ウラン原子と同量のプルトニウムを作るには、論理上は、最低で
も平均2個の中性子が分裂によって生じる必要があります。1個は次の分裂に、もう
1個はプルトニウムの発生に必要だからです。
実際には、中性子は、燃料棒の被覆管などにも吸収されるし、また必ずしも全ての
核分裂性原子をうまく分裂させるわけではないので、臨界の維持と増殖を可能にす
るためには、平均2.2個以上の中性子が発生する必要があるとされます。ところが
減速剤によってスピードの落ちた熱中性子は、同時に、エネルギーも落ちてしまう
ので、次の核分裂の時に、平均2個未満の中性子しか、発生させることができません。
それでは燃やしたウランよりも、少ないプルトニウムしか、生成させることができ
ないことになります。
これに対して、より多くの中性子を叩き出すためには、中性子を高速で、つまりエ
ネルギーの高い状態で、核分裂性原子にあてる必要があり、具体的には、プルトニ
ウム239だと秒速1400キロメートル以上、より分裂性の低いウラン235だと、秒速6000
キロメートル以上でやっと平均2個の中性子がたたき出されてくることになります。
つまり増殖のためには、高速の中性子を使わねばならないのです。
そのため、もともと中性子の減速剤としてあった水は使うわけにいかず、炉心の冷
却のためには、違う物質を使う必要が出てきます。実際には液体ナトリウムが使われ
ているのですが、これは空気と接触しただけで燃え出すなど、水よりも格段に扱いに
くい性質を持っています。もんじゅの事故も、このナトリウム漏れによって引き起こ
されました。
このように「高速増殖炉」は、高速中性子を使う点がその名の由来ともなっているの
ですが、このことによって、実は通常の原発と較べても、桁外れな危険性が、作りだ
されてしまっています。前述のナトリウムの扱いにくさもその1つなのですが、このた
め、これまで各国で、高速増殖炉の実験炉が作られたものの、結局、さまざまな技術
的困難を解決する目処はたちませんでした。
むしろ破局的事態寸前の、恐ろしい事故ばかりが続きました。そのため、幾ら何でも
これでは危険すぎるし、予算的にも割に合わないということで、各国が撤退を開始し、
このために核燃料サイクルは、暗礁に乗り上げているのです。
にもかかわらず、日本政府はこれまで、もんじゅの運転再開を目指してきました。ア
メリカ、ドイツ、フランス、イギリスなどがあきらめたにも関わらずです。そしてこ
の日本の姿勢を後追いしようとしているのが、中国やインド、ロシアです。これらの
国は、高速増殖炉をめぐる壁の、強行突破を目指しているともいえます。しかしその
試みが続くならば、それこそ人類は、原子炉の暴発による、滅亡の危機を格段に深め
ることになります・・・・・
続く
311からこれまで、日々、刻々と変化する情勢に合わせながら情報発信を行っ
てきましたが、この間、脱原発に向けてぜひとも踏まえておきたいことがらに
充分、言及できずにきました。そこで今後、何回かに分けてこの点を論じたい
と思いますが、そのために、僕が一昨年の秋に書き、友人たちのMLに投稿した
原稿を再構成して連載させていただきます。
タイトルは「行き詰った原子力行政」です。福島原発事故があったから行き詰
ったというのではありません。日本の原子力行政はそもそもその前から行き詰
っていたのです。なぜなら原子力政策は、核燃料サイクル計画=プルトニウム
の大量利用によってこそ、「無限のエネルギー」を手にする体系だったにもか
かわらず、その道が完全に閉ざされてしまったからです。
このことをおさえるために、ここで核燃料サイクル計画=プルトニウム利用計
画の概要と、その道が閉ざされてしまった経緯についてみていきましょう。
プルトニウムの成り立ち
まず原子力エネルギーの基本から出発したいと思います。原子力は、ある物質
の原子が核分裂する際に発する、大きな熱エネルギーをさしています。人類が
これに着目したのは、もともとは原子力による爆発=核爆発を起こすこと、要
するに原子爆弾を作るためでした。原子力発電は、この工程でたくさん発生す
る熱を、何かに利用できないかと考えているうちに生み出された副産物でしか
ありません。
さてその原発ですが、現在運転している原子炉では、天然に存在するウラン鉱
石に含まれるウラン235という物質を核分裂の燃料にしています。ただし天然
鉱石に含まれている割合はわずか0.7%。凄く少ないことが1つのポイントです。
このウラン235に中性子をあててやると、原子が分裂します。これが核分裂の
基本です。
この核分裂反応では、大量のエネルギーや放射性物質の発生と同時に、幾つか
の中性子という物質が飛び出してきます。これが次のウラン235にあたると、再
度、分裂が起こり、連鎖反応が始まります。これが継続化し、核分裂が増えも
減りもせずに持続されている状態を、「臨界」と呼びます。
この時、中性子は、ウラン鉱石の残りの99.3%をしめるウラン238という核分裂
をしない物質にも当たりますが、そのときウラン238の一部は、中性子を吸収し
て3日ほどで、自然界には存在しない新たな物質に変わります。それがプルトニ
ウムです。正確にはプルトニウム239,240,241等々、幾つかのプルトニウムが生
まれます。このわずかに組成の違うものを同位体と呼びます。
この中で一番大事なのはプルトニウム239です。この物質は、ウラン235よりも
さらに核分裂性が高い。そのためより爆発性も強く、より強力な原子爆弾を作
ることができるのです。日本には広島・長崎の2箇所に原爆が投下されたわけで
すが、広島に落されたものはウランを使ったもの、長崎に落されたものは、プ
ルトニウムを使ったものでした。2タイプあったので、最低でも2箇所に落とす
「必要」があったのです。まさに壮大な人体実験でした。
その後の原子力エネルギーの利用は、このように核分裂性のないウラン238から
プルトニウム239が新たに生み出される点に期待をかけたものでした。ウランを
核分裂させてエネルギーを得ながら、同時に、プルトニウム239という新たな燃
料を生み出していくことになるからです。この体系が確立すれば、今は燃料には
使えない99.3%のウラン238を次々に燃料に変えることができるため、非常に長
期にわたってエネルギーを手にすることが可能になります。核燃料サイクルは、
そんな夢の体系として構想されたのです。
このサイクルは次のような形で実現が目指されてきました。まず通常に運転して
いる原子炉ではウラン235を分裂させているわけですが、ウラン235はもともと自
然界では0.7%しかないわけです。しかもこの部分だけを削り取って集めるには
大量のエネルギーを必要とするため、通常は少し濃度を上げて、3~5%にして
発電を行います。このため原子炉の中には、95%以上の燃えないウラン238が持
ち込まれることになります。
ここに中性子があたると、その中にプルトニウム239などが発生します。発生し
たプルトニウム239に再び中性子があたると核分裂するため、原子炉は、初めは
ウランの核分裂だけで運転されていますが、次第にプルトニウムの分裂の割合も
増えてきます。それでも原発の運転が終了したときに、使用済み核燃料の中には、
燃え残り(分裂しなかったという意味)のウラン235と、プルトニウム239が残っ
ているので、これを取りだす必要が生じます。これが「再処理」と言われる行程
ですが、放射能をたくさん含んだ放射線物質、外に出してしまえば「死の灰」と
呼ばれる物資と分離するので、その際に、どうしてもいくらかの放射性物質が大
気中に漏れ出てしまう難点を抱えています。
それでもなんとかプルトニウム239を取りだすと、今度はこれをウラン235と混合し
て、発電を行うことが目指されます。複合された燃料をMOX燃料といいますが、そ
の際にも核分裂性のないウラン238が再び炉心に入るので、運転のための核分裂を
引き起されると同時に、ここに再び中性子が当てられ、プルトニウムをよりたくさ
ん作ることが目指されます。こうして使った燃料以上のプルトニウムを回収しよう
というのが、核燃料サイクルの核心なのです。燃料を焚きながらにして増殖すると
いうのす。
もしもこれが可能になると、核分裂性のウラン235が少なくなっても、原発は残り
の99.3%のウラン238を次々にプルトニウムに変えて、運転を続けることが可能に
ります。そもそもウラン235は、ウラン鉱石の中に微量しか含まれていないため、
石油と比較しても埋蔵量(エネルギー換算)はけして多くはなくて、今のままの通
常運転だけでは、いつしか終焉を迎えることになります。(そして事実、その道を
確実に歩んでいます)。これを突破する魔法の竈(かまど)を作り出すのが、原子
力政策の核心でした。この魔法の竈が、「高速増殖炉」と呼ばれるもので、日本で
は「もんじゅ」(実験炉)がそれに当たります。
通常原発の仕組みと高速増殖炉
この「夢」のプルトニウムの増殖は、通常の原発ではできません。何故なのでしょ
うか。また高速増殖炉はいかにしてそれを可能にしていくというのでしょうか。
それを知るためには、通常の原発の仕組みを、もう少し、おさえる必要があります。
先にも述べたように、核分裂は中性子があたることによって連続的におこっていく
わけですが、この際、特徴的なこととして、中性子は、そのスピードが遅ければ遅
いほど、次の原子にあたりやすく、核分裂を誘発しやすいということがあります。
ゆっくりゆらゆら左右にゆれる幾つもの小さな玉を想像してみてください。それが
原子だと仮定すると、その間を中性子が抜けていくことを想像できます。かりに中
性子が光速だとすると、すきまが目視されたときには、中性子はその間を抜けてい
ることになります。
ところがごくごくゆっくりだと、ゆれ動いている原子がすきまだったところに移動
してきて、それにあたる確率が高くなることが分かると思います。実際には、中性
子のスピードは、もともと秒速2万メートルもあります。このスピードを、通常の
原発では秒速2、3キロまで激減させて使用しています。こうして生まれるものを熱
中性子(サーマル・ニュートロン)といいます。それで核分裂をおこす効率は400倍
になるといわれています。
中性子のスピードを落とすには、中性子と質量が近い物質を炉心に満たして、中性
子をぶつけてやるのがよく、この役目を果たす物質を減速剤といいます。これに
もっともよく使われているのは、中性子と質量が同じ水素原子です。それは自然界
に豊富にある水(正確には軽水)を構成しているので、炉心に水を満たしてやれば
いいのです。
こうするとさっきゆらゆら揺れていたウラン原子の他に、たくさんの水素原子が入っ
てきます。中性子はこれに次々とぶつかり、方向を変えながら、再び衝突を繰り返す
ことでエネルギーを奪われ、スピードが落ちていき、最終的にウラン原子と衝突しや
すくなります。
同時にこの水は、炉心の過熱に対する冷却剤の役目も果たし、さらに、発生する
熱を蒸気にかえ、発電のためのタービンをまわす役割も果たしてくれます。ただし、
このように水によって減速をしただけでは、水自身が一定量の中性子を吸収してし
まう性質をも合わせ持つため、中性子がそのぶん減り、核分裂連鎖反応がうまく進
まない面も持ちます。
そこで水を減速剤とした場合、中性子がよりウラン235にあたりやすくする別の工夫
として、先にも触れましたが、ウラン235の濃度を、天然のものより高め、3~5%に
する対処が必要になってきます。このための作業が、ウランの「濃縮」です。これ
ももともと原爆を作るために開発された、核分裂性の高いウラン235だけをより集め
る技術から応用したものですが、こうして作られた濃縮ウランを燃料に、炉内の核分
裂連鎖反応が行われているのが、軽水炉原発の基本的仕組みです。軽水炉は世界の
原発の主力であり、日本はほとんどがこのタイプを採用しています。
ちなみに、濃縮行程は、ウラン235だけを削ぎ取られた「残りカス」を発生させます。
これは濃縮ウランの反対に劣化ウランと呼ばれます。廃棄物と位置づけられますが、
わずかながら放射線を発し続ける放射性物質の1つです。
これが現在、砲弾に使用されています。劣化ウラン弾です。単位あたりの放射線は
わずかでも、例えばイラクでは、何百トンという単位で劣化ウラン弾が使用されて
きたので、これまた大量の放射性物質を撒き散らしている点で大問題です。
さてこうした通常の原発では、なぜプルトニウムが増殖出来ないかですが、それに
は核分裂で生じる中性子の数が関係しています。というのは核分裂の連鎖を行いな
がら、一方でウラン238に中性子を当て、プルトニウムを作り出すとなると、燃やし
た(分裂させた)ウラン原子と同量のプルトニウムを作るには、論理上は、最低で
も平均2個の中性子が分裂によって生じる必要があります。1個は次の分裂に、もう
1個はプルトニウムの発生に必要だからです。
実際には、中性子は、燃料棒の被覆管などにも吸収されるし、また必ずしも全ての
核分裂性原子をうまく分裂させるわけではないので、臨界の維持と増殖を可能にす
るためには、平均2.2個以上の中性子が発生する必要があるとされます。ところが
減速剤によってスピードの落ちた熱中性子は、同時に、エネルギーも落ちてしまう
ので、次の核分裂の時に、平均2個未満の中性子しか、発生させることができません。
それでは燃やしたウランよりも、少ないプルトニウムしか、生成させることができ
ないことになります。
これに対して、より多くの中性子を叩き出すためには、中性子を高速で、つまりエ
ネルギーの高い状態で、核分裂性原子にあてる必要があり、具体的には、プルトニ
ウム239だと秒速1400キロメートル以上、より分裂性の低いウラン235だと、秒速6000
キロメートル以上でやっと平均2個の中性子がたたき出されてくることになります。
つまり増殖のためには、高速の中性子を使わねばならないのです。
そのため、もともと中性子の減速剤としてあった水は使うわけにいかず、炉心の冷
却のためには、違う物質を使う必要が出てきます。実際には液体ナトリウムが使われ
ているのですが、これは空気と接触しただけで燃え出すなど、水よりも格段に扱いに
くい性質を持っています。もんじゅの事故も、このナトリウム漏れによって引き起こ
されました。
このように「高速増殖炉」は、高速中性子を使う点がその名の由来ともなっているの
ですが、このことによって、実は通常の原発と較べても、桁外れな危険性が、作りだ
されてしまっています。前述のナトリウムの扱いにくさもその1つなのですが、このた
め、これまで各国で、高速増殖炉の実験炉が作られたものの、結局、さまざまな技術
的困難を解決する目処はたちませんでした。
むしろ破局的事態寸前の、恐ろしい事故ばかりが続きました。そのため、幾ら何でも
これでは危険すぎるし、予算的にも割に合わないということで、各国が撤退を開始し、
このために核燃料サイクルは、暗礁に乗り上げているのです。
にもかかわらず、日本政府はこれまで、もんじゅの運転再開を目指してきました。ア
メリカ、ドイツ、フランス、イギリスなどがあきらめたにも関わらずです。そしてこ
の日本の姿勢を後追いしようとしているのが、中国やインド、ロシアです。これらの
国は、高速増殖炉をめぐる壁の、強行突破を目指しているともいえます。しかしその
試みが続くならば、それこそ人類は、原子炉の暴発による、滅亡の危機を格段に深め
ることになります・・・・・
続く
守田です。(20110712 14:00)
前回、ペトカウ理論を解説した新刊本を紹介しました。これに続いて、
同じく肥田舜太郎さんと、斉藤紀医師が翻訳した、ジェイ・M・グール
ドと、ベンジャミン・A・ゴルドマンの共著、『死にいたる虚構』をご
紹介します。
肥田さんが、内部被曝とそれまで診てきた臨床経験とを結びつけたのは、
原爆投下後、30年を経た1976年のときだったといいます。この年、肥田
さんは、ニューヨークで、アーネスト・スターングラス博士と出会った。
前回紹介した新刊本の、イントロを書かれている方です。
スターングラス博士は、核実験フォールアウト(地上への降下物・死の
灰)によって体内に取り込まれた放射性物質からの低線量内部被曝の危
険を強調していた研究者で、このとき、肥田さんに著書"LOW LEVEL
TADIATION"を寄贈されました。
その内容に衝撃を受けた肥田さんは、その後、スターングラス博士の影
響のもとに行われてきた、アメリカの研究書を次々と翻訳されてきまし
たが、『死にいたる虚構』は1996年10月22日に初版が発行されています。
非売品です。実に80歳代になってからの翻訳です。
さっそく内容に入りましょう。第一章の概括で、著者は次のように述べ
ています。
「1945年の日本への原子爆弾投下以来、放射線の人体への影響について
実に多くの研究がなされてきた。初期の研究はヒロシマ、ナガサキの被
爆者についてなされた。研究室で行われたその後の実験も、全身照射を
規定したものであった。これらの研究の本質から導かれた伝統とも言え
る考えは、爆発による高線量放射線は人体に重大な障害をあたえるが、
しばしば『低線量放射線』と呼ばれた放射線量の少ない放射線フォール
アウト(放射性降下物)はほとんど害を与えないというものであった。
今日に時点でいえば、フォールアウトや原子炉から出る低線量放射線
は人間はその他の生き物に、予想した以上の障害をあたえたかもしれな
いし、民間や軍の原子力施設が稼働し続けるならば、将来の世代に取り
返しのつかない害をあたえるかも知れない。
この本の主要な結論は、これまで公に議論されてこなかった低線量放
射線の危険性との関連で、過剰死について統計学的に評価したことであ
る。一般の読者にはショックをあたえるかも知れないが、第6章では政
府が一貫して世間に対し、情報を隠す努力を続けていたことが述べられ
ている。
1943年という早い時期から核物理学者が理解していたことは、大気中
にまき散らされた核分裂生成物は食物連鎖の中に入り込み、人体に摂取
された場合、世界中で何百万人もの死を促進することになるであろうと
言うことであった。
第7章で述べられるが、リナス・ポウリングとアンドレイ・サハロフ
は大気圏核実験のフォールアウトによる核分裂生成物が人体内に入り、
何百万の人間が成人になる前に死亡することを1958年に推定していた。
今日、我々は20世紀のほぼ90年間にわたる合衆国の公的死亡統計を再検
討できる立場にある。そして、ポウリングとサハロフの恐ろしい予想が、
大気圏核実験の期間だけでなく、核分裂生成物の大規模流出事故のたび
に、現実に起こっていた可能性を知ることができる。」(同書p1,2)
著者、とくにグールドの「強み」は、統計学的処理が得意なことです。
グールドは反トラスト訴訟などで、統計学的能力を駆使して活躍してき
ましたが、それを活用して、アメリカにおける乳がん死亡発生率と核実
験や核施設との関係などを解き明かしてきたのです。とくに概括でも述
べられている第7章「大気圏核実験」での指摘は非常に示唆に富んでい
るので、今回は、この内容を取り上げたいと思います。
ここで著者たちは、政府が大気圏核実験の人体への有害な影響を隠し
た証左の一つとして、ワシントンポストのビル・カリーが次のように報
じたことを紹介しています。
「1965年にアメリカの核実験に関係した職員たちは、白血病と原爆フォ
ールアウトの関連についての秘密の研究が暴露されたら、それ以降、核
実験ができなくなり、高額な賠償要求の起こることを恐れた。」
(同書p85,86)
こうした事実を証明するために著者たちは、合衆国の死亡データを解
析して次のような事実を明らかにしています。
「1915年~1985年に合衆国の1年以内乳児死亡率は約10%から1%に改善
された。18世紀は新生児の約半分が1年以内に死亡していたが、少なくと
もそれ以降、乳児死亡率は長期間、下降し続けてきた。
ところが二つの出来事が、実に素晴らしいこの偉業を傷つけてしまっ
た。全死亡率の場合にみられたように、1915年~50年の平均4%という乳
児死亡率の下降は、大量のフォールアウトが生じた時期に横ばいになり、
核実験中止が調印された後にようやく元に戻った。そして1950年以降、
低体重出生児比率の驚異的な上昇が今日まで続いている。」(同書p89)
「問題の一つのてがかりは、新生児死亡率と流産の最大の原因である
(2500グラム、5.5ポンド以下の)低体重出生率の確実な増加という点に
ある。低体重出生率の上昇は特に非白人に著明で、彼等の乳幼児死亡率
はこの期間中、実際に増加していた。1950年から63年まで、(1500グラム
以下の)超低体重出生率は約10%増加しており、非白人の小児ではそれが
約50%の増加であった。」(同書p90)
これらに基づき、著者たちはこうした影響がエイズの流行にも有意に
結びついていると考えられることを示唆しています。
「青年たちがチェルノブイリのフォールアウトから驚くほど影響をうけ
やすかったことは、1986年5月にエイズ関連死が驚異的に増加したことで
劇的に示された。これは青年たちが生まれた1950年代に大気圏核実験が
最高潮に達し、そのため免疫機構が障害されたことを示唆している。
1983年以来、15歳から44歳のどの年齢層においても死亡率の改善が最
も乏しかったが、この人たちの乳児期と小児期は丁度、核実験の期間中
であった。」(同書p90,91)
放射線は人体の免疫機構を傷つけてしまう。そのためエイズの流行も
また大気圏核実験によるフォールアウトとの関連で強まった可能性が高
いというのです。正確には核実験のために、幼少のときに、あるいは胎
内で被曝した世代が青年に達したときにエイズは流行を始めた。そして
チェルノブイリ事故でさらなるフォールアウトが起こった時、エイズ関
連死が大きく増加したのです・・・。
こうした免疫系の障害について、著者たちはさらに次のように続けて
います。
「1945年以降に生まれた小児の免疫系が障害を受けたとみられる証拠が
他にある。7-5図をみると、5歳から9歳までの小児癌の死亡は1945年合
衆国では100万人対20人以下と比較的、低率であったが、核実験の期間
中に伝染病の比率程度まで上昇し、水爆実験の初期、1955年には100万人
対80人というピークに達している。同様のことが日本でも起こり、1945
年から1965年までに5歳から9際までの男児小児癌の死亡率が10倍に増え
た。
1958年、著名なオーストラリアの医師でノーベル賞受賞者のマクファ
ーレン・バーネットは、小児の早い足で速度で成長する組織は悪性腫瘍
が育成する最良の条件であることを観察した。彼は又、白血病は他の疾
病と違って、世界中どこでも3,4歳の子供に最も多いと述べ、「3、4歳
に白血病のピークがあるのは、若い組織が出生時前後に突然変異をおこ
す物質に曝されること以外に、原因はあり得ない」と結んでいる。」
(同書p91,92)
著者たちはここでの考察を次のように結んでいます。
「この状況の全ては1970年代の初期にレスター・レイブとアーネスト・
スターングラスが行った「食物中の放射性降下物が乳児と成人の死亡率
に与えた有害な影響」の研究に一致している。フォールアウトからの低
線量放射線がベビーブーム世代の人たちの免疫系を障害した重要な要因
であるという仮説を急いで調査する必要がある」
・・・『死にいたる虚構については、さらに継続して取り上げて取り上
げていきたいと思います。
前回、ペトカウ理論を解説した新刊本を紹介しました。これに続いて、
同じく肥田舜太郎さんと、斉藤紀医師が翻訳した、ジェイ・M・グール
ドと、ベンジャミン・A・ゴルドマンの共著、『死にいたる虚構』をご
紹介します。
肥田さんが、内部被曝とそれまで診てきた臨床経験とを結びつけたのは、
原爆投下後、30年を経た1976年のときだったといいます。この年、肥田
さんは、ニューヨークで、アーネスト・スターングラス博士と出会った。
前回紹介した新刊本の、イントロを書かれている方です。
スターングラス博士は、核実験フォールアウト(地上への降下物・死の
灰)によって体内に取り込まれた放射性物質からの低線量内部被曝の危
険を強調していた研究者で、このとき、肥田さんに著書"LOW LEVEL
TADIATION"を寄贈されました。
その内容に衝撃を受けた肥田さんは、その後、スターングラス博士の影
響のもとに行われてきた、アメリカの研究書を次々と翻訳されてきまし
たが、『死にいたる虚構』は1996年10月22日に初版が発行されています。
非売品です。実に80歳代になってからの翻訳です。
さっそく内容に入りましょう。第一章の概括で、著者は次のように述べ
ています。
「1945年の日本への原子爆弾投下以来、放射線の人体への影響について
実に多くの研究がなされてきた。初期の研究はヒロシマ、ナガサキの被
爆者についてなされた。研究室で行われたその後の実験も、全身照射を
規定したものであった。これらの研究の本質から導かれた伝統とも言え
る考えは、爆発による高線量放射線は人体に重大な障害をあたえるが、
しばしば『低線量放射線』と呼ばれた放射線量の少ない放射線フォール
アウト(放射性降下物)はほとんど害を与えないというものであった。
今日に時点でいえば、フォールアウトや原子炉から出る低線量放射線
は人間はその他の生き物に、予想した以上の障害をあたえたかもしれな
いし、民間や軍の原子力施設が稼働し続けるならば、将来の世代に取り
返しのつかない害をあたえるかも知れない。
この本の主要な結論は、これまで公に議論されてこなかった低線量放
射線の危険性との関連で、過剰死について統計学的に評価したことであ
る。一般の読者にはショックをあたえるかも知れないが、第6章では政
府が一貫して世間に対し、情報を隠す努力を続けていたことが述べられ
ている。
1943年という早い時期から核物理学者が理解していたことは、大気中
にまき散らされた核分裂生成物は食物連鎖の中に入り込み、人体に摂取
された場合、世界中で何百万人もの死を促進することになるであろうと
言うことであった。
第7章で述べられるが、リナス・ポウリングとアンドレイ・サハロフ
は大気圏核実験のフォールアウトによる核分裂生成物が人体内に入り、
何百万の人間が成人になる前に死亡することを1958年に推定していた。
今日、我々は20世紀のほぼ90年間にわたる合衆国の公的死亡統計を再検
討できる立場にある。そして、ポウリングとサハロフの恐ろしい予想が、
大気圏核実験の期間だけでなく、核分裂生成物の大規模流出事故のたび
に、現実に起こっていた可能性を知ることができる。」(同書p1,2)
著者、とくにグールドの「強み」は、統計学的処理が得意なことです。
グールドは反トラスト訴訟などで、統計学的能力を駆使して活躍してき
ましたが、それを活用して、アメリカにおける乳がん死亡発生率と核実
験や核施設との関係などを解き明かしてきたのです。とくに概括でも述
べられている第7章「大気圏核実験」での指摘は非常に示唆に富んでい
るので、今回は、この内容を取り上げたいと思います。
ここで著者たちは、政府が大気圏核実験の人体への有害な影響を隠し
た証左の一つとして、ワシントンポストのビル・カリーが次のように報
じたことを紹介しています。
「1965年にアメリカの核実験に関係した職員たちは、白血病と原爆フォ
ールアウトの関連についての秘密の研究が暴露されたら、それ以降、核
実験ができなくなり、高額な賠償要求の起こることを恐れた。」
(同書p85,86)
こうした事実を証明するために著者たちは、合衆国の死亡データを解
析して次のような事実を明らかにしています。
「1915年~1985年に合衆国の1年以内乳児死亡率は約10%から1%に改善
された。18世紀は新生児の約半分が1年以内に死亡していたが、少なくと
もそれ以降、乳児死亡率は長期間、下降し続けてきた。
ところが二つの出来事が、実に素晴らしいこの偉業を傷つけてしまっ
た。全死亡率の場合にみられたように、1915年~50年の平均4%という乳
児死亡率の下降は、大量のフォールアウトが生じた時期に横ばいになり、
核実験中止が調印された後にようやく元に戻った。そして1950年以降、
低体重出生児比率の驚異的な上昇が今日まで続いている。」(同書p89)
「問題の一つのてがかりは、新生児死亡率と流産の最大の原因である
(2500グラム、5.5ポンド以下の)低体重出生率の確実な増加という点に
ある。低体重出生率の上昇は特に非白人に著明で、彼等の乳幼児死亡率
はこの期間中、実際に増加していた。1950年から63年まで、(1500グラム
以下の)超低体重出生率は約10%増加しており、非白人の小児ではそれが
約50%の増加であった。」(同書p90)
これらに基づき、著者たちはこうした影響がエイズの流行にも有意に
結びついていると考えられることを示唆しています。
「青年たちがチェルノブイリのフォールアウトから驚くほど影響をうけ
やすかったことは、1986年5月にエイズ関連死が驚異的に増加したことで
劇的に示された。これは青年たちが生まれた1950年代に大気圏核実験が
最高潮に達し、そのため免疫機構が障害されたことを示唆している。
1983年以来、15歳から44歳のどの年齢層においても死亡率の改善が最
も乏しかったが、この人たちの乳児期と小児期は丁度、核実験の期間中
であった。」(同書p90,91)
放射線は人体の免疫機構を傷つけてしまう。そのためエイズの流行も
また大気圏核実験によるフォールアウトとの関連で強まった可能性が高
いというのです。正確には核実験のために、幼少のときに、あるいは胎
内で被曝した世代が青年に達したときにエイズは流行を始めた。そして
チェルノブイリ事故でさらなるフォールアウトが起こった時、エイズ関
連死が大きく増加したのです・・・。
こうした免疫系の障害について、著者たちはさらに次のように続けて
います。
「1945年以降に生まれた小児の免疫系が障害を受けたとみられる証拠が
他にある。7-5図をみると、5歳から9歳までの小児癌の死亡は1945年合
衆国では100万人対20人以下と比較的、低率であったが、核実験の期間
中に伝染病の比率程度まで上昇し、水爆実験の初期、1955年には100万人
対80人というピークに達している。同様のことが日本でも起こり、1945
年から1965年までに5歳から9際までの男児小児癌の死亡率が10倍に増え
た。
1958年、著名なオーストラリアの医師でノーベル賞受賞者のマクファ
ーレン・バーネットは、小児の早い足で速度で成長する組織は悪性腫瘍
が育成する最良の条件であることを観察した。彼は又、白血病は他の疾
病と違って、世界中どこでも3,4歳の子供に最も多いと述べ、「3、4歳
に白血病のピークがあるのは、若い組織が出生時前後に突然変異をおこ
す物質に曝されること以外に、原因はあり得ない」と結んでいる。」
(同書p91,92)
著者たちはここでの考察を次のように結んでいます。
「この状況の全ては1970年代の初期にレスター・レイブとアーネスト・
スターングラスが行った「食物中の放射性降下物が乳児と成人の死亡率
に与えた有害な影響」の研究に一致している。フォールアウトからの低
線量放射線がベビーブーム世代の人たちの免疫系を障害した重要な要因
であるという仮説を急いで調査する必要がある」
・・・『死にいたる虚構については、さらに継続して取り上げて取り上
げていきたいと思います。
守田です。(20110709 23:00)
友人の万太さんが、画期的な新刊本(翻訳本)の情報を流してきてくれました。
僕も既に注文済みの本なのですが、メールはその翻訳者の方から流れてきてい
ます。最後に貼り付けますので、ぜひこの情報の拡散にご協力ください。
『人間と環境への低レベル放射能の脅威-福島原発放射能汚染を考えるために』
というタイトルで、著者はラルフ・グロイブ。アーネスト・スターングラスが
イントロデュースを書いています。
原題は“The Petkau Effect: The Devastating Effect of Nuclear Radiation
on Human Health and the Environment”・・・いわゆるペトカウ効果について
書いた本です。肥田舜太郎・竹野内真理訳で、あけび書房から3990円で出版さ
れています。
このペトカウ効果こそ、内部被曝の脅威を形作る低線量放射線の威力を解き明
かしたものです。肥田舜太郎さんと鎌仲ひとみさんの共著『内部被曝の脅威』
から、肥田さんの解説部分を抜き書きしておきます。
「放射線の人体に対する影響の医学的な解明を阻んでいた壁の一つは、放射線
に対する細胞膜の強大な障壁だった。アブラム・ペトカウは1972年、マニトバ
にあるカナダ原子力委員会のホワイトシェル研究所で全くの偶然から、ノーベ
ル賞に匹敵する次のような大発見をした。即ち、「液体の中に置かれた細胞は、
高線量放射線による頻回の反復放射よりも、低線量放射線を長時間、放射する
ことによって容易に破壊することができる」ことを実験で確かめたのである。
ペトカウ(医師)は牛の脳から抽出した燐脂肪でつくった細胞膜モデルに放射
線を照射して、どのくらいの線量で膜を破壊できるかの実験をしていた。エッ
クス線の大装置から15.6シーベルト/分【許容線量は1ミリシーベルト/年】の
放射線を58時間、全量35シーベルトを照射してようやく細胞膜を破壊すること
ができた。
ところが実験を繰り返すうち、誤って試験材料を少量の放射性ナトリウム22が
混じった水の中に落としてしまった。燐脂肪の膜は0.007シーベルトを12分間
被ばくして破壊されてしまった。彼は何度も同じ実験を繰り返してその都度、
同じ結果を得た。そして、放射時間を長く延ばせば延ばすほど、細胞膜破壊に
必要な放射線量が少なくて済むことを確かめた。こうして、「長時間、低線量
放射線を照射する方が、高線量放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破
壊する」ことが、確かな根拠を持って証明されたのである。これが「ペトカウ
効果」と呼ばれる学説である。」(同書p90~91)
肥田さんはこれに続いて、次のような紹介も行っています。
「ピッツバーグ大学医学部放射線科のスターングラス教授は、ペトカウ説を
基礎として研究をさらに深め、次のような結論に辿りついたという。
1 放射線の線量が非常に低い低線量域では生物への影響はかえって大きくなる。
2 低線量放射線の健康への危険度はICRPが主張する値より大きく、乳児死亡
の倍になる線量は四・五ミリシーベルトである。
3 アメリカや中国の核爆発実験の放射性降下物によって乳幼児の死亡率が増
加した。
4 放射性下降物に胎児期被ばくした子供に知能低下が生じた。
5 スリーマイル島原発事故によって放出された放射能によって胎児死亡率が
増加した。
このようにスターングラス教授は内部被曝による人体への悪影響を認め、アメ
リカの核政策を批判している。」(同書p97~98)
さらに肥田さんは、次のような一文も付け加えています。
「広島・長崎で爆発後市内に入市した多数の内部被曝者を長年継続して診てき
た私は、彼らの経験したいわゆる「急性症状」と、数カ月から数年、十数年後
に彼らに発症したぶらぶら病症候群は、内部被曝による低線量放射線の影響と
診るのが最もよく説明できるので、私はペトカウ効果と、それを基盤にしたス
ターングラスをはじめとする多くの学者、研究者の「低線量放射線有害説」を
支持して疑わない。」(同書p99)
すでに「明日に向けて(186)」で、なぜ内部被曝の脅威が隠されてきたのか
について触れましたが、この書はこの隠されてきた驚異を暴いてくれたペトカ
ウ博士の研究成果を解き明かしたものであり、僕はこの時期に読むべき最も大
事な文献だと思っています。
少々分厚い本ですが、ぜひみなさんで挑戦していきましょう。各地で学習会な
ど行って欲しいと思います。僕も入手次第、読み解いて、ここでも解説を試み
ていきたいと思いますし、必要ならどこにでも解説にも行きます!まさに
「いまここ」に求められている本です!
以下、翻訳者の竹野内真理さんのアピールをお読みください。
*********************************
通訳、翻訳、ライターをしております竹野内真理と申します。以下の本を翻訳・
出版させていただきました。非常に重大な内容なので、特に行政関係者、子供
を持つ親御さんたちには、早急に読んでいただきたいです。
タイトル
「人間と環境への低レベル放射能の脅威ー福島原発放射能汚染を考えるために」
ラルフ・グロイブ、アーネスト・スターングラス著
肥田舜太郎・竹野内真理訳
あけび書房(http://www.akebi.co.jp/)
03-3234-2571 akebi@s.email.ne.jp
3990円 337頁
子供たちを守る願いを込めて、7月7日たなばたに書店とアマゾンで発売!
(たんぽぽ舎にも10冊ほどあり)
低線量被曝問題をこれ以上につぶさに扱った本は現時点では国内には存在しな
いと確信しています。
共訳者は、広島原爆で被曝した医師である肥田舜太郎さんです。長年被爆者の
治療を行うとともに、国際的な反核活動や低線量内部被曝問題にも数々の翻訳
を通して従事されてきた方です。
低レベルでも恐ろしい放射能による障害を国内外の研究論文も引用しながら、
ICRPを含む、今までの国際機関や政府による放射線防護基準がいかに甘いもので
あるかが科学的に詳述されています。お値段が高いのが難点ですが、それ以上の
価値はあると思っています。
可能であれば、是非本の普及にご協力お願いいたします。
具体的に言いますと、
1.この文章をメーリングリストなど、どこかに転送していただく
2.ブログやTwitterに書き込んでいただく
3.Amazonやニュースレターなど、書評を書ける方は書いていただく
4.周りの人たちに勧めていただく
5.子供たちの被曝対策が十分でない自治体や政府の人たちに読んでいただいた
り、交渉するときに参考資料として活用していただく。
6.お近くの書店や図書館に注文していただく
子供たちを被曝させてはならない根拠が満載です。
ぜひご活用いただき、日本の将来の子供たちの被曝を少しでも減らすことに
つながればと強く願っております。
友人の万太さんが、画期的な新刊本(翻訳本)の情報を流してきてくれました。
僕も既に注文済みの本なのですが、メールはその翻訳者の方から流れてきてい
ます。最後に貼り付けますので、ぜひこの情報の拡散にご協力ください。
『人間と環境への低レベル放射能の脅威-福島原発放射能汚染を考えるために』
というタイトルで、著者はラルフ・グロイブ。アーネスト・スターングラスが
イントロデュースを書いています。
原題は“The Petkau Effect: The Devastating Effect of Nuclear Radiation
on Human Health and the Environment”・・・いわゆるペトカウ効果について
書いた本です。肥田舜太郎・竹野内真理訳で、あけび書房から3990円で出版さ
れています。
このペトカウ効果こそ、内部被曝の脅威を形作る低線量放射線の威力を解き明
かしたものです。肥田舜太郎さんと鎌仲ひとみさんの共著『内部被曝の脅威』
から、肥田さんの解説部分を抜き書きしておきます。
「放射線の人体に対する影響の医学的な解明を阻んでいた壁の一つは、放射線
に対する細胞膜の強大な障壁だった。アブラム・ペトカウは1972年、マニトバ
にあるカナダ原子力委員会のホワイトシェル研究所で全くの偶然から、ノーベ
ル賞に匹敵する次のような大発見をした。即ち、「液体の中に置かれた細胞は、
高線量放射線による頻回の反復放射よりも、低線量放射線を長時間、放射する
ことによって容易に破壊することができる」ことを実験で確かめたのである。
ペトカウ(医師)は牛の脳から抽出した燐脂肪でつくった細胞膜モデルに放射
線を照射して、どのくらいの線量で膜を破壊できるかの実験をしていた。エッ
クス線の大装置から15.6シーベルト/分【許容線量は1ミリシーベルト/年】の
放射線を58時間、全量35シーベルトを照射してようやく細胞膜を破壊すること
ができた。
ところが実験を繰り返すうち、誤って試験材料を少量の放射性ナトリウム22が
混じった水の中に落としてしまった。燐脂肪の膜は0.007シーベルトを12分間
被ばくして破壊されてしまった。彼は何度も同じ実験を繰り返してその都度、
同じ結果を得た。そして、放射時間を長く延ばせば延ばすほど、細胞膜破壊に
必要な放射線量が少なくて済むことを確かめた。こうして、「長時間、低線量
放射線を照射する方が、高線量放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破
壊する」ことが、確かな根拠を持って証明されたのである。これが「ペトカウ
効果」と呼ばれる学説である。」(同書p90~91)
肥田さんはこれに続いて、次のような紹介も行っています。
「ピッツバーグ大学医学部放射線科のスターングラス教授は、ペトカウ説を
基礎として研究をさらに深め、次のような結論に辿りついたという。
1 放射線の線量が非常に低い低線量域では生物への影響はかえって大きくなる。
2 低線量放射線の健康への危険度はICRPが主張する値より大きく、乳児死亡
の倍になる線量は四・五ミリシーベルトである。
3 アメリカや中国の核爆発実験の放射性降下物によって乳幼児の死亡率が増
加した。
4 放射性下降物に胎児期被ばくした子供に知能低下が生じた。
5 スリーマイル島原発事故によって放出された放射能によって胎児死亡率が
増加した。
このようにスターングラス教授は内部被曝による人体への悪影響を認め、アメ
リカの核政策を批判している。」(同書p97~98)
さらに肥田さんは、次のような一文も付け加えています。
「広島・長崎で爆発後市内に入市した多数の内部被曝者を長年継続して診てき
た私は、彼らの経験したいわゆる「急性症状」と、数カ月から数年、十数年後
に彼らに発症したぶらぶら病症候群は、内部被曝による低線量放射線の影響と
診るのが最もよく説明できるので、私はペトカウ効果と、それを基盤にしたス
ターングラスをはじめとする多くの学者、研究者の「低線量放射線有害説」を
支持して疑わない。」(同書p99)
すでに「明日に向けて(186)」で、なぜ内部被曝の脅威が隠されてきたのか
について触れましたが、この書はこの隠されてきた驚異を暴いてくれたペトカ
ウ博士の研究成果を解き明かしたものであり、僕はこの時期に読むべき最も大
事な文献だと思っています。
少々分厚い本ですが、ぜひみなさんで挑戦していきましょう。各地で学習会な
ど行って欲しいと思います。僕も入手次第、読み解いて、ここでも解説を試み
ていきたいと思いますし、必要ならどこにでも解説にも行きます!まさに
「いまここ」に求められている本です!
以下、翻訳者の竹野内真理さんのアピールをお読みください。
*********************************
通訳、翻訳、ライターをしております竹野内真理と申します。以下の本を翻訳・
出版させていただきました。非常に重大な内容なので、特に行政関係者、子供
を持つ親御さんたちには、早急に読んでいただきたいです。
タイトル
「人間と環境への低レベル放射能の脅威ー福島原発放射能汚染を考えるために」
ラルフ・グロイブ、アーネスト・スターングラス著
肥田舜太郎・竹野内真理訳
あけび書房(http://www.akebi.co.jp/)
03-3234-2571 akebi@s.email.ne.jp
3990円 337頁
子供たちを守る願いを込めて、7月7日たなばたに書店とアマゾンで発売!
(たんぽぽ舎にも10冊ほどあり)
低線量被曝問題をこれ以上につぶさに扱った本は現時点では国内には存在しな
いと確信しています。
共訳者は、広島原爆で被曝した医師である肥田舜太郎さんです。長年被爆者の
治療を行うとともに、国際的な反核活動や低線量内部被曝問題にも数々の翻訳
を通して従事されてきた方です。
低レベルでも恐ろしい放射能による障害を国内外の研究論文も引用しながら、
ICRPを含む、今までの国際機関や政府による放射線防護基準がいかに甘いもので
あるかが科学的に詳述されています。お値段が高いのが難点ですが、それ以上の
価値はあると思っています。
可能であれば、是非本の普及にご協力お願いいたします。
具体的に言いますと、
1.この文章をメーリングリストなど、どこかに転送していただく
2.ブログやTwitterに書き込んでいただく
3.Amazonやニュースレターなど、書評を書ける方は書いていただく
4.周りの人たちに勧めていただく
5.子供たちの被曝対策が十分でない自治体や政府の人たちに読んでいただいた
り、交渉するときに参考資料として活用していただく。
6.お近くの書店や図書館に注文していただく
子供たちを被曝させてはならない根拠が満載です。
ぜひご活用いただき、日本の将来の子供たちの被曝を少しでも減らすことに
つながればと強く願っております。
守田です。(20110709 12:00)
幾つか京都での企画をご紹介します。遠方の方、毎度すみません。
一つは15日に行われる「東北への風-海と町と人々の再生を支えよう」第3章です。
津波被災地での支援活動と、福島市での「放射能除染・回復プロジェクト」の報告で
構成されています。京都精華大学の細川弘明さんがご報告してくださいます。
なおこの「放射線除染・回復プロジェクト」については、以前に「明日に向けて(154)」
で紹介しました。テレビ映像もありますので、まだの方はご覧ください。
http://abc.pwkyoto.com/?eid=213
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2a71739da89be16192013e36d598e186
15日はこうした活動を踏まえた最新情報を聴くことができそうです。
僕も急な仕事が入らない限り、参加したいと思っています。
***
続いてすでに一度お知らせしましたが、14日の大島堅一さん講演会をご紹介
します。僕もコーディネーターとして参加します。
大島さんは経済の面から原発の問題を論じておられます。大島さんのお話を
じっくりお聞きする会にしようと思いますので、ぜひお越しください。
***
さらに明日の企画のお知らせです。
第5回《私達みんなが直面している危機だからこそ、真実が知りたい》
NO NUKES ~アジア・環太平洋 非核のために~です。
スケジュールは
2時半開場
3時開始(総合司会:鳴海姫子:ダンサー)
3:00~3:45 ヒデヨビッチ上杉 ライブ
3:45~4:45 守田敏也 トーク
4:45~5:45 ザ・ファミリー ライブ
5:45~6:00 休憩(おにぎり、飲み物アリ)
6:00~7:00 内田ボブ ライブとトーク
7:00~8:00 富田貴史 トーク
8:00~9:00 トークセッション、出演者全員+α(司会:守田敏也)
9時終了
となりました。僕がお話しするのは3時45分から4時45分になります。
なお会場が、京大文学部新館2階第4会議室から、同第7会議室に変更になっています。
ご注意ください。ともあれよろしければご参加を!
***
そして自分が参加する上記の企画とかぶってしまうのですが、
魅力的なのでお知らせしておきます。
学校給食と放射能汚染~子どもを放射能から守ろう!!
NPO法人使い捨て時代を考える会
脱原発連続講演会第3弾
講師:菅野正寿さん、平賀緑さん
という企画です。僕は菅野さんのお話は聞いたことがないのですが、
平賀さんは、もともと食糧汚染問題に詳しく、さらに放射能汚染問題を
どう捉えるのか分析を重ねているので、非常に濃い内容を話して
下さると思います。
どうか山水人企画と使い捨て時代を考える会講演会、それぞれの
ご興味に合わせてご参加ください。
以下、それぞれの案内を貼り付けます。
*****************************
《東北への風 ── 海と町と人々の再生を支えよう》第3章
2011年7月15日(金)18:30開場、19:00開始、21:00終了予定
コミュニティカフェ「かぜのね」 多目的スペース 入場無料
主催: 《東北への風》
問合せ: 京都精華大学人文学部 細川研究室( km285@me.com )
プログラム
第1部: 三陸海岸(宮城県)の津波被災地での支援NGO活動の報告
NPO法人「パルシック」石巻事務所の活動を中心に紹介します。
第2部: 福島市での「放射能除染・回復プロジェクト」の報告
参考: http://bit.Ly/josen526
話題提供: 細川 弘明(パルシック監事、放射能除染・回復プロジェクト、
京都精華大学教員)
http://www.kazenone.org/modules/events/index.php?content_id=309
なお、時間配分としては、第2部を長めにとる方向で準備しています。
放射能除染をめぐっては、国・福島県による「官製除染」の動きが慌ただしく
なってきましたが、国が「指導」する方式は、高圧水を使って汚染を拡散させる
ものであり、かつ高圧水ポンプを町内会や自治会に購入させる(その補助を国
・県がする)という利権まみれのもので、おおいに問題があります。
【★この問題については、複数のNGOとともに記者会見をひらく準備を始めてお
り、それが15日と前後する可能性がありますが、いずれにせよ〈かぜのね〉で
は最新状況をご報告します。】
■参考(三条ラジオカフェ 7月1日放送)
http://bit.Ly/radio701pm
(前半は高見幸子さん、後半14分40秒めあたりから細川が福島市での除染活動について
お話ししています。)
**************************
「ここが知りたい電気の経済学 お金から考える原発と自然エネルギー」
大島堅一さん講演会
いまこそ原発を問う連続講座 第3回
【日時】 2011年7月14日(木)18:30~21:00
【場所】 龍谷大学 アバンティ響都ホール
【主催】 「いまこそ原発を問う連続講座」実行委員会
【問合】 電話077-596-1181(あらの)
携帯090‐2199‐5208(おおすが)
--------------------------------------------------------
講師:大島堅一さん(立命館大学国際関係学部教授)
専門は環境・エネルギー政策、環境経済学。
原子力政策、再生可能エネルギー政策、温暖化対策について研究。
著書に『再生可能エネルギーの政治経済学』東洋経済新報社など。
コーディネーター:守田敏也さん
(フリーライター
元 同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェロー)
---------------------------------------------------------
原発事故で先の見えない状況が続くなか、原発を続けるのか、脱原発で自然
エネルギーへの転換を進めていくのか、これからの電気のあり方について、
一人ひとりが考えていく必要にせまられています。
でも「原発をなくすと、電気代が高くなるんじゃないの?」
「自然エネルギーで安定供給ができるの?」など不安や疑問がいっぱい。
そこで、原発にいくらコストがかかっているのか、実際に計算してみた(!)いま
話題の人、大島堅一さんと一緒に考えてみませんか?
原発のコストは本当に安いの?
15%節電って本当に必要?
自然エネルギーのコストは?安定供給できるの?
なおこの情報はピースメディアの以下のページをコピーさせてもらっています。
http://peacemedia.jp/event/110714.html
*************************
第5回《私達みんなが直面している危機だからこそ、真実が知りたい》
NO NUKES ~アジア・環太平洋 非核のために~
LIVE:
内田ボブ http://amanakuni.net/bob/top.html
THE FAMILY http://profile.ameba.jp/maizuru-peaceproject/
ヒデヨビッチ上杉 http://www.gernm.com/
TALK:
守田敏也 http://abc.pwkyoto.com/ http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/
冨田貴史 http://radio-active.cocolog-nifty.com/
日時 7月10日(日) 午後3時~9時
場所 京都大学文学部新館2階 第7講義室
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/about/access/
2時半開場
3時開始(総合司会:鳴海姫子:ダンサー)
3:00~3:45 ヒデヨビッチ上杉 ライブ
3:45~4:45 守田敏也 トーク
4:45~5:45 ザ・ファミリー ライブ
5:45~6:00 休憩(おにぎり、飲み物アリ)
6:00~7:00 内田ボブ ライブとトーク
7:00~8:00 富田貴史 トーク
8:00~9:00 トークセッション、出演者全員+α(司会:守田敏也)
9時終了
・・・マーリンが前半のどこかで歌います!
歌に合わせて鳴海姫子の踊りも!
参加費 カンパ制
(経費を除いた全額を、『山水人』の有志が行っている。義援金に使わせて
いただきたいと思います。)
http://yamauto.jp/index.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
福島原発がまだ危険な状態がつづいているにもかかわらず、日本政府は各地の
原発を再稼働しようとしています。
今に始まったことではなく以前から、原発の問題は国内だけの事ではなく世界中
に大きな影響を与えています。
原発で使われるウランの多くはオーストラリアの先住民・アボリジニの大地から
掘り出され、原発の燃料を作る時に生まれる劣化ウランは、兵器になってイラクや
アフガニスタンで放射能をまき散らし、日本製の原発はヴェトナムなどアジア諸国
に輸出されようとしています。
過去には太平洋上で大気圏核実験が繰り返されて、ポリネシア、ミクロネシアや
そして日本および全世界を汚染し、今もアジア、太平洋の各地に被ばくの脅威を
与えながら、多くの国は核の道を歩み続けでいます。
そのような中「日本人はまだ原発を作り続けるつもりなのか」と、世界中の非核を
願う人たちが日本列島に住む私たちの意志・選択に注目を寄せています。
第5回目の集まりも福島原発事故の現状を直視し、もう少し視野を広げ、福島から
広島・長崎・上関・沖縄・アジア・環太平洋、そして、原発から原爆、核兵器へとその
背景を考え、核のない未来の実現に向け、集まりを持ちたいと思います。
今回も各地で大活躍の守田敏也さんをはじめ、チェルノブイリ原発事故以前から
核に向き合いメッセージし続け、近年はパラオやオーストラリアを回る旅にも出て
いる内田ボブさん、上関原発を中心に講演を続ける冨田貴史さん、舞鶴で自給
自足の生活をめざし平和や反核のメッセ―ジ歌うTHE FAMILY、河原町で一週間
ぶっ通しデモも企画し、沖縄・高江から帰ったばかりのヒデヨビッチ上杉さんを
お招きします。
また、おにぎり&飲み物を京都に避難しているベジカフェダイニングTOSCOさんと
オーガニック&ベジタブルフード マチャプチャレさんhttp://yaokan1748.exblog.jp/に
ご協力いただくことになりました。
呼掛け人
福村祖牛(山水人)sogyu@nifty.com 090-1587-6185
********************************
学校給食と放射能汚染~子どもを放射能から守ろう!!
NPO法人使い捨て時代を考える会
脱原発連続講演会第3弾
講師:菅野正寿さん、平賀緑さん
【日時】 2011年7月10日(日)14:00~16:30
【場所】 ひと・まち交流館 京都(河原町五条下る)
【入場無料】 (原発事故被災者義捐金にご協力をお願いします)
【問合】 使い捨て時代を考える会事務所
TEL075‐361-0222 FAX075-361‐0251
e-mail: info[@]tukaisutejidai.com
* 託児あり:事前に使い捨て時代を考える会までお申込みください
------------------------------------------------------------
テーマと講師
•菅野正寿さん:「時代のために今を耕す
~東京電力福島第一原発から約50kmの農民の報告と思い」
1958年福島県二本松市生まれ
学校給食に食材を提供・地域で大きな成果を上げる
現在水田2.5ha. 雨よけトマト14a
野菜・雑穀1ha 農産加工所による複合経営を行う
福島県有機農業ネットワーク代表
•平賀緑さん:「放射能時代の食料問題
~生命を使い捨てる今日のフードシステム」
持続可能な食とエネルギー問題に取り組む。
今年9月よりロンドン市立大学食料政策センター大学院に進学予定
------------------------------------------------------------
来る7月10日に、京都ひとまち交流館で、
「学校給食と放射能汚染ーこどもを放射能から守ろう」と題して
福島県二本松市在住で、
学校給食に地元食材を使うことに大きな成果を上げた
有機農家の菅野正寿さんと、
持続可能な食とエネルギー問題に取り組んでいる
平賀緑さんをお招きして講演会を行います。
お忙しいと思いますが、来場をお待ちしております。
託児もあります。事前に使い捨て時代を考える会までお申込みください。
なおこの情報はピースメディアの以下のページをコピーさせてもらっています。
http://peacemedia.jp/event/110710-2.html
幾つか京都での企画をご紹介します。遠方の方、毎度すみません。
一つは15日に行われる「東北への風-海と町と人々の再生を支えよう」第3章です。
津波被災地での支援活動と、福島市での「放射能除染・回復プロジェクト」の報告で
構成されています。京都精華大学の細川弘明さんがご報告してくださいます。
なおこの「放射線除染・回復プロジェクト」については、以前に「明日に向けて(154)」
で紹介しました。テレビ映像もありますので、まだの方はご覧ください。
http://abc.pwkyoto.com/?eid=213
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2a71739da89be16192013e36d598e186
15日はこうした活動を踏まえた最新情報を聴くことができそうです。
僕も急な仕事が入らない限り、参加したいと思っています。
***
続いてすでに一度お知らせしましたが、14日の大島堅一さん講演会をご紹介
します。僕もコーディネーターとして参加します。
大島さんは経済の面から原発の問題を論じておられます。大島さんのお話を
じっくりお聞きする会にしようと思いますので、ぜひお越しください。
***
さらに明日の企画のお知らせです。
第5回《私達みんなが直面している危機だからこそ、真実が知りたい》
NO NUKES ~アジア・環太平洋 非核のために~です。
スケジュールは
2時半開場
3時開始(総合司会:鳴海姫子:ダンサー)
3:00~3:45 ヒデヨビッチ上杉 ライブ
3:45~4:45 守田敏也 トーク
4:45~5:45 ザ・ファミリー ライブ
5:45~6:00 休憩(おにぎり、飲み物アリ)
6:00~7:00 内田ボブ ライブとトーク
7:00~8:00 富田貴史 トーク
8:00~9:00 トークセッション、出演者全員+α(司会:守田敏也)
9時終了
となりました。僕がお話しするのは3時45分から4時45分になります。
なお会場が、京大文学部新館2階第4会議室から、同第7会議室に変更になっています。
ご注意ください。ともあれよろしければご参加を!
***
そして自分が参加する上記の企画とかぶってしまうのですが、
魅力的なのでお知らせしておきます。
学校給食と放射能汚染~子どもを放射能から守ろう!!
NPO法人使い捨て時代を考える会
脱原発連続講演会第3弾
講師:菅野正寿さん、平賀緑さん
という企画です。僕は菅野さんのお話は聞いたことがないのですが、
平賀さんは、もともと食糧汚染問題に詳しく、さらに放射能汚染問題を
どう捉えるのか分析を重ねているので、非常に濃い内容を話して
下さると思います。
どうか山水人企画と使い捨て時代を考える会講演会、それぞれの
ご興味に合わせてご参加ください。
以下、それぞれの案内を貼り付けます。
*****************************
《東北への風 ── 海と町と人々の再生を支えよう》第3章
2011年7月15日(金)18:30開場、19:00開始、21:00終了予定
コミュニティカフェ「かぜのね」 多目的スペース 入場無料
主催: 《東北への風》
問合せ: 京都精華大学人文学部 細川研究室( km285@me.com )
プログラム
第1部: 三陸海岸(宮城県)の津波被災地での支援NGO活動の報告
NPO法人「パルシック」石巻事務所の活動を中心に紹介します。
第2部: 福島市での「放射能除染・回復プロジェクト」の報告
参考: http://bit.Ly/josen526
話題提供: 細川 弘明(パルシック監事、放射能除染・回復プロジェクト、
京都精華大学教員)
http://www.kazenone.org/modules/events/index.php?content_id=309
なお、時間配分としては、第2部を長めにとる方向で準備しています。
放射能除染をめぐっては、国・福島県による「官製除染」の動きが慌ただしく
なってきましたが、国が「指導」する方式は、高圧水を使って汚染を拡散させる
ものであり、かつ高圧水ポンプを町内会や自治会に購入させる(その補助を国
・県がする)という利権まみれのもので、おおいに問題があります。
【★この問題については、複数のNGOとともに記者会見をひらく準備を始めてお
り、それが15日と前後する可能性がありますが、いずれにせよ〈かぜのね〉で
は最新状況をご報告します。】
■参考(三条ラジオカフェ 7月1日放送)
http://bit.Ly/radio701pm
(前半は高見幸子さん、後半14分40秒めあたりから細川が福島市での除染活動について
お話ししています。)
**************************
「ここが知りたい電気の経済学 お金から考える原発と自然エネルギー」
大島堅一さん講演会
いまこそ原発を問う連続講座 第3回
【日時】 2011年7月14日(木)18:30~21:00
【場所】 龍谷大学 アバンティ響都ホール
【主催】 「いまこそ原発を問う連続講座」実行委員会
【問合】 電話077-596-1181(あらの)
携帯090‐2199‐5208(おおすが)
--------------------------------------------------------
講師:大島堅一さん(立命館大学国際関係学部教授)
専門は環境・エネルギー政策、環境経済学。
原子力政策、再生可能エネルギー政策、温暖化対策について研究。
著書に『再生可能エネルギーの政治経済学』東洋経済新報社など。
コーディネーター:守田敏也さん
(フリーライター
元 同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェロー)
---------------------------------------------------------
原発事故で先の見えない状況が続くなか、原発を続けるのか、脱原発で自然
エネルギーへの転換を進めていくのか、これからの電気のあり方について、
一人ひとりが考えていく必要にせまられています。
でも「原発をなくすと、電気代が高くなるんじゃないの?」
「自然エネルギーで安定供給ができるの?」など不安や疑問がいっぱい。
そこで、原発にいくらコストがかかっているのか、実際に計算してみた(!)いま
話題の人、大島堅一さんと一緒に考えてみませんか?
原発のコストは本当に安いの?
15%節電って本当に必要?
自然エネルギーのコストは?安定供給できるの?
なおこの情報はピースメディアの以下のページをコピーさせてもらっています。
http://peacemedia.jp/event/110714.html
*************************
第5回《私達みんなが直面している危機だからこそ、真実が知りたい》
NO NUKES ~アジア・環太平洋 非核のために~
LIVE:
内田ボブ http://amanakuni.net/bob/top.html
THE FAMILY http://profile.ameba.jp/maizuru-peaceproject/
ヒデヨビッチ上杉 http://www.gernm.com/
TALK:
守田敏也 http://abc.pwkyoto.com/ http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/
冨田貴史 http://radio-active.cocolog-nifty.com/
日時 7月10日(日) 午後3時~9時
場所 京都大学文学部新館2階 第7講義室
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/about/access/
2時半開場
3時開始(総合司会:鳴海姫子:ダンサー)
3:00~3:45 ヒデヨビッチ上杉 ライブ
3:45~4:45 守田敏也 トーク
4:45~5:45 ザ・ファミリー ライブ
5:45~6:00 休憩(おにぎり、飲み物アリ)
6:00~7:00 内田ボブ ライブとトーク
7:00~8:00 富田貴史 トーク
8:00~9:00 トークセッション、出演者全員+α(司会:守田敏也)
9時終了
・・・マーリンが前半のどこかで歌います!
歌に合わせて鳴海姫子の踊りも!
参加費 カンパ制
(経費を除いた全額を、『山水人』の有志が行っている。義援金に使わせて
いただきたいと思います。)
http://yamauto.jp/index.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
福島原発がまだ危険な状態がつづいているにもかかわらず、日本政府は各地の
原発を再稼働しようとしています。
今に始まったことではなく以前から、原発の問題は国内だけの事ではなく世界中
に大きな影響を与えています。
原発で使われるウランの多くはオーストラリアの先住民・アボリジニの大地から
掘り出され、原発の燃料を作る時に生まれる劣化ウランは、兵器になってイラクや
アフガニスタンで放射能をまき散らし、日本製の原発はヴェトナムなどアジア諸国
に輸出されようとしています。
過去には太平洋上で大気圏核実験が繰り返されて、ポリネシア、ミクロネシアや
そして日本および全世界を汚染し、今もアジア、太平洋の各地に被ばくの脅威を
与えながら、多くの国は核の道を歩み続けでいます。
そのような中「日本人はまだ原発を作り続けるつもりなのか」と、世界中の非核を
願う人たちが日本列島に住む私たちの意志・選択に注目を寄せています。
第5回目の集まりも福島原発事故の現状を直視し、もう少し視野を広げ、福島から
広島・長崎・上関・沖縄・アジア・環太平洋、そして、原発から原爆、核兵器へとその
背景を考え、核のない未来の実現に向け、集まりを持ちたいと思います。
今回も各地で大活躍の守田敏也さんをはじめ、チェルノブイリ原発事故以前から
核に向き合いメッセージし続け、近年はパラオやオーストラリアを回る旅にも出て
いる内田ボブさん、上関原発を中心に講演を続ける冨田貴史さん、舞鶴で自給
自足の生活をめざし平和や反核のメッセ―ジ歌うTHE FAMILY、河原町で一週間
ぶっ通しデモも企画し、沖縄・高江から帰ったばかりのヒデヨビッチ上杉さんを
お招きします。
また、おにぎり&飲み物を京都に避難しているベジカフェダイニングTOSCOさんと
オーガニック&ベジタブルフード マチャプチャレさんhttp://yaokan1748.exblog.jp/に
ご協力いただくことになりました。
呼掛け人
福村祖牛(山水人)sogyu@nifty.com 090-1587-6185
********************************
学校給食と放射能汚染~子どもを放射能から守ろう!!
NPO法人使い捨て時代を考える会
脱原発連続講演会第3弾
講師:菅野正寿さん、平賀緑さん
【日時】 2011年7月10日(日)14:00~16:30
【場所】 ひと・まち交流館 京都(河原町五条下る)
【入場無料】 (原発事故被災者義捐金にご協力をお願いします)
【問合】 使い捨て時代を考える会事務所
TEL075‐361-0222 FAX075-361‐0251
e-mail: info[@]tukaisutejidai.com
* 託児あり:事前に使い捨て時代を考える会までお申込みください
------------------------------------------------------------
テーマと講師
•菅野正寿さん:「時代のために今を耕す
~東京電力福島第一原発から約50kmの農民の報告と思い」
1958年福島県二本松市生まれ
学校給食に食材を提供・地域で大きな成果を上げる
現在水田2.5ha. 雨よけトマト14a
野菜・雑穀1ha 農産加工所による複合経営を行う
福島県有機農業ネットワーク代表
•平賀緑さん:「放射能時代の食料問題
~生命を使い捨てる今日のフードシステム」
持続可能な食とエネルギー問題に取り組む。
今年9月よりロンドン市立大学食料政策センター大学院に進学予定
------------------------------------------------------------
来る7月10日に、京都ひとまち交流館で、
「学校給食と放射能汚染ーこどもを放射能から守ろう」と題して
福島県二本松市在住で、
学校給食に地元食材を使うことに大きな成果を上げた
有機農家の菅野正寿さんと、
持続可能な食とエネルギー問題に取り組んでいる
平賀緑さんをお招きして講演会を行います。
お忙しいと思いますが、来場をお待ちしております。
託児もあります。事前に使い捨て時代を考える会までお申込みください。
なおこの情報はピースメディアの以下のページをコピーさせてもらっています。
http://peacemedia.jp/event/110710-2.html
守田です。(20110708 23:30)
7月3日に、たくさんの企画がありましたが、僕は内部被曝問題
の第一人者である矢ケ崎克馬さんなどが出演する講演会に参加
してきました。矢ケ崎さんだけでなく、すべての講演者のお話
が素晴らしく、たくさんのことを学ぶことができました。さら
に二次会にも参加させていただき、直接、矢ケ崎さんに疑問点
などを教えていただくことができました。感激でした。
この日の集会の様子を、毎日新聞の太田裕之記者が非常に的確
に記事にしてくださっています。末尾に貼り付けるので、ぜひ
ご覧ください。短い紙面にかなり内容を盛り込んだ鋭い記事だ
と思います。
この集会に向けて、矢ケ崎さんの書いた『隠された被曝』を
熟読しました。また同時に、被爆者6000人を診て、もっとも早く
から内部被曝を告発していきた肥田舜太郎さんの本や、肥田さん
が執念で翻訳されたアメリカの研究書なども読みこみ、内部被曝
問題について、かなりの見識を深めて来ることができたように
思っています。
それから今、思うのは、この内部被曝問題こそ、放射線のことを
語る時の最も重要なポイントであり、同時に脱原発を考える上で
も欠かせないポイントであるということです。
なぜなら内部被曝は外部被曝と違って、低線量でも人体に深刻な
ダメージを与えるにもかかわらず、これが隠されてきたこと、そ
のため実は現存する放射線科学自身が、かなり歪められたものに
なっており、このもとで核兵器開発が多くの国で容認され、さら
に原子力発電がよりたくさんの国で行われてきたからです。
これは核兵器の開発・製造・使用に深く関わる問題です。とうい
うのは、誰もが知っているように、世界で唯一、原爆を投下した
のはアメリカであり、唯一、投下されたのは、日本であるわけで
すが、アメリカは日本占領後、ただちに、被爆に関する情報を最
高度の軍事機密に指定し、とくに被爆の実態が世界にもれないよ
うにしたのですね。
そのとき一番、重要だったのは、内部被曝問題でした。つまり原
爆爆破時の熱線や、放射線による被爆(放射線については外部被
曝)については、隠しようのないものとして記録されていったの
ですが、その後の死の灰を吸い込んで起こった内部被曝問題を、
米軍はひた隠しにしたのです。
何故か。熱線と放射線による無差別殺人とて、あまりに惨い人道
的罪ですが、さらに放射性降下物によって起こる内部被曝は、戦
闘終結後も、人々を傷つけ、未来世代にまで被害をおよぼすより
非人道的罪なものであって、これが世界に知れ渡ることにより、
世界中からの批判が集まることを恐れたからです。
それだけではありません。実はこの原爆の開発時、アメリカはす
でに深刻な放射能漏れを起こしているのですね。とくに長崎に落
とした原爆にはプルトニウムが使われましたが、これは原子炉で
ウランに中性子をあててプルトニウムを作り、再処理して、手に
入れるしかないもので、このプルトニウム製造過程で、すでに多
くの放射能を漏らしてしまっていたのです。
さらにアメリカは作ったプルトニウム原爆の一つをニューメキシ
コで爆破させているのですが、この核実験でも、たくさんの死の
灰を自国に撒いてしまっている。その意味で実は最初に被曝した
のは、ウラン鉱山の周りの人々、そしてまたアメリカの核兵器工
場や実験場の周りの人々だったのです。
さらにこの核開発技術を戦後にソ連が盗み取ることで、両大国に
よる核開発=核実験競争が始まりました。それはイギリス、フラ
ンス、遅れて中国などを巻き込んだものになっていった。その際
も、本当にたくさんの放射能が大気中に撒かれてしまった。
アメリカは何よりも、こうして撒かれた放射性物質が激しく人々
を傷つけることを隠したかったのです。それでなければ核戦略が
維持できない。広島・長崎の被爆者の内部被曝の問題が明らかに
なると、同時に自国内部からも被曝させられたことに対する非難
の声があがってしまうからです。
しかもこうした内部被曝隠しは、資本主義国だけでなく、社会主
義国でも行われた。アメリカに対抗して核実験を繰り返したソ連、
そして遅れて「核クラブ」入りした中国もまた、核実験で被曝者
がたくさん出ることを明らかにされたくなかった。そのため、い
わば資本主義と社会主義の超大国が、ある意味では一致団結して、
内部被曝問題を隠してしまったのです。
こうした流れのもとで、放射線による人体への影響についての見
識=放射線科学や放射線医学もまとめられてきました。それはもっ
ぱら外部被曝に対する影響によって形作られていて、基本的には
放射線は浴びれば浴びるほど危険であること、反対にいえば、少
量になればなるほど危険が下がるという認識によって支えられて
います。
この枠組みを作ったのは、唯一、大量被曝のデータを持っていた
アメリカでした。もちろん広島・長崎の被ばく者の方々のデータ
です。アメリカはここから内部被曝した方たち、黒い雨に濡れ、
汚染された水や食べ物で被曝していった膨大な数の人々を除外し
た。そして初期に熱線と放射線で亡くなった方たちのみのデータ
を、放射線の人体に対する影響として公表したのです。
しかし実際にはアメリカが公表したこの外部被曝によるデータの
みを放射線の人体への影響とするのはまったくの誤りです。なぜ
なら内部被曝は外部被曝とはメカニズムが違うからです。そもそ
も身体が浴びる放射線の種類も違う。さらに最も核心的なことは、
内部被曝では低線量で長い時間、被曝することになるわけですが、
このとき高線量の外部被曝よりも、細胞に著しいダメ―ジが及ぼ
されることがあるのです。そのため放射線の害は、必ずしも線量
が少なければ少ないだけ低いとは言えないのです。
そうするとどういうことがいえるか。原子力発電が通常の運転で
もわずかながら発生させている微量の放射能漏れからして、実は
人体に悪い影響を与えているということです。これはアメリカで
広範囲に行われた乳がん発生に関する統計学的調査によって明ら
にされています。実に原発から100マイルの地域では、特別な事故
がなくても、乳がんの発生率がそうでない地域よりも有意に高く
なっているのです。
さらに今回の福島原発の事故では本当に深刻なダメージが私たち
にもたらされている。それはスリーマイル島事故の後や、チェル
ノブイリ事故の後の広範囲な調査でもすでに明らかになっている
ことがらです。このためにこそ、放射能は、少しでも漏らしては
いけないものなのです。
この考え方に立つと、核兵器に対する考えも一変していきます。
これまでアメリカや旧ソ連、あるいはロシアは、核兵器は抑止力
なのだ、相手に核を使わせないために所持しているのだと語って
きた。これは使わない限りは安全だということを前提しています。
しかし先にも述べたように、核兵器製造のためには、プルトニウム
の分離=危険な再処理が必要であり、事実、何万発分もそれが行わ
れ、そのたびに、アメリカでも、ソ連でも深刻な放射能漏れが起こ
ってきたのです。その意味で、核兵器は持つだけで、製造するだけ
で大変危険なのです。もちろん核実験は大気中に死の灰をばら撒く
わけで、それ自身が人道的罪です。
繰り返しますが、核武装を推進する国々・・・それは世界の「左右」
の超大国だったわけですが・・・は、放射線のこの恐ろしさを知ら
れたくなかった。核開発そのものが自国民からの批判の対象になる
からです。そのために放射線に関する見解を自分たち自身が編み上
げていった。
こうして出来てきたのが国際放射線防護委員会(ICRP)であり、
その基準です。もちろんこれは、今の日本政府が基準にしているも
のです。そしてここでの考え方が、世界中の科学者の教科書になっ
てしまっている。広島・長崎で内部被曝した被ばく者は、国際的に
おさえこまれてきたのです。
さらに言えば、ここには経済の発展のためには、多少の被曝があっ
ても止むを得ないという考え方が盛り込まれてもいる。リスクより
もメリットが多いのだという考え方ですが、リスクはつねに社会的
弱者の側に押し寄せられ、メリットは強者に集まっていく。その点
で大変、差別的な考え方でもあります。
以上、アウトラインだけを書きましたが、この内部被曝問題を正し
くとらえ返し、放射線の人体への影響についての「常識」を書き変
えていこくことが問われています。内部被曝の危険性が明らかに
なれば、核兵器の製造も、原子力発電も、ともに直ちにやめなけれ
ばならないことが明らかになります。
僕自身、今後、この問題をより深めていくつもりです。
以下、7月3日のシンポジウムの記事をご参照ください。
*****************************
シンポジウム:内部被ばく考える 国の「過小評価」に異議を
研究者らが意見 /京都
毎日新聞2011年7月7日 地方版
◇矢ケ崎さん「晩発性がん発生の危険」
◇高橋さん「日米政府は被害を軽視」
◇山下さん「海産物汚染、監視強化を」
放射性物質が体内に入る内部被ばくの危険について、米国の水
爆実験でマグロ漁船「第五福竜丸」などが被ばくした「ビキニ事
件」(1954年)などを検証しながら考えるシンポジウムが3
日、京都市南区であった。広島・長崎の原爆以来、日米政府が加
害者側に立って内部被ばくを無視し、被害の過小評価が東京電力
福島第1原発事故でも続いている問題の重大さを研究者らが指摘
した。【太田裕之】
原爆症認定集団訴訟で内部被ばくを証言した琉球大名誉教授の
矢ケ崎克馬さん▽原爆と米核実験について機密解除された米側公
文書などを基に研究する広島市立大広島平和研究所講師の高橋博
子さん▽ビキニ事件被災船員の調査を続ける高知県太平洋核実験
被災支援センター事務局長の山下正寿さんらが講演。府内外から
260人が参加した。
矢ケ崎さんはガンマ線による外部被ばくと比較しながら、内部
被ばくを「アルファ線やベータ線でDNAが高い密度で切断され、
間違って再結合する可能性が増大して晩発性がんが発生したり、
不安定なDNAが子孫に伝わる」などと危険性を説明。被爆生存
者の病気発症率は一般国民の数倍であること、内部被ばくは原爆
症認定訴訟の全判決で認められたことを紹介した。
その上で、政府が現在も基本とする国際放射線防護委員会
(ICRP)の基準は内部被ばくを無視し、そもそも核利用の功
利主義で限度値が設定され健康被害の受任を強いていることを指
摘した。
高橋さんも、広島・長崎でもビキニ事件などの核実験でも米日
両政府が放射性降下物と内部被ばくを軽視し、被爆者・被ばく者
が切り捨てられてきた経緯を説明。学校などの屋外活動の制限基
準値が年間被ばく線量20ミリシーベルトに引き上げられたこと
を「感受性の高い子供たちを被害の過小評価のために犠牲にする、
とんでもないこと」、緊急作業時の250ミリシーベルトも「核
実験に従事した兵士の基準に近い」と厳しく批判した。
山下さんはビキニ事件被災船員の86年と89年の健康診断で
は造血機能障害などで計65人全員が健康に障害があったと紹介。
福島原発事故で海に流された汚染水はビキニ事件と同様に海水の
上層と下層の温度差のため拡散せず広範囲に移動する▽魚の計測
では骨・頭・内臓を捨てた切り身だけで行われ、汚染魚が市場に
出る可能性があるなどと指摘した。
聴衆からも多数の質疑があり、高橋さんは将来の被害に備えてス
トロンチウム90が蓄積する乳歯の保管を提案した。山下さんは海
産物の汚染の監視を漁協や生協、消費者が強める必要性を指摘する
と共に、今後は地下水汚染が海に広がる恐れがあると警告。矢ケ崎
さんは「国民が声を上げ、ICRPに従う多くの専門家に対しても
ものを言う必要がある。もう支配体制に従順に生きるのはやめよう」
と呼び掛けた。
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110707ddlk26040498000c.html
7月3日に、たくさんの企画がありましたが、僕は内部被曝問題
の第一人者である矢ケ崎克馬さんなどが出演する講演会に参加
してきました。矢ケ崎さんだけでなく、すべての講演者のお話
が素晴らしく、たくさんのことを学ぶことができました。さら
に二次会にも参加させていただき、直接、矢ケ崎さんに疑問点
などを教えていただくことができました。感激でした。
この日の集会の様子を、毎日新聞の太田裕之記者が非常に的確
に記事にしてくださっています。末尾に貼り付けるので、ぜひ
ご覧ください。短い紙面にかなり内容を盛り込んだ鋭い記事だ
と思います。
この集会に向けて、矢ケ崎さんの書いた『隠された被曝』を
熟読しました。また同時に、被爆者6000人を診て、もっとも早く
から内部被曝を告発していきた肥田舜太郎さんの本や、肥田さん
が執念で翻訳されたアメリカの研究書なども読みこみ、内部被曝
問題について、かなりの見識を深めて来ることができたように
思っています。
それから今、思うのは、この内部被曝問題こそ、放射線のことを
語る時の最も重要なポイントであり、同時に脱原発を考える上で
も欠かせないポイントであるということです。
なぜなら内部被曝は外部被曝と違って、低線量でも人体に深刻な
ダメージを与えるにもかかわらず、これが隠されてきたこと、そ
のため実は現存する放射線科学自身が、かなり歪められたものに
なっており、このもとで核兵器開発が多くの国で容認され、さら
に原子力発電がよりたくさんの国で行われてきたからです。
これは核兵器の開発・製造・使用に深く関わる問題です。とうい
うのは、誰もが知っているように、世界で唯一、原爆を投下した
のはアメリカであり、唯一、投下されたのは、日本であるわけで
すが、アメリカは日本占領後、ただちに、被爆に関する情報を最
高度の軍事機密に指定し、とくに被爆の実態が世界にもれないよ
うにしたのですね。
そのとき一番、重要だったのは、内部被曝問題でした。つまり原
爆爆破時の熱線や、放射線による被爆(放射線については外部被
曝)については、隠しようのないものとして記録されていったの
ですが、その後の死の灰を吸い込んで起こった内部被曝問題を、
米軍はひた隠しにしたのです。
何故か。熱線と放射線による無差別殺人とて、あまりに惨い人道
的罪ですが、さらに放射性降下物によって起こる内部被曝は、戦
闘終結後も、人々を傷つけ、未来世代にまで被害をおよぼすより
非人道的罪なものであって、これが世界に知れ渡ることにより、
世界中からの批判が集まることを恐れたからです。
それだけではありません。実はこの原爆の開発時、アメリカはす
でに深刻な放射能漏れを起こしているのですね。とくに長崎に落
とした原爆にはプルトニウムが使われましたが、これは原子炉で
ウランに中性子をあててプルトニウムを作り、再処理して、手に
入れるしかないもので、このプルトニウム製造過程で、すでに多
くの放射能を漏らしてしまっていたのです。
さらにアメリカは作ったプルトニウム原爆の一つをニューメキシ
コで爆破させているのですが、この核実験でも、たくさんの死の
灰を自国に撒いてしまっている。その意味で実は最初に被曝した
のは、ウラン鉱山の周りの人々、そしてまたアメリカの核兵器工
場や実験場の周りの人々だったのです。
さらにこの核開発技術を戦後にソ連が盗み取ることで、両大国に
よる核開発=核実験競争が始まりました。それはイギリス、フラ
ンス、遅れて中国などを巻き込んだものになっていった。その際
も、本当にたくさんの放射能が大気中に撒かれてしまった。
アメリカは何よりも、こうして撒かれた放射性物質が激しく人々
を傷つけることを隠したかったのです。それでなければ核戦略が
維持できない。広島・長崎の被爆者の内部被曝の問題が明らかに
なると、同時に自国内部からも被曝させられたことに対する非難
の声があがってしまうからです。
しかもこうした内部被曝隠しは、資本主義国だけでなく、社会主
義国でも行われた。アメリカに対抗して核実験を繰り返したソ連、
そして遅れて「核クラブ」入りした中国もまた、核実験で被曝者
がたくさん出ることを明らかにされたくなかった。そのため、い
わば資本主義と社会主義の超大国が、ある意味では一致団結して、
内部被曝問題を隠してしまったのです。
こうした流れのもとで、放射線による人体への影響についての見
識=放射線科学や放射線医学もまとめられてきました。それはもっ
ぱら外部被曝に対する影響によって形作られていて、基本的には
放射線は浴びれば浴びるほど危険であること、反対にいえば、少
量になればなるほど危険が下がるという認識によって支えられて
います。
この枠組みを作ったのは、唯一、大量被曝のデータを持っていた
アメリカでした。もちろん広島・長崎の被ばく者の方々のデータ
です。アメリカはここから内部被曝した方たち、黒い雨に濡れ、
汚染された水や食べ物で被曝していった膨大な数の人々を除外し
た。そして初期に熱線と放射線で亡くなった方たちのみのデータ
を、放射線の人体に対する影響として公表したのです。
しかし実際にはアメリカが公表したこの外部被曝によるデータの
みを放射線の人体への影響とするのはまったくの誤りです。なぜ
なら内部被曝は外部被曝とはメカニズムが違うからです。そもそ
も身体が浴びる放射線の種類も違う。さらに最も核心的なことは、
内部被曝では低線量で長い時間、被曝することになるわけですが、
このとき高線量の外部被曝よりも、細胞に著しいダメ―ジが及ぼ
されることがあるのです。そのため放射線の害は、必ずしも線量
が少なければ少ないだけ低いとは言えないのです。
そうするとどういうことがいえるか。原子力発電が通常の運転で
もわずかながら発生させている微量の放射能漏れからして、実は
人体に悪い影響を与えているということです。これはアメリカで
広範囲に行われた乳がん発生に関する統計学的調査によって明ら
にされています。実に原発から100マイルの地域では、特別な事故
がなくても、乳がんの発生率がそうでない地域よりも有意に高く
なっているのです。
さらに今回の福島原発の事故では本当に深刻なダメージが私たち
にもたらされている。それはスリーマイル島事故の後や、チェル
ノブイリ事故の後の広範囲な調査でもすでに明らかになっている
ことがらです。このためにこそ、放射能は、少しでも漏らしては
いけないものなのです。
この考え方に立つと、核兵器に対する考えも一変していきます。
これまでアメリカや旧ソ連、あるいはロシアは、核兵器は抑止力
なのだ、相手に核を使わせないために所持しているのだと語って
きた。これは使わない限りは安全だということを前提しています。
しかし先にも述べたように、核兵器製造のためには、プルトニウム
の分離=危険な再処理が必要であり、事実、何万発分もそれが行わ
れ、そのたびに、アメリカでも、ソ連でも深刻な放射能漏れが起こ
ってきたのです。その意味で、核兵器は持つだけで、製造するだけ
で大変危険なのです。もちろん核実験は大気中に死の灰をばら撒く
わけで、それ自身が人道的罪です。
繰り返しますが、核武装を推進する国々・・・それは世界の「左右」
の超大国だったわけですが・・・は、放射線のこの恐ろしさを知ら
れたくなかった。核開発そのものが自国民からの批判の対象になる
からです。そのために放射線に関する見解を自分たち自身が編み上
げていった。
こうして出来てきたのが国際放射線防護委員会(ICRP)であり、
その基準です。もちろんこれは、今の日本政府が基準にしているも
のです。そしてここでの考え方が、世界中の科学者の教科書になっ
てしまっている。広島・長崎で内部被曝した被ばく者は、国際的に
おさえこまれてきたのです。
さらに言えば、ここには経済の発展のためには、多少の被曝があっ
ても止むを得ないという考え方が盛り込まれてもいる。リスクより
もメリットが多いのだという考え方ですが、リスクはつねに社会的
弱者の側に押し寄せられ、メリットは強者に集まっていく。その点
で大変、差別的な考え方でもあります。
以上、アウトラインだけを書きましたが、この内部被曝問題を正し
くとらえ返し、放射線の人体への影響についての「常識」を書き変
えていこくことが問われています。内部被曝の危険性が明らかに
なれば、核兵器の製造も、原子力発電も、ともに直ちにやめなけれ
ばならないことが明らかになります。
僕自身、今後、この問題をより深めていくつもりです。
以下、7月3日のシンポジウムの記事をご参照ください。
*****************************
シンポジウム:内部被ばく考える 国の「過小評価」に異議を
研究者らが意見 /京都
毎日新聞2011年7月7日 地方版
◇矢ケ崎さん「晩発性がん発生の危険」
◇高橋さん「日米政府は被害を軽視」
◇山下さん「海産物汚染、監視強化を」
放射性物質が体内に入る内部被ばくの危険について、米国の水
爆実験でマグロ漁船「第五福竜丸」などが被ばくした「ビキニ事
件」(1954年)などを検証しながら考えるシンポジウムが3
日、京都市南区であった。広島・長崎の原爆以来、日米政府が加
害者側に立って内部被ばくを無視し、被害の過小評価が東京電力
福島第1原発事故でも続いている問題の重大さを研究者らが指摘
した。【太田裕之】
原爆症認定集団訴訟で内部被ばくを証言した琉球大名誉教授の
矢ケ崎克馬さん▽原爆と米核実験について機密解除された米側公
文書などを基に研究する広島市立大広島平和研究所講師の高橋博
子さん▽ビキニ事件被災船員の調査を続ける高知県太平洋核実験
被災支援センター事務局長の山下正寿さんらが講演。府内外から
260人が参加した。
矢ケ崎さんはガンマ線による外部被ばくと比較しながら、内部
被ばくを「アルファ線やベータ線でDNAが高い密度で切断され、
間違って再結合する可能性が増大して晩発性がんが発生したり、
不安定なDNAが子孫に伝わる」などと危険性を説明。被爆生存
者の病気発症率は一般国民の数倍であること、内部被ばくは原爆
症認定訴訟の全判決で認められたことを紹介した。
その上で、政府が現在も基本とする国際放射線防護委員会
(ICRP)の基準は内部被ばくを無視し、そもそも核利用の功
利主義で限度値が設定され健康被害の受任を強いていることを指
摘した。
高橋さんも、広島・長崎でもビキニ事件などの核実験でも米日
両政府が放射性降下物と内部被ばくを軽視し、被爆者・被ばく者
が切り捨てられてきた経緯を説明。学校などの屋外活動の制限基
準値が年間被ばく線量20ミリシーベルトに引き上げられたこと
を「感受性の高い子供たちを被害の過小評価のために犠牲にする、
とんでもないこと」、緊急作業時の250ミリシーベルトも「核
実験に従事した兵士の基準に近い」と厳しく批判した。
山下さんはビキニ事件被災船員の86年と89年の健康診断で
は造血機能障害などで計65人全員が健康に障害があったと紹介。
福島原発事故で海に流された汚染水はビキニ事件と同様に海水の
上層と下層の温度差のため拡散せず広範囲に移動する▽魚の計測
では骨・頭・内臓を捨てた切り身だけで行われ、汚染魚が市場に
出る可能性があるなどと指摘した。
聴衆からも多数の質疑があり、高橋さんは将来の被害に備えてス
トロンチウム90が蓄積する乳歯の保管を提案した。山下さんは海
産物の汚染の監視を漁協や生協、消費者が強める必要性を指摘する
と共に、今後は地下水汚染が海に広がる恐れがあると警告。矢ケ崎
さんは「国民が声を上げ、ICRPに従う多くの専門家に対しても
ものを言う必要がある。もう支配体制に従順に生きるのはやめよう」
と呼び掛けた。
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110707ddlk26040498000c.html
守田です。(20110707 01:00)
「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクトの方から案内が送られて
きましたので紹介します。脱原発のロゴ等々をアレンジした団扇を、
この夏の祭りで、どんどん撒いてしまおう!という企画です。
何よりも、団扇のデザインがかっこいい!まずは下記を見てください。
http://d.hatena.ne.jp/uchiwa10/20110630/1309453755
発信元は、京都です。まず祇園祭でじゃんじゃか撒くそうです。同
時に大阪天神祭でも撒くのだそうです。目指すのは各地合計で10万
枚!
プロジェクトの一員で、僕に内容を紹介してくれた北野ゆりさんが、
「もともと祇園祭りは、怨霊や疫病を払うために、庶民が自分たち
で始めた祭りです。庶民の心意気が祭りを支えているんです。だか
らここで、原発を追い払うための団扇を配ろうと思いました」と
語ってくれました。共感しました。こういうの、いいと思うのですね。
ぜひみなさんも、ご自分の街の祭りで、この団扇を配りませんか?
我はと思う方は、プロジェクトにご連絡ください。カンパの要請など
もありますので、よろしければお願いします。
みんなでパタパタと、原発と放射能を追い払いましょう!
*******************************
「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクト始動!
■-----------------------------------------------------------
□
めざせ10万枚! 「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクト
企画説明とご協力のお願い
*周知にご協力いただければ幸いです(一番下にツィッターと
フェイスブックへのリンク・ボタンがあります)。
□-----------------------------------------------------------
■
1.デモはこの夏が正念場
2.企画の概要
3.団扇(うちわ)のデザイン
4.賛同者と協力者を募ります!
(1)「関西二大祭り作戦」に向けたカンパのお願い
(2)全国展開に向けた協力者の募集
■-----------------------------------------------------------
□
《1.デモはこの夏が正念場》
6月11日に全国で一斉に行われた脱原発デモは、およそ7
万人もの参加者を集める歴史的なデモとなりました。
直後に朝日新聞が行った世論調査によれば、「原子力発電を
段階的に減らして将来はやめる」ことに74%の人々が賛成と
答えています。これまでに全国各地で展開されてきた脱原発運
動の成果の一つと言えるでしょう。
しかし、これで安心するのは早計に過ぎます。
このような脱原発ムードの高まりにもかかわらず、政財界を
中心に原発推進派による巻き返しの動きが活発化しています。
世論に逆行するこうした動きを阻止するためにも、脱原発の
意思表示をよりいっそう高めていく必要性を痛感します。
9月には、大江健三郎さん、鎌田慧さん、坂本龍一さん、瀬
戸内寂聴さん、鶴見俊輔さんなど日本を代表する文化人の呼び
かけにより、大規模な集会とデモが準備されています(「さよ
うなら原発1000万人アクション」)。
心強い限りです。
しかし、9月では遅すぎるという懸念も拭えません。
電力需要のピークを迎える真夏日にかけて、電力会社を中心
とした政財界が、「電力不足」を理由に原発の再稼働を求める
プロパガンダを大々的に展開することは目に見えています。現
在、日本の原発は、全54基のうち19基(全体の約3分の1
)のみが稼働していますが、このまま大掛かりな「計画停電」
をせずにこの夏を越せば、電力は足りているという脱原発派の
主張の信憑性がいっそう高まるからです。
したがって、脱原発デモはこの夏が一つの正念場になるはず
です。
□-----------------------------------------------------------
■
《2.企画の概要》
そこで、京都を中心に脱原発運動に携わってきた私たちは、
こんなプロジェクトを考えてみました。
要領はいたって簡単。
7月から8月にかけて各地で催される夏祭りや花火大会で脱
原発のメッセージを込めた団扇(うちわ)を配る。
それだけです。
手始めに、地元京都の祇園祭で最初の風を起こします。その
後、大阪の天神祭(7月24日、25日)でも脱原発ムードを扇ぎ
ます。
とくに京都は7月15日、16日、17日と祇園祭の宵々山、宵山、
巡行と三大祭りの内でも連日10万人を越える人々であふれかえ
ります。
数十万人もの人々が繰り出すこの機会を利用しない手はあり
ません。
とはいえ、町が人でごった返す時期に街頭デモをすれば逆効
果になりかねません。
では、たとえば涼しげな浴衣姿でおシャレな「脱原発うちわ
」を沿道で配ってみたらどうでしょうか?
たくさんの人が手にとってくれることでしょう。
■-----------------------------------------------------------
□
《3.団扇(うちわ)のデザイン》
「なんとなく」脱原発に傾き始めている最大公約数的な人々
に向けて、団扇のメッセージも、比較的敷居の低そうなものを
中心に集めてみました。
多方面でご活躍中のデザイナーさんのご協力を得て、デザイ
ンは5種類をご用意しました。
f:id:uchiwa10:20110702132620j:image
各デザインの詳細はこちら:
http://d.hatena.ne.jp/uchiwa10/20110630/1309453755
「脱原発ポスター展」から3点:
◆ えっ? 足りてたの?(須永豪@survival_design)
◆ Power Shortage...REALLY?(@mipoko611)
◆ Let the wind blow.(Tsujikawa Fumitoshi@tjkw)
「あかいつぶつぶの絵」でお馴染みの柚木ミサトさんの作品:
◆ 「でんき」はたりてる/たりないのは「あい」(@pelukiss
)
「脱原発メッセージ集」から厳選したフレーズ集:
◆ 脱原発メッセージ集 (royterek & tami)
□-----------------------------------------------------------
■
《4.賛同者と協力者を募ります!》
(1)「関西二大祭作戦」に向けたカンパのお願い
まずは、7月に予定されている祇園祭と天神祭で脱原発うち
わ約5万枚を配ることを目標にしています。
うちわの製作費は1枚約10円。5万枚を印刷するのに約4
5万円かかります。製作費はすべて、本プロジェクトの賛同者
から募ったカンパで賄う必要があります。
本プロジェクトにご賛同いただける方は、どうぞカンパにご
協力ください。
・カンパは一口1000円からとさせていただきます。
・5口(5千円)以上カンパをしてくださった方には、5口に
つき脱原発うちわ各種5枚(10口1万円で各種2枚ずつの計
10枚)を差し上げます。
・「うちわ小口(500枚以上)の発注」についてはこちら
:http://d.hatena.ne.jp/uchiwa10/20110702/1309586183
カンパの振込先:京都中央信用金庫 御池支店(普通)0705888
うちわで脱原発プロジェクト
(2)全国展開に向けた協力者の募集
私たちの当面の目標は関西二大祭りですが、同様の作戦が全
国各地の夏祭りや花火大会でも展開されることを願っています。
これ以外のイベントでの作戦にご協力いただける方は、お気
軽にご相談ください。
必要枚数の印刷費と配布要員さえご用意していただければ、
印刷の発注等をこちらで行うことも可能です(デザイン裏面の
修正等のご要望等も承ります)
発注先:gr@phic
円形うちわ(価格表):http://www.graphic.jp/lineup/offset/price/97/
連絡先:「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクト(赤尾)
tel: 070-5600-3611
mail: e.pithecanthropus @ gmail.com
[アットマークの前後スペースをツメル]
twitter:@royterek
「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクトの方から案内が送られて
きましたので紹介します。脱原発のロゴ等々をアレンジした団扇を、
この夏の祭りで、どんどん撒いてしまおう!という企画です。
何よりも、団扇のデザインがかっこいい!まずは下記を見てください。
http://d.hatena.ne.jp/uchiwa10/20110630/1309453755
発信元は、京都です。まず祇園祭でじゃんじゃか撒くそうです。同
時に大阪天神祭でも撒くのだそうです。目指すのは各地合計で10万
枚!
プロジェクトの一員で、僕に内容を紹介してくれた北野ゆりさんが、
「もともと祇園祭りは、怨霊や疫病を払うために、庶民が自分たち
で始めた祭りです。庶民の心意気が祭りを支えているんです。だか
らここで、原発を追い払うための団扇を配ろうと思いました」と
語ってくれました。共感しました。こういうの、いいと思うのですね。
ぜひみなさんも、ご自分の街の祭りで、この団扇を配りませんか?
我はと思う方は、プロジェクトにご連絡ください。カンパの要請など
もありますので、よろしければお願いします。
みんなでパタパタと、原発と放射能を追い払いましょう!
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「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクト始動!
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めざせ10万枚! 「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクト
企画説明とご協力のお願い
*周知にご協力いただければ幸いです(一番下にツィッターと
フェイスブックへのリンク・ボタンがあります)。
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■
1.デモはこの夏が正念場
2.企画の概要
3.団扇(うちわ)のデザイン
4.賛同者と協力者を募ります!
(1)「関西二大祭り作戦」に向けたカンパのお願い
(2)全国展開に向けた協力者の募集
■-----------------------------------------------------------
□
《1.デモはこの夏が正念場》
6月11日に全国で一斉に行われた脱原発デモは、およそ7
万人もの参加者を集める歴史的なデモとなりました。
直後に朝日新聞が行った世論調査によれば、「原子力発電を
段階的に減らして将来はやめる」ことに74%の人々が賛成と
答えています。これまでに全国各地で展開されてきた脱原発運
動の成果の一つと言えるでしょう。
しかし、これで安心するのは早計に過ぎます。
このような脱原発ムードの高まりにもかかわらず、政財界を
中心に原発推進派による巻き返しの動きが活発化しています。
世論に逆行するこうした動きを阻止するためにも、脱原発の
意思表示をよりいっそう高めていく必要性を痛感します。
9月には、大江健三郎さん、鎌田慧さん、坂本龍一さん、瀬
戸内寂聴さん、鶴見俊輔さんなど日本を代表する文化人の呼び
かけにより、大規模な集会とデモが準備されています(「さよ
うなら原発1000万人アクション」)。
心強い限りです。
しかし、9月では遅すぎるという懸念も拭えません。
電力需要のピークを迎える真夏日にかけて、電力会社を中心
とした政財界が、「電力不足」を理由に原発の再稼働を求める
プロパガンダを大々的に展開することは目に見えています。現
在、日本の原発は、全54基のうち19基(全体の約3分の1
)のみが稼働していますが、このまま大掛かりな「計画停電」
をせずにこの夏を越せば、電力は足りているという脱原発派の
主張の信憑性がいっそう高まるからです。
したがって、脱原発デモはこの夏が一つの正念場になるはず
です。
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■
《2.企画の概要》
そこで、京都を中心に脱原発運動に携わってきた私たちは、
こんなプロジェクトを考えてみました。
要領はいたって簡単。
7月から8月にかけて各地で催される夏祭りや花火大会で脱
原発のメッセージを込めた団扇(うちわ)を配る。
それだけです。
手始めに、地元京都の祇園祭で最初の風を起こします。その
後、大阪の天神祭(7月24日、25日)でも脱原発ムードを扇ぎ
ます。
とくに京都は7月15日、16日、17日と祇園祭の宵々山、宵山、
巡行と三大祭りの内でも連日10万人を越える人々であふれかえ
ります。
数十万人もの人々が繰り出すこの機会を利用しない手はあり
ません。
とはいえ、町が人でごった返す時期に街頭デモをすれば逆効
果になりかねません。
では、たとえば涼しげな浴衣姿でおシャレな「脱原発うちわ
」を沿道で配ってみたらどうでしょうか?
たくさんの人が手にとってくれることでしょう。
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《3.団扇(うちわ)のデザイン》
「なんとなく」脱原発に傾き始めている最大公約数的な人々
に向けて、団扇のメッセージも、比較的敷居の低そうなものを
中心に集めてみました。
多方面でご活躍中のデザイナーさんのご協力を得て、デザイ
ンは5種類をご用意しました。
f:id:uchiwa10:20110702132620j:image
各デザインの詳細はこちら:
http://d.hatena.ne.jp/uchiwa10/20110630/1309453755
「脱原発ポスター展」から3点:
◆ えっ? 足りてたの?(須永豪@survival_design)
◆ Power Shortage...REALLY?(@mipoko611)
◆ Let the wind blow.(Tsujikawa Fumitoshi@tjkw)
「あかいつぶつぶの絵」でお馴染みの柚木ミサトさんの作品:
◆ 「でんき」はたりてる/たりないのは「あい」(@pelukiss
)
「脱原発メッセージ集」から厳選したフレーズ集:
◆ 脱原発メッセージ集 (royterek & tami)
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《4.賛同者と協力者を募ります!》
(1)「関西二大祭作戦」に向けたカンパのお願い
まずは、7月に予定されている祇園祭と天神祭で脱原発うち
わ約5万枚を配ることを目標にしています。
うちわの製作費は1枚約10円。5万枚を印刷するのに約4
5万円かかります。製作費はすべて、本プロジェクトの賛同者
から募ったカンパで賄う必要があります。
本プロジェクトにご賛同いただける方は、どうぞカンパにご
協力ください。
・カンパは一口1000円からとさせていただきます。
・5口(5千円)以上カンパをしてくださった方には、5口に
つき脱原発うちわ各種5枚(10口1万円で各種2枚ずつの計
10枚)を差し上げます。
・「うちわ小口(500枚以上)の発注」についてはこちら
:http://d.hatena.ne.jp/uchiwa10/20110702/1309586183
カンパの振込先:京都中央信用金庫 御池支店(普通)0705888
うちわで脱原発プロジェクト
(2)全国展開に向けた協力者の募集
私たちの当面の目標は関西二大祭りですが、同様の作戦が全
国各地の夏祭りや花火大会でも展開されることを願っています。
これ以外のイベントでの作戦にご協力いただける方は、お気
軽にご相談ください。
必要枚数の印刷費と配布要員さえご用意していただければ、
印刷の発注等をこちらで行うことも可能です(デザイン裏面の
修正等のご要望等も承ります)
発注先:gr@phic
円形うちわ(価格表):http://www.graphic.jp/lineup/offset/price/97/
連絡先:「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクト(赤尾)
tel: 070-5600-3611
mail: e.pithecanthropus @ gmail.com
[アットマークの前後スペースをツメル]
twitter:@royterek
守田です。(20110706 23:30)
昨日7月5日早朝、宿泊中の仙台のホテルのロビーで、何気なく新聞の
ラックに目をやった際に、読売新聞の1面トップ記事の見出しが目に
飛び込んできました。
いわく、「放射線教育空白の30年」・・・ようするにこの国で放射線教育
が30年間にわたって行われてきておらず、空白が生じているというのです。
興味をひかれてさっそく記事を読みました。
記事にはこう書かれています。
「放射線ヨウ素、同セシウム、人体への被曝の影響を表す単位「シーベル
ト」。事故後頻繁に登場した用語や単位は多くの人にとってなじみが薄く、
放射性物質とは何か、毎日発表される数値は何を意味するのか、簡単に理解
できる人は少なかったのではないか。
『それも当然だ。日本ではこの数十年、放射能の怖さも利点も教えて来な
かった。被爆国でもあり大事なことなのに、大臣だった私も気付かなかった』
1998年から翌年にかけて文相を務めた原子核物理学者・有馬朗人・武蔵学
園長(80)は自戒も込めて話す。
放射線の性質などに関する記述は80年代初頭まで中学教科書にもあったが、
以降30年間消え、高校でも重要な扱いではない。特に、人体への影響につい
ては学校でも社会でもあまり語られなかった」
というのです。なんと30年間、この国の教育から、放射線は閉めだされてき
たのでした。とくに中学校の教科書からは完全に消えてしまった。
これは重要な記事だなと思って、紹介しようと思い、夜になってネットを検
索するとなぜかこれが出てこない。1面トップの記事なのに。後で分かったこ
とですが、「学び再出発」という企画ものの記事なので、後日、出すつもり
なのかもしれません。
それにしても1面トップに出た記事がネットに載っていないのは不自然です。
ともあれ手に入れておこうと、すぐにコンビニを走り回って、残っていた朝
刊をどうに買ってくる事が出来ました・・・。
自分で入力しているため、長い記事全体を紹介できませんが、ともあれさらに
要点を紹介すると、読売新聞は、中学校教科書から記述が消えたことを、「ゆ
とり教育」のせいにしています。そしてこのために、放射線への恐怖が強まっ
てしまっている、正しい教育が必要だとも。
要するに読売新聞がいいたいのはこれかと思いつつ、他に記事を探していると、
「放射線教育、積極的に取り組むべき・・・文科相」という記事が、やはり5
日に出されたことを知りました。(これについては最後に貼り付けておきます)
ようするに読売新聞は、放射線教育は30年間空白だった⇒ゆとり教育のせいだ
⇒今こそ放射線教育に積極的に取り組むべき・・・というストーリーで紙面を
作っていたことが分かります。まさに政府広報です。
しかしそれではなぜ「放射線教育空白の30年」を消してしまったのでしょう。
やはり、「このタイトルはまずい、この内容はまずい」という判断が事後的に
働いたのではないか。そこを読みこんでいくと、放射線教育空白の30年の意味
が大きく浮かび上がってきます。けしてゆとり教育のせいで消えたのではない。
まず第1に1979年にスリーマイル島で深刻な原発事故が起こったこと。これを
期に世界で脱原発の流れが動き出したわけですが、日本は反対にまさにこの頃
に原発をどんどん増やそうとしていた。1980年の時点で稼働していた数は正確
には調べきれていないのですが、およそ20基ぐらいだったと思います。それか
ら現在まで2.5倍に増やしてきたわけで、まさにそのときに、放射線教育が消
されたわけです。
さらに1980年代は、アメリカでレーガン政権が登場し、戦術的核兵器の使用が
公言された時代でもありました。それまで米ソは互いに核兵器を相手の攻撃を
抑止するもので、自分から使う気はないと語ってきたわけですが、レーガン
大統領はそれを180度転換し、ヨーロッパなどの限定的戦場では、核兵器を使う
用意があると言いだした。大陸弾道弾などの戦略核兵器に対して、地域限定の
「戦術核」を使うと言ったのです。それで世界中で反核デモが沸き起こった。
僕も大阪城での30万人デモに、学生グループの一員として参加しました・・・。
そんなときに、日本の中学校の教科書から、放射線の記述が消えた・・・。
さらにおかしいのはこうしたことを文部大臣が「知らなかった」という事実です。
この方が文系出身の方なら、そういうこともあるかもしれないとは思えますが、
原子核物理学者から文部大臣になった方が知らないなどということが本当にあり
えたのだろうか。むしろ反対に、ここに非常に強い政治的意図が介在していたこ
とを感じざるをえません。
しかもこの方が文部大臣になられたのが、1998年、チェルノブイリ事故から12年
経ち、健康被害などが全面化しつつあったときのことであることを考えると、よ
り一層、何かの意図があったと思えてしまいます。
ともあれスリーマイル島事故のあった後、アメリカが戦術核兵器を使うと言いだ
したころから、この国の中学校の教科書から放射線の記述は消えたのでした。そ
うして政府が「放射能は怖くないキャンペーン」を強めている今、やにわに「積
極的に取り組むべき」と言われているのが事実です。
放射線記述を教科書から一たび消し去ったことにも、今になっても「取り組むべ
き」と言いだしたことにも明確な意図を感じます。
この問題についても重大な関心をもってのウォッチが必要なようです・・・。
***************************
放射線教育、積極的に取り組むべき…文科相
読売新聞 2011年7月5日13時21分)
高木文部科学相は5日の閣議後の記者会見で、過去30年間、中学校で放射線教
育を行ってこなかったことを問われ、「今回の(福島第一原発の)事故で、放射能
に関する正しい知識を子供にも分かりやすく教えていくことが何より必要だと分かっ
た」と述べ、今後は放射線教育に積極的に取り組むべきだとの認識を示した。
その上で、書店などで放射線に関する書籍が売れている現状に触れ、「放射線へ
の国民の関心は大変強い。(子供に)どのような内容をどう教えていくのか、専門
家の意見を聞いて早急に結論を出す」と述べ、学校向けの副読本の作成を急ぐ考え
を示した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110705-OYT1T00621.htm
昨日7月5日早朝、宿泊中の仙台のホテルのロビーで、何気なく新聞の
ラックに目をやった際に、読売新聞の1面トップ記事の見出しが目に
飛び込んできました。
いわく、「放射線教育空白の30年」・・・ようするにこの国で放射線教育
が30年間にわたって行われてきておらず、空白が生じているというのです。
興味をひかれてさっそく記事を読みました。
記事にはこう書かれています。
「放射線ヨウ素、同セシウム、人体への被曝の影響を表す単位「シーベル
ト」。事故後頻繁に登場した用語や単位は多くの人にとってなじみが薄く、
放射性物質とは何か、毎日発表される数値は何を意味するのか、簡単に理解
できる人は少なかったのではないか。
『それも当然だ。日本ではこの数十年、放射能の怖さも利点も教えて来な
かった。被爆国でもあり大事なことなのに、大臣だった私も気付かなかった』
1998年から翌年にかけて文相を務めた原子核物理学者・有馬朗人・武蔵学
園長(80)は自戒も込めて話す。
放射線の性質などに関する記述は80年代初頭まで中学教科書にもあったが、
以降30年間消え、高校でも重要な扱いではない。特に、人体への影響につい
ては学校でも社会でもあまり語られなかった」
というのです。なんと30年間、この国の教育から、放射線は閉めだされてき
たのでした。とくに中学校の教科書からは完全に消えてしまった。
これは重要な記事だなと思って、紹介しようと思い、夜になってネットを検
索するとなぜかこれが出てこない。1面トップの記事なのに。後で分かったこ
とですが、「学び再出発」という企画ものの記事なので、後日、出すつもり
なのかもしれません。
それにしても1面トップに出た記事がネットに載っていないのは不自然です。
ともあれ手に入れておこうと、すぐにコンビニを走り回って、残っていた朝
刊をどうに買ってくる事が出来ました・・・。
自分で入力しているため、長い記事全体を紹介できませんが、ともあれさらに
要点を紹介すると、読売新聞は、中学校教科書から記述が消えたことを、「ゆ
とり教育」のせいにしています。そしてこのために、放射線への恐怖が強まっ
てしまっている、正しい教育が必要だとも。
要するに読売新聞がいいたいのはこれかと思いつつ、他に記事を探していると、
「放射線教育、積極的に取り組むべき・・・文科相」という記事が、やはり5
日に出されたことを知りました。(これについては最後に貼り付けておきます)
ようするに読売新聞は、放射線教育は30年間空白だった⇒ゆとり教育のせいだ
⇒今こそ放射線教育に積極的に取り組むべき・・・というストーリーで紙面を
作っていたことが分かります。まさに政府広報です。
しかしそれではなぜ「放射線教育空白の30年」を消してしまったのでしょう。
やはり、「このタイトルはまずい、この内容はまずい」という判断が事後的に
働いたのではないか。そこを読みこんでいくと、放射線教育空白の30年の意味
が大きく浮かび上がってきます。けしてゆとり教育のせいで消えたのではない。
まず第1に1979年にスリーマイル島で深刻な原発事故が起こったこと。これを
期に世界で脱原発の流れが動き出したわけですが、日本は反対にまさにこの頃
に原発をどんどん増やそうとしていた。1980年の時点で稼働していた数は正確
には調べきれていないのですが、およそ20基ぐらいだったと思います。それか
ら現在まで2.5倍に増やしてきたわけで、まさにそのときに、放射線教育が消
されたわけです。
さらに1980年代は、アメリカでレーガン政権が登場し、戦術的核兵器の使用が
公言された時代でもありました。それまで米ソは互いに核兵器を相手の攻撃を
抑止するもので、自分から使う気はないと語ってきたわけですが、レーガン
大統領はそれを180度転換し、ヨーロッパなどの限定的戦場では、核兵器を使う
用意があると言いだした。大陸弾道弾などの戦略核兵器に対して、地域限定の
「戦術核」を使うと言ったのです。それで世界中で反核デモが沸き起こった。
僕も大阪城での30万人デモに、学生グループの一員として参加しました・・・。
そんなときに、日本の中学校の教科書から、放射線の記述が消えた・・・。
さらにおかしいのはこうしたことを文部大臣が「知らなかった」という事実です。
この方が文系出身の方なら、そういうこともあるかもしれないとは思えますが、
原子核物理学者から文部大臣になった方が知らないなどということが本当にあり
えたのだろうか。むしろ反対に、ここに非常に強い政治的意図が介在していたこ
とを感じざるをえません。
しかもこの方が文部大臣になられたのが、1998年、チェルノブイリ事故から12年
経ち、健康被害などが全面化しつつあったときのことであることを考えると、よ
り一層、何かの意図があったと思えてしまいます。
ともあれスリーマイル島事故のあった後、アメリカが戦術核兵器を使うと言いだ
したころから、この国の中学校の教科書から放射線の記述は消えたのでした。そ
うして政府が「放射能は怖くないキャンペーン」を強めている今、やにわに「積
極的に取り組むべき」と言われているのが事実です。
放射線記述を教科書から一たび消し去ったことにも、今になっても「取り組むべ
き」と言いだしたことにも明確な意図を感じます。
この問題についても重大な関心をもってのウォッチが必要なようです・・・。
***************************
放射線教育、積極的に取り組むべき…文科相
読売新聞 2011年7月5日13時21分)
高木文部科学相は5日の閣議後の記者会見で、過去30年間、中学校で放射線教
育を行ってこなかったことを問われ、「今回の(福島第一原発の)事故で、放射能
に関する正しい知識を子供にも分かりやすく教えていくことが何より必要だと分かっ
た」と述べ、今後は放射線教育に積極的に取り組むべきだとの認識を示した。
その上で、書店などで放射線に関する書籍が売れている現状に触れ、「放射線へ
の国民の関心は大変強い。(子供に)どのような内容をどう教えていくのか、専門
家の意見を聞いて早急に結論を出す」と述べ、学校向けの副読本の作成を急ぐ考え
を示した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110705-OYT1T00621.htm
守田です。(20110705 23:30)
次の日曜日、7月10日の企画のご案内です。
山水人たちの脱原発企画の5回目です。
《私達みんなが直面している危機だからこそ、真実が知りたい》
NO NUKES ~アジア・環太平洋 非核のために~
というタイトルです。
歌あり、踊りありの企画で、案内には書かれていませんが、京都の
脱原発ピースウォークのときに、凄い迫力で歌ってくれた「和製ビョーク」
のマーリーンさんも歌って下さると聞いています。
僕は今回は、「核兵器開発の副産物としての原発」というタイトルで、
核と原発のつながりをお話ししたいと思っています。
とくに今、研究中の、核開発の中で実はもの凄い量で起こってきた
アメリカの中での被曝についてもお話したいと思っています・・・。
なお同じタイトルの話をインターネットテレビに出演したときも話させて
いただきました。自分でもうまく話せたと思っているので、見ていただけると
ありがたいです。そのうち自分でテープ起こしします!
http://www.youtube.com/watch?v=GNEhFjWWOp8&feature=player_embedded
日曜日はこれに最新のアメリカや世界の被曝事情も付け加え、かなりバージョン
アップした内容を話ますのでぜひご参加ください。なおまだ当日スケジュールが
検討中だそうで、分かり次第、追加でお知らせします。
以下、案内を貼り付けます。
******************************
第5回《私達みんなが直面している危機だからこそ、真実が知りたい》
NO NUKES ~アジア・環太平洋 非核のために~
LIVE:
内田ボブ http://amanakuni.net/bob/top.html
THE FAMILY http://profile.ameba.jp/maizuru-peaceproject/
ヒデヨビッチ上杉 http://www.gernm.com/
TALK:
守田敏也 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/ http://abc.pwkyoto.com/
冨田貴史 http://radio-active.cocolog-nifty.com/
日時 7月10日(日) 午後3時~9時
場所 京都大学文学部新館2階 第4講義室
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/about/access/
参加費 カンパ制
(経費を除いた全額を、『山水人』の有志が行っている。義援金に使わせて
いただきたいと思います。)
http://yamauto.jp/index.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
福島原発がまだ危険な状態がつづいているにもかかわらず、日本政府は各地の
原発を再稼働しようとしています。
今に始まったことではなく以前から、原発の問題は国内だけの事ではなく世界中
に大きな影響を与えています。
原発で使われるウランの多くはオーストラリアの先住民・アボリジニの大地から
掘り出され、原発の燃料を作る時に生まれる劣化ウランは、兵器になってイラクや
アフガニスタンで放射能をまき散らし、日本製の原発はヴェトナムなどアジア諸国
に輸出されようとしています。
過去には太平洋上で大気圏核実験が繰り返されて、ポリネシア、ミクロネシアや
そして日本および全世界を汚染し、今もアジア、太平洋の各地に被ばくの脅威を
与えながら、多くの国は核の道を歩み続けでいます。
そのような中「日本人はまだ原発を作り続けるつもりなのか」と、世界中の非核を
願う人たちが日本列島に住む私たちの意志・選択に注目を寄せています。
第5回目の集まりも福島原発事故の現状を直視し、もう少し視野を広げ、福島から
広島・長崎・上関・沖縄・アジア・環太平洋、そして、原発から原爆、核兵器へとその
背景を考え、核のない未来の実現に向け、集まりを持ちたいと思います。
今回も各地で大活躍の守田敏也さんをはじめ、チェルノブイリ原発事故以前から
核に向き合いメッセージし続け、近年はパラオやオーストラリアを回る旅にも出て
いる内田ボブさん、上関原発を中心に講演を続ける冨田貴史さん、舞鶴で自給
自足の生活をめざし平和や反核のメッセ―ジ歌うTHE FAMILY、河原町で一週間
ぶっ通しデモも企画し、沖縄・高江から帰ったばかりのヒデヨビッチ上杉さんを
お招きします。
また、おにぎり&飲み物を京都に避難しているベジカフェダイニングTOSCOさんと
オーガニック&ベジタブルフード マチャプチャレさんhttp://yaokan1748.exblog.jp/に
ご協力いただくことになりました。
呼掛け人
福村祖牛(山水人)sogyu@nifty.com 090-1587-6185
次の日曜日、7月10日の企画のご案内です。
山水人たちの脱原発企画の5回目です。
《私達みんなが直面している危機だからこそ、真実が知りたい》
NO NUKES ~アジア・環太平洋 非核のために~
というタイトルです。
歌あり、踊りありの企画で、案内には書かれていませんが、京都の
脱原発ピースウォークのときに、凄い迫力で歌ってくれた「和製ビョーク」
のマーリーンさんも歌って下さると聞いています。
僕は今回は、「核兵器開発の副産物としての原発」というタイトルで、
核と原発のつながりをお話ししたいと思っています。
とくに今、研究中の、核開発の中で実はもの凄い量で起こってきた
アメリカの中での被曝についてもお話したいと思っています・・・。
なお同じタイトルの話をインターネットテレビに出演したときも話させて
いただきました。自分でもうまく話せたと思っているので、見ていただけると
ありがたいです。そのうち自分でテープ起こしします!
http://www.youtube.com/watch?v=GNEhFjWWOp8&feature=player_embedded
日曜日はこれに最新のアメリカや世界の被曝事情も付け加え、かなりバージョン
アップした内容を話ますのでぜひご参加ください。なおまだ当日スケジュールが
検討中だそうで、分かり次第、追加でお知らせします。
以下、案内を貼り付けます。
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第5回《私達みんなが直面している危機だからこそ、真実が知りたい》
NO NUKES ~アジア・環太平洋 非核のために~
LIVE:
内田ボブ http://amanakuni.net/bob/top.html
THE FAMILY http://profile.ameba.jp/maizuru-peaceproject/
ヒデヨビッチ上杉 http://www.gernm.com/
TALK:
守田敏也 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/ http://abc.pwkyoto.com/
冨田貴史 http://radio-active.cocolog-nifty.com/
日時 7月10日(日) 午後3時~9時
場所 京都大学文学部新館2階 第4講義室
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/about/access/
参加費 カンパ制
(経費を除いた全額を、『山水人』の有志が行っている。義援金に使わせて
いただきたいと思います。)
http://yamauto.jp/index.html
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福島原発がまだ危険な状態がつづいているにもかかわらず、日本政府は各地の
原発を再稼働しようとしています。
今に始まったことではなく以前から、原発の問題は国内だけの事ではなく世界中
に大きな影響を与えています。
原発で使われるウランの多くはオーストラリアの先住民・アボリジニの大地から
掘り出され、原発の燃料を作る時に生まれる劣化ウランは、兵器になってイラクや
アフガニスタンで放射能をまき散らし、日本製の原発はヴェトナムなどアジア諸国
に輸出されようとしています。
過去には太平洋上で大気圏核実験が繰り返されて、ポリネシア、ミクロネシアや
そして日本および全世界を汚染し、今もアジア、太平洋の各地に被ばくの脅威を
与えながら、多くの国は核の道を歩み続けでいます。
そのような中「日本人はまだ原発を作り続けるつもりなのか」と、世界中の非核を
願う人たちが日本列島に住む私たちの意志・選択に注目を寄せています。
第5回目の集まりも福島原発事故の現状を直視し、もう少し視野を広げ、福島から
広島・長崎・上関・沖縄・アジア・環太平洋、そして、原発から原爆、核兵器へとその
背景を考え、核のない未来の実現に向け、集まりを持ちたいと思います。
今回も各地で大活躍の守田敏也さんをはじめ、チェルノブイリ原発事故以前から
核に向き合いメッセージし続け、近年はパラオやオーストラリアを回る旅にも出て
いる内田ボブさん、上関原発を中心に講演を続ける冨田貴史さん、舞鶴で自給
自足の生活をめざし平和や反核のメッセ―ジ歌うTHE FAMILY、河原町で一週間
ぶっ通しデモも企画し、沖縄・高江から帰ったばかりのヒデヨビッチ上杉さんを
お招きします。
また、おにぎり&飲み物を京都に避難しているベジカフェダイニングTOSCOさんと
オーガニック&ベジタブルフード マチャプチャレさんhttp://yaokan1748.exblog.jp/に
ご協力いただくことになりました。
呼掛け人
福村祖牛(山水人)sogyu@nifty.com 090-1587-6185