月曜日に3回目のワクチン接種を受けまして、発熱は収まりましたが体のだるさが残っています。しかし、作業はしなくてはなりませんね。このPEN-W #10673Xは昭和39年10月の製造で、東京オリンピックの開催中の製造ですが、同じ製造月の個体が多く現存しています。たぶん、集中的に生産されたのでしょう。それほど昔ではない時期に修理を受けていまして、私の流儀ではないですけど、巻上げのロックが利かない以外は使えない状態ではありませんが、オーナーさんのご希望によりオーバーホールをします。観察するとヘリコイドネジの分離時に工具を滑らせています。と言うことは専用の工具を用意していない方の作業なのでしょう。
この頃はブライトフレームが蒸着ではなくシールの貼り付けになった頃ですが、端が剥離しています。画像では角の部分だけに見えますが横方向に剥離していて割れの部分から光線漏れが発生しています。シール式の場合は接着補修が可能ですが、光線漏れは救えませんので遮光マスクを貼っておきます。また、対物レンズの接着が強すぎて、分離時に端が欠けてしまいました。シボ革の接着でも感じることですが、自分がこのカメラの最終修理者ではなく、将来再び再剥離をする可能性があるわけですから、少しでもダメージを少なくするため接着は必要にして最弱で良いのです。その辺りのことが理解されていない修理者が多いように思います。
コパルではネジの緩み止めは白色のものが塗布されていますが、ネジを緩める前に緩み止めを溶かしているシャツターを見たことがありません。当然ネジのスリ割りは痛むわけです。
シャッターは特に問題なく作動していますが全て分解洗浄で再組立をして行きます。
この頃から塗装の下地のプライマーが灰色のものが使われ出しました。経験的にこのプライマーの個体はひどい塗膜の剥離は少ないように思います。まぁ、そんな気がする程度ですが・・
シャッターを搭載しました。体調が辛いので今日はここまでにします。
「続き希望」を押してくださる方が多いのですが、久しぶりに買い物に出ましたが体力が無く、帰宅後寝込んでしまい作業の画像を撮影していません。すみません。レンズですけどね、後玉の固定ナットのスリ割りが痛んでいますので分解清掃をされています。レンズを見るとたぶんコーティングは無くなっていると思います。しかし、バルサム黄変は感じませんね。前回の作業をされた方も出来るところまではされたようです。軽くクリーニングに留めておきます。
巻上げダイヤルカバーはEEのグレーのものが付いています。以前は複製を作っていましたが、現在は需要が少ないのでストックしていません。しかし、実用では問題は無く、グレー色でもそれほど違和感もないなぁと思いました。(取り付けたことが無かったので) 最近は3Dプリンターの活用も選択肢としてありますが、勉強しなければ・・
製造を昭和39年10月とお書きしましたが、正確にはコパルでのシャッターユニット製造が昭和39年10月で、製品完成は1964年11月でした。(コパルは元号、オリンパスは西暦表記)
因みにこの頃のデータを現用ノートから拾ってみますと・・
コパル完成 オリンパス完成
#10204X 昭和39.09 1964-09
#10205X 昭和39.10 1964-10
#10330X 昭和39.10 1964-10
#10498X 昭和39.10 1964-11
#10673X 昭和39.10 1964-11
#11656X 昭和40.02 1965-03
#11804X 昭和40.03 1965-03
すべてのノートを調べればもっと正確なデータを表記することは出来ますが、大よその傾向はお分かり頂けるかと思います。尚、シリアル№は必ず生産順とはなっていません。あるロットの範囲で前後します。例えばトップカバーの塗装に傷を付けた場合、不良廃棄ではなく、塗装工程に戻されて剥離、再塗装となって再びラインに戻されますので、時間的な差によりシリアル№が前後することはあるのです。
このデータからは1964年9.10.11月に生産があり、翌年1965年2月に生産が再開されたとも読めますが、正確には全てのデータを集計する必要があります。また、途中でシャッターユニットを交換されている個体もありますので、必ずしも整合性のあるデータにはなりません。