キヤノン・デミEE17かぁ、カラーデミなんかは好きなんですけどね。EE17は最上位機種で1966年の発売だそうです。(発売価格15.800円)しかし、質量は実測電池入りで446gと重く大型になって、これじゃハーフの意味ないじゃん。という気もしますが、当時は各社が高性能を競っていた時代で、気がつけば本来のコンセプトから外れてしまったということでしょうか? 日本のメーカーに良くあることです。で、この個体はキタムラのジャンクから救出してこられたとのこと。特徴的な最中カバーはアルミのパールアルマイト処理で、重くなったカメラでは、ちょっとぶつけただけでも凹みや傷が出来るのできれいな個体は少ないのですが、この個体は非常にきれいです。殆ど使われずにケースに入っていたものでしょう。しかし、デミはファインダーの清掃をするだけでもシボ革を剥離する必要があり、あまりやりたくない機種でもありますね。状態は、まずシャッターが羽根が猫目になって不動、ファインダーとレンズはカビだらけ。という正しくジャンクです。前玉のスリ割りを見ると傷がありますので分解を試みたのかも知れません。(固くて分解不能だったようです)
前玉も後玉も盛大にカビが発生していますね。
電池をセットすると露出メーターは生きていました。では頑張って直しますよ。まずファインダーを分離していきます。
次に露出計ユニットを分離します。
レンズボードを本体から分離。
後玉を分離してからシャッターユニットをボードから分離してメンテナンスをして行きます。
シャッターのメンテナンスをして本体に取り付けました。露出計ユニットを取り付けます。左の足は露出計のギロチンに繋がっていて、右の足はCds開度と連動します。
ファインダーはPENと同じブライトフレーム付逆ガリレオ式。キヤノンの作りはかっちりとしていますね。
接眼レンズに盛大なカビがあって、清掃をしましたが、周辺にどうしても取り切れないカビがあります。まぁ、裏蓋マスクで隠れる部分ですので、これで良しとします。
露出メーター針とゾーンフォーカス針が微妙な位置で動いているので、針が干渉しないように微調整をします。
最中ケースは上下分割式ですね。ファインダーガラスをきれいに清掃してから取り付けます。
前玉の周辺にカビがあります。殆ど清掃が出来ました。
やっと全景を表しました。メーカーの公式写真のようにきれいな個体です。シャッタースピード優先EE+マニュアルの高級機がジャンクになってしまうのはもったいないなぁと思いますが、直すのは面倒なカメラです。しかし、キヤノンの製品は、デザインコンセプトを具現化する商品開発力がすごいと感じます。デミは修学旅行で女子生徒が持っていて羨ましかったですね。後に私もキヤノンのカメラを製造するとは思いもしませんでしたが・・