昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(九十三) 帝王学を教えるさ

2014-07-19 11:21:09 | 小説
少しずつせり出すお腹をさすりながら、いら立つ気持ちが湧いてくるのを抑えることができない。 痩せ型だった小夜子が、みるみる太目の妊婦特有の体型に変わっていく。 「いいか、小夜子。退屈だろうけれども、家で大人しくしていてくれ。 大事な大事な跡取りなんだから。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(九十二) 香水の匂い

2014-07-17 09:06:24 | 小説
背広を脱がせた千勢すら気付かぬ匂いに、小夜子が噛み付いたのだ。 「小夜子、勘弁してくれ。キャバレーに行ったんだ。 香水の匂いも、少しは付くだろうさ。千勢、お前、気になるか?」 「いえ。奥様に言われて、ようやく気付きました」 「ほら見ろ。小夜子の気のせいだろうさ」 我が意を得たとばかりに、胸をそらせて大きな声で言う。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(九十二) 待ちわびる小夜子だが

2014-07-15 09:19:58 | 小説
(三) その夜、武蔵の帰りを待ちわびる小夜子だが、中々武蔵は帰って来ない。 「遅いわねえ、武蔵は。会社はもう出たのよね?  千勢、千勢。武蔵は確かに一時間も前に、会社を出たのよね?  朝、何か言ってた? 寄り道するとか、なんとか」 イライラする気持ちを抑えきれずに、千勢に当り散らしてしまう。 身を小さくしながら、千勢が答える。 「はい。会社に電話しましたら、六時過ぎに会社を出られたと聞きま . . . 本文を読む

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