昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (九) 今夜、井上のお供をする

2015-01-21 08:52:10 | 小説
彼の気持ちの中には、井上に対する申し訳なさが渦巻いていた。 収入のこともありはしたが、本音を言えば貴子のことだったのだ。 毎日顔を合わせるのが、辛くなってきていた。 どこかしらぎこちなさが漂い始めている二人だった。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (九)  デパートでのアルバイトを辞めて

2015-01-19 08:45:08 | 小説
近年にない猛暑に悩まされ続けた夏も終わり、デパートでのアルバイトを辞めてからほぼ一ヶ月が経った。すぐに見つかるだろうと思っていた家庭起教師のバイトも、条件が合わずに決まらずにいた。 “デパートのバイトを辞めたのは早計だったか…” 半ば後悔の気持ちが湧きはしたが、すぐに“いや、これで良かったんだ”と思い直した。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (八) 『ランバダ』だよ。

2015-01-18 11:56:00 | 小説
「今、起きます。起きますから、待っててください」 一時の酩酊状態からは抜け出したものの、体に力が入らない彼だった。 「情けないぞお! 妙齢の女二人が居るというのに」 耀子のそんな声に、のぶこが呼応した。 「そうだ、そうだあ! 男なら、襲ってみなさいよ」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (八) ダンスの練習だあ!

2015-01-17 09:21:52 | 小説
「おいっ、こらっ! ミタぁ、起きろ! 練習だぞ、ダンスの練習だあ!」 耀子が突然に、酔いつぶれてテーブルにうつ伏していた彼の、頬を抓ったり耳たぶに噛みついたりした。 「はいっ、わかりました」 応えはするものの、彼の体はピクリともしなかった。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (八) 人参よりキュウリがいいです

2015-01-16 08:53:05 | 小説
「すみません。ぼくは、人参よりキュウリがいいです」 「バカねえ、人参じゃなきゃダメなの」 「好きじゃないんですよ、人参は。どうしても、ダメですかあ?」 「もう、この子ったら。とぼけてるの? それともホントに分かんないの? のぶこ、何か言ってやんなさいよ」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (八) ねえ、飲もうかあ

2015-01-15 08:56:53 | 小説
「ねえ、飲もうかあ」 突然、耀子が立ち上がった。のぶこは、待ってましたとばかりに 「そのつもりで来たのよ、ホントは。ミタ君、いいでしょ?」と、またしても彼に抱きついてきた。アルコールが入っているのか、ほんのり桜色の顔色であることに、彼は気が付いた。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (八) ミタくうん、浮気しちゃおうかあ

2015-01-13 09:16:41 | 小説
「そう、そんなものかなあ。男性ってさ、ある時期を過ぎると急に威張り出すのよねえ。 のぶこの彼も、そのタイプかあ。 でも、のぶこも不思議。何もバツイチの男性を、好きにならなくても良いでしょうに。 ここに素敵な男性が居るじゃない、ねえ、ミタちゃん?」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (八) のぶこに話しかけた

2015-01-12 11:55:30 | 小説
「ところでさ、のぶこ。さっきの話だけど、どうするの? わたしは実家に戻るんだけど、就職するんでしょ?」 手作りらしき少しいびつな形のクッキーを乗せた皿を中央に置くと、。 のぶこはクッキーをほおばりながら、 「そうなのよねえ、来年も厳しいからさ。あたしも冬休みに少し回ってみたんだけど、今いちでさ。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (八) お帰りなさあい! お邪魔してるわよ

2015-01-10 11:06:26 | 小説
彼に、嫌も応もなかった。 やっと様になってきたところであり、面白さがわかりかけてきたところだ。 「良いですけど。何処で、ですか?」 「場所の心配はないの。私のマンション、フローリングなのよ。時々、サークル仲間と練習してるの。じゃ、善は急げね」 . . . 本文を読む

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