1日(土)その2.最近観た映画から.飯田橋ギンレイホールでチャールズ・チャップリン「街の灯」,周防正行監督「ダンシング・チャップリン」の2本立てを観ました.チャップリンの「街の灯」は1931年製作といいますから80年前の映画です.ビデオで何度か観たはずですが,あらためて映画で観て”ああ,こういうストーリーだったんだ”と少しずつ思い出しました
街の放浪者チャーリーは,偶然知り合った盲目の花売り娘のために,時には清掃の仕事を,時にはボクシングの賭け試合など,いろいろな仕事をして,彼女の目の手術代を作ろうとするのですが,思わぬことで投獄されてしまいます 出所して,目が見えるようになった娘に再会しますが,彼女にはチャーリーが恩人とはわかりません.でも花一輪をチャーリーに手渡したとき手の感触で自分の恩人と気が付きます.一切台詞のないモノクロ映画ですが,最後のシーンはジーンときます.腐朽の名作です
一方の「ダンシング・チャップリン」は周防正行監督夫人の草刈民代を主人公に,ローラン・プティ,ルイジ・ボニーノとともに,チャップリンの映画をテーマにして,バレエで表現しようとする2部構成のドキュメンタリー作品です.昨年公開されました.第1部では作品を作り上げるプロセスを映し出します.いわゆる”メーキング・オブ・ダンシング・チャップリン”です.その後,10分の休憩があります.画面には”休憩”の表示が10分間続きます 観る側の気持ちを切り替えさせるという監督の意図があるのでしょう.トイレに行く人もいました.第2部では「モダン・タイムズ」「街の灯」「キッド」などのテーマごとに草刈と,ボニーノなどパートナー・バレリーナが踊ります.60歳とは思えない柔軟な身体のボニーノのバレエに懸ける意気込みと,草刈民代の身体能力の高さ・芸術性をあらためて認識させられました
「モダン・タイムス」に,チャップリンがパンにフォークを刺して足に見立てて,音楽に合わせて躍らせる有名なシーンがあります.これをボニーノが手にバレエ・シューズを履かせて足に見立てて,音楽に合わせて踊らせます.おもしろい趣向ですが,やっぱりチャップリンのオリジナルにはかないません.本物は顔の表情づけから違います
第1部でチャップリンの子息がインタビューに応じています.「父は”新しもの好き”で,子供のころカラーテレビが出現するとすぐに購入して居間で観ていました.それまで観ていたモノクロテレビは子供部屋に移しました.しかし,数日すると,モノクロテレビを居間に戻して観ていましたよ」と語っていました.チャップリンらしい面白いエピソードだと思いました.あまりの心変わりの早さに子どもたちは目を白黒させたでしょうね.チャップリンにとってカラーテレビはカラーではなくカラだったのでしょうか・・・・・・座布団1枚取っちまえ
[写真は朝日ビデオ文庫・街の灯より]