人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ベルリンフィル・スペシャル・アンサンブルでベートーヴェン「七重奏曲」他を聴く~ヤマハホール

2016年05月18日 07時27分20秒 | 日記

18日(水)。わが家に来てから598日目を迎え、ゴジラと対戦しようとしているモコタロです

 

          

            ぼく対ゴジラだって? 紙には負けないよ! 神には負けるけど

 

  閑話休題  

 

昨夕、銀座のヤマハホールで「ベルリン・フィル  スペシャル・アンサンブル~ベルリン・フィルのトップ奏者たちが贈る至高の室内楽」公演を聴きました プログラムは①モーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番変ホ長調K。493」、②ブラームス「クラリネット三重奏曲イ短調」、③ベートーヴェン「七重奏曲変ホ長調」です 出演は、ヴァイオリン=ルイス・フィリペ・コエーリョ、ヴィオラ=清水直子、チェロ=ルートヴィヒ・クヴァント、コントラバス=マシュー・マクドナルド、クラリネット=ヴェンツェル・フックス、ファゴット=シュテファン・シュヴァイゲルト、ホルン=シュテファン・ドール、ピアノ=オズガ-・アイディンです

 

          

 

ヤマハホールは2月21日の三浦友理枝ピアノ・リサイタル以来です。自席は1階J列6番、センターブロック左通路側。333席の会場はほぼ満席です ステージ中央にはヤマハのグランドピアノがデンと構えています。ここはヤマハの本拠地。スタインウェイやベーゼンドルファーを置く訳にはいかないでしょう

ヴァイオリンのコエーリョ(ブラジル出身のイケメン)、ヴィオラの清水直子(首席。日本人形のような端正な顔立ち)、チェロのクヴァント(第1ソロ。ウルム生まれのナイス・ミドル)、ピアノのアイディン(アファナシエフに似た頭の持ち主)が登場し配置に着きます

さっそく1曲目のモーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番変ホ長調K.493」の演奏に入ります モーツアルトはそれまでのピアノ三重奏曲にヴィオラを追加してピアノ四重奏曲というジャンルを開拓しました ただし、2曲しか作曲していません。これは需要と供給の関係と、モーツアルトが時代を先取りし過ぎたせいかも知れません

第1楽章冒頭の音楽が奏でられた瞬間からモーツアルトの世界一色です 「これが天下のベルリン・フィルを支えている弦楽セクションの音か」と感動を覚えます。とくに第1ヴァイオリンのコエーリョの演奏が素晴らしい もちろん、ピアノを交えた4人のアンサンブルが完璧で、最高レベルの演奏でモーツアルトが聴ける幸せを感じます 

2曲目はブラームスの「クラリネット三重奏曲イ短調」です 晩年のブラームスは作曲意欲があまりなかったのですが、クラリネットの名手リヒャルト・ミュールフェルトと出逢い、彼の演奏能力に触発されて4つのクラリネットの曲を作曲しました。この三重奏曲と2つのクラリネット・ソナタとクラリネット五重奏曲です

クラリネットのフックス(首席)、チェロのクヴァント、ピアノのアイディンが登場します フックスは東京藝大のコンサートで何度か聴いたことがあります

第1楽章が始まります。冒頭からブラームスの”ほの暗い情熱”とでもいうべき曲想が展開します はっきり言って”渋い”です フックスのクラリネットが素晴らしいのはもちろんですが、この曲ではチェロのクヴァントの力演が光ります ピアノのアイディンを含めて、ブラームスの室内楽は ある程度年齢を重ねないと その真髄が表現できないのではないかということを教えてくれます

 

          

 

休憩後は、ベートーヴェンの「七重奏曲変ホ長調」です 7人の奏者が登場し 配置に着きます。向かって左からヴァイオリンのコエーリョ、ヴォラの清水直子、チェロのクヴァント、コントラバスのマクドナルド(首席)、ホルンのシュテファン・ドール(首席)、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルト(首席)、クラリネットのフックスという並びです

私はこの曲が大好きです 第1楽章では、アダージョからアレグロに急展開するところ。あれは快感です 第2楽章アダージョ・カンタービレでは弦楽器群と管楽器群との対話が素晴らしい 楽器配置からいうと、コントラバスが弦楽器3人と管楽器3人のちょうど中間にいて、まるで相撲の行司のようです コントラバスの形が大きな軍配に見え、弦楽器群と管楽器群のやり取りを行司しているように見えます

第3楽章のテンポ・デ・メヌエットは有名なメロディーですね 第4楽章は変奏曲です。清水直子さんの活躍が際立ちます 第5楽章のスケルツォではシュテファン・ドールのホルンが大活躍します 第6楽章はフィナーレです。第1楽章と同じように最初ゆったりした憂鬱そうな音楽が流れ、途中から楽しいプレストに急転換します。これもたまらないですね ベートーヴェンは、小学校の音楽教室に掲げられた肖像画に象徴されるように、かなり気難しい顔付きをしているので、小難しい曲ばかり作っていたように誤解されていますが、実はこの「七重奏曲」のような明るく楽しい曲も作っているのです。私はむしろ、こういう”軽い”曲の方が好きです

聴き終わって思うのは、「超一流の演奏というのはこういう演奏のことを言うんだろうな」ということ。個々人の演奏能力がハイレベルで アンサンブルにも長けている人たちの集まりによる演奏です

カーテンコールでは、ドールやフックスが清水直子に「ここは君のホームグラウンドなんだから、端っこにいないで真ん中に行きなさい」とばかりに彼女を舞台中央に押し出します 鳴りやまない拍手に7人は、「七重奏曲」の第5楽章「スケルツォ」を全部演奏するかと思いきや、冒頭の数小節だけ演奏して切り上げ、拍手と笑いを同時に受けていました 省エネも超一流です

モーツアルト、ブラームス、ベートーヴェンという大好きな作曲家の大好きな曲を聴けて最高に幸せな気分です 

気分を良くして家に帰ってきたら、ショルダーバッグのポケットに差し込んでおいた「コンサート・プログラム」が見当たりません どこかで落としてきたようです あのプログラムには沢山の書き込みがあり、それを基にこのブログを書くつもりでいたのです。したがって、記憶を頼りにブログを書かざるを得なくなりました。情報不足が否めません。お代官様、お許し下せえ

コメント
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