人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

国際映画祭で素人女優4人が最優秀女優賞 受賞の『ハッピーアワー』を観る~5時間17分の超長尺映画

2016年05月28日 07時53分07秒 | 日記

28日(土)。わが家に来てから608日目を迎え、伊勢志摩サミットが無事に終わり一安心してリラックスしているモコタロです

 

          

            これで駅のゴミ箱も使えるようになるって ご主人が喜んでいたよ 何捨てるんだ?

 

  閑話休題  

 

昨日、夕食にカレーライスと生野菜サラダを作りました サラダはフレームに収まりませんでした

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で「ハッピーアワー」を観ました 濱口竜介監督によるこの映画は、スイスで開かれた第68回ロカルノ国際映画祭で、出演した女優4人が国際コンペ部門の最優秀女優賞を受賞しましたが、この4人は映画やドラマの出演経験ゼロの素人だったことで大きな話題になりました

受賞したのは兵庫県の田中幸恵さん(あかり役)、菊池葉月さん(桜子)、三原麻衣子さん(芙美)、京都府の川村りらさん(純)の4人です この4人は濱口監督が2013年9月から5か月にわたって開催した「濱口竜介即興演技ワークショップ in  Kobe 」の受講生だったことがキッカケで、映画「ハッピーアワー」に出演することになったとのことです この映画はクラウドファンディング(インターネット上で作品の魅力を紹介し、その制作資金を募る方法)によって、2014年5月から12月までの約8か月にわたり 神戸市内を主なロケ地として撮影されたもので、5時間17分という超長尺映画となっています

 

          

 

ストーリーは次の通りです

「30代後半に入った、あかり、桜子、芙美、純。仲が良く どんなことでも屈託なく話し合えると考えていた彼女たちだが、純が1年にわたって離婚協議をしていたことを知る 離婚裁判に臨むものの、純は様々な理由から勝ち目がない それでも諦めようとしない彼女の姿を前にした3人は、自分たちの生き方を再考するようになる。そんな中、気晴らしになればと4人で有馬温泉に旅行する 楽しいひと時を過ごす一方、純はある決意を胸に秘めていく。一方、傍目には順調な夫婦生活を送っているようにみえた桜子や芙美にも実はジワジワと夫婦の危機が迫っていた 唯一のバツイチのあかりも いつしか疎外感に悩まされ 不安定な状況に置かれていった」

この映画は下の上映スケジュールのように3部構成になっています。第1部が1時間46分、第2部が1時間36分、第3部が1時間55分です

 

          

 

主役の4人の女優は実年齢が40歳前後で、それぞれ等身大の役柄をごく自然に演じています

4人の中で一番姉御肌で”強く”生きているのはバツイチの看護師あかりを演じた田中幸恵です よく小学校の額に入っている「明るく 正しく 強く」というメッセージが一番良く似合う女性です

姑と夫と高校生の息子がいる桜子を演じた菊池葉月は、平均的な日本の主婦というイメージなので、遂に一線を超える大胆な行動に走るのを見ると予想外に感じます

ダブルインカム・ノーキッズの芙美を演じた三原麻衣子は、いかにもキャリア・ウーマンのようなイメージで、仮面夫婦を演じています

何かを起こしそう、といった雰囲気をまとっているのが純を演じた川村りらです 実際、役柄の上では勝ち目のない裁判を起こし、子どもを身ごもったうえで失踪してしまうのです

この映画では、仲良し4人組だけれど、どこまでお互いの内面まで理解できていたのか、という問題提起をしているような気がします ”親友”と言葉では言うけれど、どこまで真剣な相談が出来る”親友”なのか、を問うているように思います 一方、コミュニケーションの大切さをさかんに説いていますが、すべてを言葉で伝えなければコミュニケーションが取れないのか、という疑問も提起されています

この映画は男性を悪者にし、女性を擁護しているようなところがあるので、女性が観たら頷くことの多い映画だと思います とくにアラフォーの女性は、彼女たち4人の誰かに等身大の自分を投影させるかも知れません

4人以外では、得体の知れない謎の人物・鵜飼を演じた柴田修平が個性的でいい味を出していました。ニヒルで、低音の魅力があります

映画を観終わって考え込んでしまったのは、この映画のタイトル「ハッピーアワー」の意味です  全3部作を観る限り、4人の主人公たちは決して”幸せな”人生を送らないまま映画が終わります すくなくとも4人とも宙ぶらりんのまま終了を迎えます。4人が仲良くやっていた頃の思い出が「ハッピーアワー」だったのか、あるいは、この映画には次の第4部、第5部があって そこに「ハッピーアワー」が待っているのか、と考えますが、どうも違うようです。辞書によると、英語圏で「レストランやバーでビールなどの酒類の割引を行う時間帯のこと」、あるいは「職場の同僚と仕事帰りにレストランやバーに集まること」を「ハッピーアワー」と言うそうです。これですね

話は変わりますが、この映画ではクラシック音楽が使われていました バッハの「無伴奏チェロ組曲」です。残念ながら何番かまでは分かりませんでした この曲が流れていたのは、天上の高いコーヒーショップのようなところで純を除く3人と 純の夫とが話をしているシーンです 同じ曲が別のシーンでもう一度流れました 

私はここで「無伴奏」の曲が流れた意味を考えていました 「仲の良い友人同士が集まっていても、それぞれが親友にも言えない悩みを抱えて生きている。その意味では、人はみな伴奏者のいない無伴奏の状態で生きている そのことをバッハの『無伴奏チェロ・ソナタ』に込めたのではないか」と 

監督はそこまでは考えなかったかも知れません。多分考えすぎなのでしょう

この映画は、池袋の新文芸坐で28日(土)は9:35~、15:50~の2回、29日(日)は10:00~、16:20~の2回上映されます 全席指定で一般3,400円、シニア3,200円、前売り・友の会3,000円です。私は とても良い映画だと思いました 今年観た映画の中では出色の作品でした。お薦めします

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