人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」始まる~第1日目公演リポート:東京国際フォーラム

2016年05月04日 08時28分58秒 | 日記

4日(水・祝)。わが家に来てから584日目を迎え、すっかり体調が回復してオヤツをむさぼるモコタロです

 

          

               もう絶好調だもんね 矢でも酒でも持ってこい!

 

  閑話休題  

 

いよいよ今年も「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が始まりました 今年のテーマは「la nature  自然と音楽」です。私は3日から5日までの3日間、東京国際フォーラムに通い14公演聴きますが、昨日はその第1日目でした

 

          

 

最初に聴いた公演は10時から東京国際フォーラム「ホールB7」で開かれた「ハイドンと自然~動物たちの愉快な四重奏」(公演番号121)です プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第49番ニ長調”蛙”」、②同「弦楽四重奏曲第39番ハ長調”鳥”」 演奏はアルデオ弦楽四重奏団です

 

          

 

アルデオ弦楽四重奏団は女性だけの4人グループですが、第2ヴァイオリン奏者が出産のため男性奏者が代演します 自席は15列23番、センター右ブロック左通路側席です。会場の後方は空席が目立ちます

 

          

 

ハイドンの弦楽四重奏曲を2曲演奏しますが、このクァルテットの特徴は第1ヴァイオリンのヤン・ミサ(上の写真の右から2人目)の身体全体を使ったリードにあります 時に 腰を浮かせて、時に 右足を浮かせて、情熱的にメイン・メロディーを弾きます 若いクァルテットですが、安心して聴いていられる落ち着きがあります。とくに緩徐楽章が素晴らしいと思いました

最初に演奏したのが第49番「蛙」で、2番目が第39番「鳥」です これはあくまで後世の人が それぞれの曲想から名付けたニックネームです。これにつられて聴きに来たのでしょうか。すぐ前の席は幼い子供2人を連れた4人家族でした。このうち男の子が終始落ち着かない様子で、それが目に入るこちらは落ち着いて聴いていられません プログラムには「3歳以上」の表示があるので、良心的に考えて2人とも3歳以上なのでしょう。しかし、はっきり言って、2人とも音楽をまったく聴いていません お金を払って音楽を聴きに来ているのに、こういう迷惑はたまりません とんだ災難だったといって諦めるしかないのでしょうか? 主催者側に「席を取り換えてほしい」と要求しても、演奏曲目が「鳥」と「蛙」だけに「トリカエルことは出来ませせん」と言われそうです 鳥あえず、個人の良心に頼るのではなくシステムとして安心して聴ける態勢を整えてほしいと思います

 

          

 

2番目の公演は同じ「ホールB7」で11時45分から開かれた「『田園』の系譜~クラシックファン、必聴!隠れた名曲」(公演番号122)です プログラムは①シュターミッツ「交響曲ニ長調”狩り”」、②クネヒト「自然の音楽的描写」です 演奏はリオ・クォクマン指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

自席は8列13番、左ブロック右から2つ目です。シンフォニア・ヴァルソヴィアは1年ぶりですが、毎年聴いているので、お馴染みの顔が何人か見られます 登場した指揮者のリオ・クォクマンはマカオ出身で、ジュリアード音楽院などで学んでいます

最初のクネヒト(1752-1817)の「自然の音楽的描写」(1784-85年頃作曲)は、ベートーヴェンがこの曲を手本にして「交響曲第6番”田園”」(1808年)を作曲したのではないかという有力な説があるとのことです 5楽章構成で、各楽章に付された標題(下記)が似ていることなどを考えると、音楽を聴く限り、ほぼ間違いないのではないかと思います 私にとってはトリビアでした

 

          

 

さっそく演奏後、地上広場のマルシェ(市場)でCDを買い求めました

 

          

 

話は戻って、2曲目のシュターミッツ(1745-1801)の「交響曲ニ長調”狩り”」は、第1楽章を中心に曲想がまさに”狩り”の音楽です ホルンが大活躍しますが、ホルンは狩りの時に自分の後ろにいる人に合図を送るための道具だったということを考えれば当然です

クォクマン+シンフォニア・ヴァルソヴィアはメリハリの効いた素晴らしい演奏で、モーツアルトとほぼ同じ時代に活躍していた隠れた作曲家たちの作品の魅力を十分に引き出していました

 

          

 

12時半を過ぎたので、新東京ビル地下の和食Oで昼食を取って午後の公演に備えました

3番目の公演は「ホールC」で13時45分から開かれた「夜の神秘~夏の夜のロマンス」(公演番号143)です プログラムは①メンデルスゾーン「夏の夜の夢」~序曲、②ベルリオーズ「夏の夜」です 出演は、ソプラノ=浜田理恵、リュー・ジア指揮マカオ管弦楽団です

 

          

 

自席は1階16列31番、右ブロック左から3つ入った席です。初めて聴くマカオ管弦楽団のメンバーが入場し、配置に着きます 次いで指揮者リュー・ジアが登場します。顔を見て思わず「あっ、キム・ジョンウン」と心の中で叫んでしまいました。顔付きも髪の毛の刈り具合もそっくりなのです これは国際問題に発展しかねないので内緒にしておくことにします

1曲目のメンデルスゾーン「夏の夜の夢」序曲は軽快な演奏でした 2曲目はベルリオーズ「夏の夜」は、第1曲「ヴィラネル」、第2曲「ばらの精」、第3曲「入り江のほとり」、第4曲「君なくて」、第5曲「墓地にて(月の光)」、第6曲「未知の島」の6曲から成ります。ソプラノ独唱の浜田理恵が上が黒、下が黒を基調とする緑の衣装で登場します 彼女は新国立劇場のオペラに頻繁に登場しているのでお馴染みの歌手ですが、こうして歌曲を聴くのは初めてです。会場の隅々まだ行き渡る素晴らしいソプラノでした

 

          

 

4番目の公演は同じ「ホールC」で15時30分から開かれた「大自然のパノラマ~アメリカ・大峡谷へ」(公演番号144)です プログラムは①武満徹「グリーン」、②グローフェ「組曲”グランド・キャニオン”」です 演奏は井上道義指揮新日本フィル

自席は3階2列43番、右ブロック右から2つ入った席です。開演前からステージに乗って 本番に備えて練習している楽員を見て、やっと普段から聴き馴染んだオーケストラを聴くのだと安心感を覚えました さらにコンマスが豊嶋泰嗣でなおさら安心です

井上道義が登場し、1曲目の武満徹の「グリーン」の演奏に入ります。彼はなぜか指揮台を使用しません。今年は武満没後20年とのことで、全国的に彼の作品が上演されています。まさに”現代音楽”ですが、和洋折衷のような不思議な曲想です

2曲目はアメリカの作曲家グローフェの「グランド・キャニオン」です。意外にもこの曲を最初から最後まで通して聴くのはこれが初めてです 前半は井上はタクトを持たずに指揮をします。第3曲「山路を行く」ではのどかな歩みが刻まれますが、その直前に演奏される豊嶋のヴァイオリン独奏は見事でした また、コーラングレの森明子の抒情的な演奏、バス・クラリネットのマルコス・レス・ミランダの狂気に迫る演奏も素晴らしいものがありました

終演後、チケットの半券があれば入場できる地下のホールE(旧・展示場)に行ってみました。巨大な生け花のお出迎えです

 

          

 

ホール内では岸本祐有乃指揮丸の内管弦楽団によるウェーバー「魔弾の射手」ハイライトを演奏していました

 

          

 

クラシック専門インターネッラジオ「OTTAVA」のオープンスタジオではL.F.Jアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏がこの音楽祭のPRに務めていました 

 

          

 

5番目の公演は同じ「ホールC」で17時15分から開かれた「『田園』の系譜~隠れた名曲を極めつけの演奏で」(公演番号145)です プログラムは①ノスコフスキ「交響詩”大平原”」、②フィールド「ピアノ協奏曲第5番ハ長調”嵐の中の火事”」です 演奏はピアノ=アブデル・ラーマン・エル=バシャ、リオ・クォクマン指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

自席は1階22列14番、左ブロック右から3つ入った席です。オケのメンバーが配置に着くと、ラ・フォル・ジュルネのアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏が通訳と共に登場し、次のようなアナウンスをしました

「皆さんにサプライズがあります。実はこれから演奏するシンフォニア・ヴァルソヴィアはこの公演が第100回目となります(会場)。そこで、オーケストラにケーキをプレゼントしたいと思います

すると、舞台袖から係員が小さなホールケーキ を持って登場、オケのマネジャー的な人に手渡しました。マルタン氏は、

「ここで火を使うわけにはいきませんね。でも私にいい考えがあります

と言って、ポケットからロウソクの形をしたペン・ライトを取り出し スイッチを入れて点灯しました マネジャーが息を吹きかけると、マルタン氏がスイッチを切って、これでセレモニーは終わりました。なかなか粋な計らいをします

さて、最初に演奏するポーランドの作曲家ノスコフスキの交響詩「大草原」は、曲を聴く限り「草原」とは言え山あり谷ありの草原で、ダイナミックな曲想でした

2曲目のジョン・フィールド(1782-1837)の「ピアノ協奏曲第5番ハ長調」は、第1楽章に「嵐の中の火事」というトンデモナイ名前が付けられています 抒情的な音楽が突然騒然とします。半鐘も鳴らされます なぜ、ピアノの夜想曲(ノクターン)というジャンルの創始者として有名なフィールドが、このようなド派手な名前の曲を作ったのか不思議です ショパンに大きな影響を与えたフィールドとは思えない作風です。しかし、技巧的には相当演奏が難しいのではないかと想像されます エル=バシャはそれをものともせず美しい音で最後まで弾き切りました 

この曲も面白いと思ったのでCDを買い求めました

 

          

 

この日の大きな収穫は2つの「田園の系譜」公演でした 共に初めて聴いたクネヒトの「自然の音楽的描写」とフィールドの「ピアノ協奏曲第5番”嵐の中の火事”」です。この音楽祭が終わってからCDを聴いてゆっくりと復習しようと思います

 

          

 

コメント
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