人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ゴジラ VS モスラ」を観る~神保町シアター/近藤憲一著「指揮者の世界」を読む

2016年05月17日 07時27分49秒 | 日記

17日(火)。昨夜9時半過ぎに茨城県を震源とする地震(最大震度5)が起きたとき、ソファーの上でオヤツを食べていたモコタロが慌ててソファーから飛び降りてどこかに隠れてしまいました 逃げること脱兎の如し ということで、わが家に来てから597日目を迎え、2匹の閣僚を控えて来週の伊勢志摩サミットにどう挑むか決意を表明するモコタロです

 

          

            世界を取り巻く諸問題を 伊勢ーよく 志摩つするぜ!

 

  閑話休題  

 

昨日の夕食は「豚しゃぶ」と「生野菜サラダ」です 超簡単手抜き料理です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、神保町シアターで「ゴジラ VS モスラ」を観ました 神保町シアターでは5月7日から6月17日までゴジラの映画29作品を一挙上映中です 1日4本の上映で各回完全入替制です。シアターの壁一面には全上映作品のポスター縮刷版が掲示されています。これだけまとまっていると壮観です

 

          

 

昨日観たのは1992年制作、大河原孝夫監督による102分カラー「ゴジラ vs モスラ」です 出演者は、別所哲也、小林聡美、村田雄浩、田中好子、宝田明ほかです。怪獣の出演はゴジラ、モスラのほかにバトラがいます

 

          

 

何故私がこの映画を観ようと思ったかというと、モスラとバトラが協力してゴジラをやっつけるというストーリーはどうでも良く、音楽を聴きたかったからです 「ゴジラ」と言えば伊福部昭です。伊福部昭といえば、日本作曲界の大御所で、芥川也寸志らを育てたことでも知られています 第1作目のゴジラから音楽監督を担っていますが、初めて映画館で観たゴジラの音楽は幼少だった私にはとても怖かったのを覚えています 一番印象に残っているのは中学生の時に観た1964年制作の「モスラ対ゴジラ」です ザ・ピーナッツが「モスラ~や、モスラ~」の歌を歌っていました。学校でこの歌が流行りました ばかな悪ガキは「漏らす~や、漏らす~」と替え歌を歌って顰蹙をかっていました この映画は今回6月4日から1週間上映されます。是非観たいと思います

 

          

 

入場料は1,200円で、整理番号制です。当日早めに行ってチケットを買っておくことをお薦めします

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

近藤憲一著「指揮者の世界」(ヤマハミュージックメディア)を読み終わりました 著者の近藤憲一氏は1946年東京生まれ。中央大学法学部中退。1971年から84年まで音楽之友社で「レコード芸術」と「音楽の友」の編集記者を務めた後、フリーの編集者・執筆者になったとのことです

この本は まさに指揮者についての入門書です。第1章では「指揮って何?」「指揮者って何者?」という基礎知識を解説しています 付録として名指揮者20のエピソードが付いています。第2章では指揮者の井上道義氏が「僕が指揮者になって、今も続けている理由」を述べ、第3章では若手指揮者の下野竜也氏が「大指揮者になるまでの長い道のり」を語っています 第4章では東京都交響楽団のコンマス矢部達哉氏が「指揮者は、オーケストラを超えていたら勝ち」という結論の理由を述べています 第5章ではオーケストラ・マネジャーという舞台裏の仕事人について紹介し、ある音楽記者から見た小澤征爾のサクセスストーリーを紹介しています 最後に「世界の名指揮者50」として著者が独断と偏見で勝手に選んだ指揮者50人について、お薦めCD付きで解説しています

 

          

 

この本で面白いと思ったのは、やはり現役の演奏家の生の声です 例えば、下野竜也氏は指揮に関するインタビューで次のように語っています

「音楽雑誌の評に『自分はそういう風に思ってないけどな』みたいなことを書かれるわけです 『いいかな』と思った演奏がボロクソに書かれて、『ウーン、ちょっとね』と思うのが良く書かれたりもするんです 音を出している人たち、演奏家が『ウォーッ!』ってなるのはいいと思うんですが、リヒャルト・シュトラウスが言ったように、指揮者は『お前が汗かくな』って感じですね」

これは分かるような気がします。指揮者が指揮台で踊っていてもオケが乗らない、「笛吹けども踊らず」っていうヤツです でもオケはプロですから給料分の音は出ている訳です

都響の矢部達哉氏は指揮者とオケの関係について、

「指揮者とオーケストラが仲良しな友だちみたいだと、やはり奇跡的な名演は生まれにくい?」

と訊かれ、

「生まれにくいと思います。結果的には、練習の時に僕が指揮者に怒鳴られて、嫌な気持ちはしたけど、その演奏会を思い出すと幸せなんです その指揮者をものすごく尊敬するし、尊敬の気持ちって一生消えない。仲良く和気あいあいとやった場合に、芸術的な深みのある演奏をした記憶がないんです。残念ながら

と答えています。また、「理想的な指揮者とはどのようなタイプの人ですか?」という質問に対し、

「優秀なオーケストラになればなるほど、どのパートも表現したいことがあって、こういう風に弾きたい、吹きたい、叩きたいという人の集まりです それをオーケストラとしての規律の中で、我々はこういう風にやるよねっていう暗黙の了解があって、それを踏まえて新しい指揮者に臨むわけです なのに、そういうこととまったく関係なく、自分で全部決めて、あなたたちはこうだ、ここを見てやってくれとか言って、自分のエゴだけを通す人がいます。そういう人は絶対に嫌です エゴが強いというのは悪いことじゃないんだけど、それでもオーケストラから触発されるものがないと絶対だめだと思うし、そのオーケストラの潜在能力を引き出すということをするためには、指揮者はまずどういうオーケストラなのかを、見抜かなければいけない。それもすごく短い時間で それを全然見抜かないで、自分はこういうふうに勉強してきた、いつもこういうふうにやっているってことだけを押し付けるんだったら、『さよなら、我々にはもう用はありませんから』って感じ。理想的なのは、みんなが自分のやりたいことを思う存分できる、でも終わってみたら、完全にこの人の音楽になっていたなっていう懐の深さ、あるいは指揮者としての包容力 オーケストラ全員のやりたいことを受け止めた上でひとつにまとめて、最終的には、あの指揮者のいつもの音楽になっていたよねって・・・。何人かの指揮者で経験したことがあります

と答えています 私はオケで演奏したことがないので、よくは分かりませんが、多分そういうことなんでしょうね

矢部達哉氏の話でもう一つ印象に残っているエピソードがあります。それはオペラの演奏に不慣れな矢部氏がコンマスとしてブリテンの歌劇「ピーターグライムス」を演奏した時に、途中でスコアを見ても分からなくなってしまった。その時、後ろ姿の小澤征爾氏に、口には出さずに「助けてください」って神頼みをやったら、「ピッと手が来た」そうです。矢部氏は書きます

「小澤さんは、楽員が助けてっていうのに全部気づく指揮者。そういう能力があったからあそこまで行ったんだって思っています

今でこそ、全盛期は過ぎたとはいえ、世界のトップ、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の音楽監督にまで上り詰めたのですから、並みの能力ではないでしょう

この本は、「音楽監督」「常任指揮者」「名誉指揮者」「客員指揮者」「正指揮者」など、指揮者の称号の違いについて解説するなど、分かっているつもりで実は分かっていない事柄についても分かり易く解説しています。クラシック音楽”指揮者”入門書としてお薦めします

 

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コメント (4)
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