27日(金)。昨日午前10時から築地にある健康保険組合で歯科検診を受けるため、地下鉄三田線に乗りました 電車が春日駅に着いた9時20分頃 車内アナウンスがあり「ただ今、三田線は白金高輪駅で信号機故障が発生したため全線運転を見合わせ、各駅に止まっております。この電車も時間調整のためしばらく停車いたします。なお、現在 運転再開のめどは立っておりません」と言っています 朝の混雑した時間帯にこういう事故があると本当に腹が立ちます しかし、こういう時にこそ危機管理能力が試されます。さっそくヤフーの乗換案内で「春日⇒築地」を検索したところ、近くの後楽園駅まで歩き、地下鉄丸の内線で銀座まで出て、日比谷線に乗り換えて築地に行くのが最短ルートであることが分かりました その結果、健保組合に着いたのは10時5分、受付時間の10時から10時15分の間に滑り込みました スマホで何が便利かと言って、乗換案内ほど便利なものはありません
検診の順番を待っている間、待合室にBGMが流れていましたが、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第2楽章、「ピアノ・ソナタK.331」の第3楽章など、すべてがモーツアルトの曲で、オルゴールによる演奏でした これで少しは電車遅延に対する怒りも収まりました 検診の結果は「虫歯なし。磨き残しがあるので歯磨きの仕方に気を付けて」ということでした
突然ですが、せっかく歯科検診に行ってきたので、ここで掛詞(かけことば)遊びを
「急に虫歯が痛くなって病院に駆け込んできた患者」とかけて何と解く?
「お金のないカップルの結婚式」と解く。
「そのココロは?」
「どちらも シカイシャ だけが頼りです」
座布団1枚 桂歌丸さん、長い間「笑点」の司会お疲れ様でした
ということで、わが家に来てから607日目を迎え、下界を見下ろし 平和な世の中を確認しているモコタロです
皆のもの 平和に暮らすのが何よりじゃぞ!
閑話休題
築地から新宿に出て、久しぶりに新宿タワーレコードに行きました 先日 読響で聴いたプロコフィエフの「交響曲第5番」がまだ印象に残っており、さらに一昨日の夜 偶然にFM放送でネーメ・ヤルヴィ指揮N響によるプロコフィエフ「交響曲第6番」の生中継を途中まで聴いて「面白い曲だな」と思って、彼の交響曲を全曲聴いてみたいと思い立ったのです 現在私が所有しているのは第1番、第3番、第5番、第7番のみで偶数番号のCDを持っていません ネットで検索したらゲルギエフが全曲録音していることが分かったので、それを買うことにしました。それが4枚組のこれです このアルバムには交響曲第4番が、1930年のオリジナル版と、1947年の改訂版の両方の演奏が収録されています
ついでに棚の近くにあった「ピアノ協奏曲全集」(2枚組)も買うことにしました 演奏はピアノ=ウラディミール・アシュケナージ、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団です
これで6枚買ったから帰ろう、と思ったら、下のCDが目に入りました 若き日のマルタ・アルゲリッチによる未発表録音CD(2枚組)です 収録曲は、①モーツアルト「ピアノ・ソナタK.576」、②ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第7番」、③プロコフィエフ「トッカータ」、④ラヴェル「夜のガスパール」、⑤プロコフィエフ「ピアノ・ソナタ第3番」、⑥ラヴェル「ソナチネ」、⑦プロコフィエフ「ピアノ・ソナタ第7番」で、①から⑥までが1960年(アルゲリッチ18歳)の録音、⑦が1967年の録音です 天才アルゲリッチは1965年にショパン国際コンクールで優勝しているので、このCDはまさに上り坂にある若き日のアルゲリッチの記念碑的な演奏であると言えるでしょう
CDについては経験から「衝動買いは良くない」と自覚しているので、視聴することにしました 2枚目の第1曲目、プロコフィエフ「トッカータ」が聴けるようになっていました これを聴いて「これぞ、若き日の躍動するアルゲリッチだ」と、即 購入の決断をしました ということで、昨日はプロコフィエフがらみのCDを8枚買いました
CDを家に持ち帰って、ハタと考えました。いったいどこに置けばよいのか???
最後の、閑話休題
昨夕、上野の東京藝大奏楽堂で「第54回東京藝大シンフォニーオーケストラ定期演奏会」を聴きました プログラムは①矢代秋雄「交響曲」、②カミーユ・サン=サーンス「交響曲第3番”オルガン付き”」です ②のオルガン独奏は藝大音楽学部准教授・廣江理枝、指揮は東京藝大演奏藝術センター教授・湯浅卓雄です
全席自由です。1階13列25番、右ブロック左通路側を押さえました 東京藝大シンフォニーオーケストラは、音楽学部の2~4年の弦・管、打楽器専攻生を中心に編成されているオケです。会場は6~7割くらい入っているでしょうか。学生オケなので、聴衆も若い人が多いようです
今年は、東京藝大作曲科教授だった矢代秋雄が46歳の若さで他界してからちょうど40年目に当たるということで、藝大シンフォニーオーケストラは彼の「交響曲」を取り上げることになったとのことです 矢代は1929年に生まれ、10歳で作曲を諸井三郎に師事、その後1951年に東京音楽学校研究科を修了していますが、この時に伊福部昭らに師事しています その年に渡仏、パリ音楽院でブーランジェやメシアンら錚々たる音楽家に師事しています
この「交響曲」は1958年、日本フィル・シリーズ第一作として作曲され、同年6月9日に日比谷公会堂で行われた第9回定期演奏会で渡邉暁雄の指揮で初演されました 4つの楽章からなる30分程度の曲です
最初から100人規模のフル・オーケストラです。全体を見渡すと、やはり弦楽器を中心に女子学生が多いのですが、男子も結構いるな、と思いました
湯浅卓雄がタクトを持たずに登場、さっそく第1楽章に入ります。管弦楽の響きが、やはり日本人の作曲家が作った曲だな、と思わせる曲想です プログラムに載っている 矢代秋雄氏に師事した藝大の西岡教授のエッセイによると、矢代氏は「僕のオーケストラの基本はチャイコフスキーなんだよ」と話していたといいますが、この交響曲を聴く限り、まったくその影響を感じません 面白いと思ったのは第2楽章「スケルツォ」です。テンポが「ヴィヴァーチェ」とあります。指示の通りかなりテンポの速い演奏で、独特のリズムを刻みます。この楽章については、作曲者本人が初演の時の「日本フィル」(プログラム)に次のように書いています
「第2楽章の特色のあるリズムは、10年ほど前、獅子文六の小説『自由学校』の中の、お神楽のタイコの音を模写した文章を読んだ時 思い付き、ずっと暖めていたものである 即ち、テンヤ・テンヤ・テンテンヤ・テンヤ」
この楽章など、伊福部昭の影響を受けているのではないか、と思いました 第4楽章「アダージョーアレグロ エネルジーコ」の最後の畳みかけも伊福部昭を感じました 100人規模のフル・オーケストラの演奏は流石に迫力があります
休憩後はサン=サーンスの「交響曲第3番」です 舞台後方2階のパイプオルガン席に廣江理枝がスタンバイします。藝大奏楽堂にはかなり頻繁に通っていますが、パイプオルガンを聴くのは今回が初めてです
この曲は2楽章形式ですが、実質的にはそれぞれ第1部と第2部とに分かれており、4楽章形式のようになっています 第1楽章冒頭の弦楽器によるテーマは印象的です。このテーマが曲の随所に出てくる「循環形式」を取っています パイプオルガンは、弦楽器の伴奏者となったり、共に音楽に深みを与えたりしますが、第2楽章第2部冒頭の強奏ほど感動的な使い方はありません 廣江理枝の演奏は迫力がありました
この曲は何回聴いても感動します まさに生演奏で聴いてこそその良さが分かる曲だと思います。藝大の学生の皆さん、素晴らしい演奏をありがとうございました