人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ヘンシェル弦楽四重奏団でモーツアルト「弦楽五重奏曲第3番K.515」他を聴く~東京藝大奏楽堂

2016年05月09日 07時08分38秒 | 日記

9日(月)。わが家に来てから589日目を迎え、オヤツが欲しくてウィンクしているモコタロです

 

          

              ウィンクじゃなくて 目にゴミが入ったんだよォ~

 

  閑話休題  

 

昨日、上野の東京藝大奏楽堂で「~ドイツ正統派クァルテット~ヘンシェル弦楽四重奏団を迎えて」を聴きました プログラムは①モーツアルト「弦楽五重奏曲第3番ハ長調K515」、②ヒナステラ「弦楽四重奏曲第1番」、③シューマン「ピアノ五重奏曲 変ホ長調」です 演奏はヘンシェル弦楽四重奏団、ヴィオラ=渡部咲耶、ピアノ=矢野雄太です

 

          

 

午後2時開場、3時開演で全席自由ですが、開演に先立って2時25分から藝大大学院生による「プレトーク」があるので、1時50分には会場に着きました 幸い1階12列13番、センターブロック左通路側が取れました プレトークでは、2曲目に演奏されるヒナステラの弦楽四重奏曲を中心に解説がありました 「アルゼンチン生まれのヒナステラは、8分の6拍子の「マランボ」のリズムを取り入れて作曲したが、作曲者が若い時代にストラヴィンスキーとバルトークを聴き、結果的に作曲活動に影響を受けた」という内容でした

ロンドンの王立音楽カレッジに学んだ双子のヴァイオリン奏者、クリストフとマルクス、ヴィオラのモニカのヘンシェル姉弟が、1994年にデンマーク王立音楽院アカデミー出身のチェリスト、マティアス・バイヤー=カルツホイとともに弦楽四重奏団を結成したのが、現在のヘンシェル弦楽四重奏団の出発点となりました  2011年から、病気で海外遠征が困難になったマルクスに代わってベルリン・フィルのヴァイオリン奏者だったダニエル・ベルが加わり現在に至っています

東京藝大の澤和樹学長がプログラムの巻頭言に「サラブレッドからの転身」というタイトルでヘンシェル弦楽四重奏団について書いています。超訳すると

「ヘンシェル弦楽四重奏団に初めて出会ったのは1991年の夏、ロンドンで行われたアマデウス・クァルテットによるセミナーだった 双子の兄弟が揃って1720年製のストラディヴァリウスのヴァイオリンを弾き、ヴィオラのモニカもグァルネリの名器を操っていた 彼らの父親はシュトゥットガルト放送交響楽団の首席ヴィオラ奏者、母親はピアノやチェンバロ奏者として名を馳せた女性で、彼らは子供の頃から、アマデウス・クァルテットのメンバーや、指揮者のチェリビダッケが自宅に寝泊まりするという環境で育った

ということです。これを見る限り、クラシックの演奏家としては理想的な家庭環境の中で育ったと言えるでしょう。こういう人たちに勝てますか

1曲目のモーツアルト「弦楽五重奏曲第3番K.515」は、弦楽四重奏にヴィオラを加えるというザルツブルクの先輩作曲家ミヒャエル・ハイドン(有名なフランツ・ヨセフ・ハイドンの5つ下の弟)に倣って、1787年春(31歳の時)に作曲したものです 4つの楽章から成りますが、第2楽章と第3楽章のメヌエットとアンダンテの順序は初版と自筆稿(新全集)との2通りあり、この公演では初版のメヌエット、アンダンテの順番で演奏されます

ヘンシェル弦楽四重奏団とヴィオラの渡部咲耶が登場し、配置に着きます。向かって左からダニエル・ベル、クリストフ・ヘンシェル、渡部咲耶、モニカ・ヘンシェル、マティアス・バイアー=カルツホイの態勢を取ります 女性陣はブルー系の衣装です。このクァルテットは曲に応じて第1ヴァイオリンが変わるとのことですが、この曲ではダニエル・ベルがファーストを担当します

全体を通して演奏を聴いた感じでは、第1ヴァイオリンのダニエル・ベルが強い個性で他の3人をリードするというよりは、4人がバランスの取れた演奏に終始していたように思います ただ、1つだけ強く印象に残ったのは、第3楽章「アンダンテ」におけるヴィオラのモニカ・ヘンシェルの何気ないけれど凄い演奏です。ほとんど力を入れず軽く演奏してのに、美しく良く響く音で、4人の中で際立っていました 別の言葉で言えば「最小限の力で最大限の音楽を表現」していました

2曲目のヒナステラ「弦楽四重奏曲第1番」は、1948年に作曲された彼の中期(主観的国民主義期)の作品で、アルゼンチンの草原パンパに暮らしたガウチョ(プレトークの解説によると”アルゼンチンのカウボーイ”)の踊りである”マランボ”を象徴する音楽を中心に展開します 基本的には「テーマの反復からくる旋律の構成」によって熱狂的に演奏されます

この曲ではクリストフ・ヘンシェルが第1ヴァイオリンを務めますが、曲を聴く限り「プレトーク」の解説にあった通り、バルトークとストラヴィンスキーの音楽を彷彿とさせる作品です バルトークがハンガリー民謡を素材に使った代わりに、ヒナステラはマランボを使ったということです。刺激に満ちた演奏でしたが、第1楽章ではモニカ・ヘンシェルのクールな演奏が、第3楽章ではマティアス・バイアー=カルツホイの抒情的な演奏が印象に残りました

 

          

 

休憩後はシューマンの「ピアノ五重奏曲 変ホ長調」です。この曲は1842年秋(作曲者32歳)に完成されましたが、シューマンの名声を世に知らしめた作品となりました

ヘンシェル弦楽四重奏団の4人とピアノの矢野雄太が登場し、配置に着きます。矢野は東京藝大大学院修士課程2年在学中です この曲もクリストフ・ヘンシェルが第1ヴァイオリンを務めます。全4楽章から成りますが、まさにロマン溢れる曲想です 第1ヴァイオリンを中心に熱演が繰り広げられますが、矢野が4人によく溶け込んで演奏していました とりわけ第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」における5人の集中力は見事なもので、シューマンのロマンを堪能できました

こういう一流の演奏が3,000円で楽しめるのですから、東京藝大が主催する一連のコンサートは見逃せないのです この日は7割くらいの入りだったと思いますが、もったいないと思います

 

          

 

ということで、この機会に東京藝大主催の格安コンサート・無料コンサートを日付が近い順にご紹介しておきます。なお、会場はいずれも上野の東京藝大奏楽堂で、全席自由です

 

①5月15日(日)正午から「サティとその時代~世紀末からベル・エポックへ」 第1回「今日は一日、サティの日」 ※入場無料。

 

          

 

②6月25日(土)、10月22日(土)、11月6日(日)「サティとその時代~世紀末からベル・エポックへ 第2回~第4回」。入場料=@3,000円。2回セット券=5,000円、3回セット券=7,500円。

 

          

 

③5月22日(日)午後3時から 「東京藝大音楽学部ホームカミングデイ第2回」 入場料=3,000円。

 

          

 

④5月26日(木)午後7時から 「藝大シンフォニーオーケストラ第54回定期演奏会」 入場料=1,500円。

 

          

 

⑤5月28日(土)午後3時から 「東京藝大室内楽講座コンサート」 ※入場無料。

 

          

 

⑥6月3日(金)午後7時から 「リゲティ没後10周年コンサート」 入場料=3,000円。

 

          

 

⑦6月5日(日)、10月16日(日)午後3時から 「ハイドンとモーツアルト第1回、第2回」 入場料=@3,000円、セット券=5,000円。

 

           

 

⑧6月10日(金)午後7時から 「藝大フィルハーモニア第376回定期演奏会」 入場料=3,000円。

 

          

 

⑨6月11日(土)午後3時から 「藝大シンフォニーオーケストラ プロムナードコンサート10」 ※入場無料。

 

          

 

⑩6月18日(土)午後3時から 「東京藝大チェンバーオーケストラ第27回定期演奏会」 入場料=1,500円。

 

          

 

いずれも詳細は東京藝大のホームぺージでご確認ください ちなみに私の場合、6月は「サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン」で同ホールの「ブルーローズ」に連日通うので、ほとんど聴きに行けないのが残念です

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