26日(木)。わが家に来てから606日目を迎え、今日から始まる伊勢志摩サミットの成功を祈っているモコタロです
ご主人の話では 東京では街も電車も 警察官だらけだってさ
閑話休題
昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ドニゼッティの歌劇「ロベルト・デヴェリュー」を観ました これは今年4月16日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です
キャストは、エリザベス1世(エリザベッタ)=ソンドラ・ラドヴァノフスキー(ソプラノ)、サラ(ノッティンガム公爵夫人)=エリーナ・ガランチャ(メゾソプラノ)、ロベルト・デヴェリュー=マシュー・ポレンザーニ(テノール)、ノッティンガム公爵=マリウシュ・クヴィエチェン(バリトン)です 演出はデイヴィッド・マクヴィカー、指揮はイタリア出身のマウリツィオ・ベニーニです
このオペラはMETが手掛けて来たドニゼッティの”チューダー朝三部作”(アンナ・ボレーナ、マリア・ストゥアルダ、ロベルト・デヴェリュー)の最後の作品で、METオペラ初登場の演目です
舞台は16世紀の英国。老いたエリザベッタはエセックス伯爵ロベルト・デヴェリューに愛の生きがいを見い出していた。しかし、彼は密かに昔からの恋人サラに心を寄せていた サラはロベルトがアイルランドの反乱を鎮めるために戦地に赴いている間に 政略結婚によってノッティンガム公爵夫人となっていた 結局二人は愛を諦め、愛の証しとしてロベルトはエリザベッタから託された指環をサラに預け、サラは自分が刺繍したスカーフをロベルトに渡す
ロベルトは反乱軍と和睦を結んだことから国家反逆罪で弾劾されていたが、サラの夫であるノッティンガム公爵は、妻とロベルトの関係を知らず、友情からロベルトを弁護してきた しかし、スカーフが証拠となり、妻からもロベルトからも裏切られたとして復讐を誓う 一方、エリザベッタは恋人の名前を言えば罪を問うことはしない、とロベルトに迫るが彼はサラのことを想いこれを拒否する 嫉妬にかられたエリザベッタはロベルトの死刑に同意の署名をする 恩赦を願うサラがロベルトから預かった指環をエリザベッタのもとに届けに来たが、時すでに遅し。ロベルトの死刑は執行された後だった エリザベッタは希望を失い王位を譲り渡すと宣言する
このオペラを聴くのは今回が初めてですが、まず最初に「序曲」が素晴らしいと思いました ベルカント・オペラに相応しい音楽です。次に舞台ですが、この公演では物語が「劇中劇」として演出されています 主役級の4人の歌手がステージ中央で歌い演じるわけですが、両サイドには中世の衣装を身に付けたコーラス陣が”観客”として陣取っており、歌手がアリアを歌い終わると会場の聴衆と同じように拍手を送ります 今回の演出の大きな特徴です
この公演を観て、何に驚いたかと言えば、エリザベッタを歌ったソプラノのラドヴァノフスキー(イリノイ州出身)の存在感です もう唖然とするほど見事なベルカントです しかも、年老いた69歳の女王を見事に演じています 幕間のインタビューで、「役作りが大変なのでは?」と訊かれて「何しろ舞台にいるうち90%は怒りっぱなしなので、もう大変なのよ」と答えていましたが、彼女はMETでの出演が今回で200回目だということです。大ベテランですね
ノッティンガム公爵を歌ったマウリシュ・クヴィエチェンは、何でもこなせるポーランド出身のバリトンですが、私はMETライブと新国立劇場で演じた「ドン・ジョバンニ」のタイトル・ロールのイメージが強く残っています 今回の公爵役も歌ばかりでなく演技が素晴らしく、説得力があります 彼はインタビューで「4人の出演者は普段はどうなの?」と訊かれ、「ポレンザーニと組むオペラは多いし、いつも仲良くやっている また、ガランチャとラドヴァノフスキーを含めた4人は年齢も近いので、気が合うし仲良くやっているよ」と答えていました。
ラトヴィア出身のガランチャは、METでは「カルメン」を歌ったかと思うと、「皇帝ティートの慈愛」を歌うといった具合に、何でも歌えるメゾソプラノですが、舞台映えする顔立ちなので人気があります。歌は抜群にうまいです
タイトル・ロールのロベルト・デヴェリューを歌ったポレンザーニはラドヴァノフスキーと同じイリノイ州出身ですが、甘いリリック・テノールです METライブのビゼー「真珠とり」でクヴィエチェンとコンビを組んで歌っていたのを思い出します
初めて観るオペラでしたが、やっぱりドニゼッテイのオペラは何といっても「ベルカント・オペラ」の魅力タップリですね 美しい声によるアリアに次ぐアリア、重唱に次ぐ重唱で聴衆を惹きつけて止みません ドニゼッティ、ベッリーニ(ノルマ!)、ロッシーニ(セヴィリアの理髪師!)・・・みんな大好きです