人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

現田茂夫+谷口若菜でプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」を聴く~藝大モーニング・コンサート

2016年05月13日 07時23分18秒 | 日記

13日(金)。昨日、後述するように、上野の東京藝大奏楽堂にコンサートを聴きに行ったのですが、午前10時半ごろ上野公演の噴水広場を横切って藝大方面に向かう途中、もの凄い数の人たちが行列を作っていました 東京都美術館で開かれている「生誕300年記念 若冲展」の列でした。美術館の入口から始まり、旧奏楽堂の手前で折り返していますが、4列に並んでいながら数百メートル続いています ウィークデーの真昼間でこの状況ですから、いかに伊藤若冲(1716-1800)の人気が凄いかが分かります 展覧会は5月24日までですが、土・日なんて早朝から並ばないと入れないのではないかと思ってしまいます

ということで、わが家に来てから593日目を迎え、昨日の不審な赤い物体が爆発物でないことが判明し、仲間たちと喜びを分かち合っているモコタロです

 

          

           ただの風船でえがった~  一時は風船の灯になるかと・・・

 

  閑話休題  

 

ということで昨日、上野の東京藝大奏楽堂で「モーニング・コンサート2」を聴きました プログラムは①中島夏樹「PIXEL for orchestra」、②プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番ト短調」です 演奏は②のピアノ独奏=谷口若菜、指揮は現田茂夫、オケは藝大フィルハーモニアです

 

          

 

この「モーニング・コンサート」はチケットを買った際に通し番号が付されており、その順番で入場するシステムになっています。今回 私の番号は207番。幸いかなり前方の左ブロック右通路側席が取れました 会場は6割方埋まっている感じでしょうか

1曲目は4年の中島夏樹さん(1994年、埼玉県生まれ)の作曲による「PIXEL for  orchestra」です 演奏に当たり、本人が舞台に登場し、曲の解説をしました それによると、PIXELとは画素のことで、コンピュータ上で画像を扱う際の色情報の最小単位です。「グラフィックデザインをデジタル数値によってサウンドに置き換えて色彩を表現したいという趣旨で作曲した」とのことです

1.ドット、2.ストライプ、3.チェックの3つのセクションからなる12分強の作品ですが、現田茂夫指揮藝大フィルハーモニアの演奏で聴くセクション1は、寄せては引く波のような音楽、セクション2はリズムがさく裂する音楽、セクション3はいろいろな要素が混じって混沌とした音楽、といった印象を受けました どうでもいいことですが、夏樹さん、ちょっと猫背気味なので治した方が良いと思います そうしないと、作る音楽が前のめりになってしまいます

弦楽セクションが一旦引き上げて、ピアノがセンターに移動します。2曲目はプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番ト短調」です ソリストを務める4年の谷口若菜さん(1995年、岐阜県生まれ)が紫色のエレガントなドレスで登場します

この曲は4つの楽章から成りますが、第1楽章は主題が奏でられると、堂々たる長大なカデンツァに発展していきます これほど長大かつロマンに満ちたカデンツァは初めて聴きました 谷口の演奏は力強く かつ感動的で、プロコフィエフの音楽に圧倒されます

第2楽章は、テンポの速いスケルツォで、全4楽章の中で一番短いこともあって、あっという間に駆け抜けてしまいます

第3楽章は、一言で言えば”ドラマのような”世界です。きっとストーリーがあるに違いありません 例えば、メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」のような

第4楽章は様々な要素が入り混じった音楽ですが、どこか奇抜さを感じさせます

素晴らしい演奏に会場から惜しみない拍手が送られました 将来が楽しみなピアニストです

この曲については、ミシェル・ベロフのピアノ、クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のCDで予習しておきました

 

          

 

ところで、この曲について演奏者の谷口若菜さんがプログラムの中で次のように書いています

「彼の音楽は、主観的なものではない。喜びを噛みしめるように吐露したり、悲しみに打ちひしがれたりはしない どんなに荒れ狂うように進んでいても、作曲者はその外側から、冷静にそれを眺めているのである。斬新な和声は、古典的な形式で支えられ、主題はまるでパズルのように組み合わされる そういった面でこの曲は、幾何学的な、あるいは数学的な要素を持っているとも言える

「喜びを噛みしめ~」以下の文章は、確かにその通りだと思いますが、個人的には最初の「彼の音楽は、主観的なものではない」というのはどうでしょうか?どんな作曲家の作品でも、主観的でない音楽などあり得ないのではないかと思います 客観的な音楽など、誰が聴くでしょうか おそらく、若菜さんが言いたいのは「プロコフィエフは、どんなに激しい音楽を書いていても、そこには冷静に作品を見つめる彼自身の厳しい目がある。斬新と思われるパッセージでも根本には古典の基礎があり、すべてが緻密な計算に基づいて作られている」ということではないか、と思います

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

コンサート帰りに、これからの「モーニング・コンサート」のチケットを買いました 最初、上野アブアブ7階の「チケットぴあ」に行ったのですが、申込書を書いている時、同じ買うなら東京文化会館チケットサービスの方が発券手数料(@108円)がかからないな、と思い直し、上野の山を登って東京文化会館に向かいました。全部で6公演買ったので648円分の節約になりました

「モーニング・コンサート」はすでに6月16日の第5回のチケットは買ってあるので、それを除いて次の6公演を買いました ※いずれも木曜日・午前11時開演。入場料@1,000円

①第6回(6月23日)①フンメル「ファゴット協奏曲」、②バルトーク「ヴィオラ協奏曲」

②第7回(6月30日)①浦部雪「Expantraction」、②ハチャトゥリアン「ヴァイオリン協奏曲」

③第8回(7月14日)①イベール「フルート協奏曲」、②エルガー「ヴァイオリン協奏曲ロ短調」

④第10回(9月8日)①メンデルスゾーン「エリア」より、②ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番ニ短調」

⑤第12回(11月17日)①V.ウィリアムズ「オーボエ協奏曲イ短調」、②ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調」

⑥第13回(2月16日)①ウォルトン「チェロ協奏曲」、②プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番ト短調」

以上のうち、第6回、第8回、第10回、第12回の4公演は同じ日に別のコンサートが入っているので、ハシゴすることになります

 

          

 

私がこの「モーニング・コンサート」が素晴らしいと思うのは、商業ベースのコンサートでは積極的に取り上げられない演目を取り上げてくれることです 今回のプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」もそうですし、ハチャトゥリアンやエルガーの「ヴァイオリン協奏曲」などもそうです。4年生の演奏発表会的な位置づけがあるのかも知れませんが、これからもこの方向でプログラミングを組んでほしいと熱望します 

コメント (2)
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