人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

第17回東京音楽コンクール優勝者コンサートを聴く ~ ロドリーゴ「パストラル協奏曲」(瀧本実里)、プッチーニ「誰も寝てはならぬ」他(工藤和真)、ベートーヴェン「第4ピアノ協奏曲」(秋山沙穂)

2020年01月14日 07時20分47秒 | 日記

14日(火)。わが家に来てから今日で1933日目を迎え、楽器販売「ヤマハミュージックジャパン」の管楽器情報などを発信するツイッターが11日夜、楽器ケースに入らないよう注意を呼びかけた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ゴーン被告はお金があったから無事に脱出できたけど 庶民は箱の中で窒息するよ

 

         

 

昨日の夕食は「白みそ肉鍋」にしました 鍋料理は身体が温まりますね

 

     

 

         

 

昨日、東京文化会館大ホールで第17回東京音楽コンクール優勝者コンサートを聴きました 出演は木管部門第1位の瀧本実里さん(フルート)、声楽部門第2位〈最高位〉及び聴衆賞の工藤和真君(テノール)、ピアノ部門第1位及び聴衆賞の秋山沙穂さんです バックを務めるのは三ツ橋敬子指揮東京フィル。司会は朝岡聡です

 

     

 

第17回を迎えるこのコンサートを聴くのは初めてです 自席は3階1列3番、3階の最前列ではあるものの左端のどん詰まりです 会場は5階まで文字通り満席です。よく入りました

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び。コンマスは依田真宣です 彼もこのコンクールの入賞者(2006年の第4回「弦楽部門第2位」)です

最初に演奏するフルートの瀧本実里さんは1994年栃木県出身。東京音楽大学卒。国内のフルート・コンクールでの入賞歴が多数あり、2018年のロームミュージックファンデーション奨学生です

演奏するのはJ.ロドリーゴ「パストラル協奏曲」です この曲はホアキン・ロドリーゴ(1901‐1999)が1978年にジェームズ・ゴールウェイの委嘱により作曲したフルート協奏曲です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド」の3楽章から成ります

三橋敬子の指揮で第1楽章に入ります 極めてテンポが速く超絶技巧を要する曲想ですが、瀧本さんは確かな技術でクリアします 第2楽章はフルートの音色が生かされたカンタービレで、瀧本さんの美しいフルートが会場を満たしました 第3楽章は一転、躍動感に満ちた曲想で、再び瀧本さんの技巧が生かされました

2番手はテノールの工藤和真君です。1990年岩手県出身で、第53回日伊声楽コンコルソ2017第1位及び聴衆賞をはじめ 入賞歴が多数あります

最初にジュゼッペ・ヴェルディの歌劇「仮面舞踏会」より「永久に君を失えば」を、恵まれた体躯を活かした余裕を感じさせる歌唱力で歌い上げ、一気に聴衆の心を鷲づかみにしました 次いでジャコモ・プッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」より「冷たき手を」を叙情的に歌いましたが、説得力がありました 次にピエトロ・マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「母さん、あの酒は強いね」を感情表現豊かに歌い上げました そして最後にプッチーニの歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」を感動的に歌い上げ満場の拍手とブラボーを浴びました 私が聴いた若手のテノールの中では宮里直樹(2012年の第10回「声楽部門第2位」)と同じくらい有望な人材だと思います

 

     

 

プログラムの最後に演奏する秋山沙穂さんは1997年東京都出身。2012年、ショパン国際コンクールin Asia 中学生部門アジア大会金賞及びソリスト賞受賞。2018・2019年 宗次エンジェル基金、日本演奏連盟新進演奏家国内奨学生。現在、東京藝大4年在学中です

秋山さんの演奏を初めて聴いたのは昨年6月22日開催の東京藝大と韓国音楽院との合同演奏会でのベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第27番」です。2回目に聴いたのは7月4日開催の「藝大モーニングコンサート」で演奏したプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」でした それぞれの感想は翌日のブログに書いていますが、読み返してみるとかなり高い評価を与えています そのことがあったからこそ、今回の優勝者コンサートを聴こうと思ったのです

秋山さんが演奏するのはベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1805年から翌06年にかけて作曲、1808年にアン・デア・ウィーン劇場で交響曲第5番、同第6番などとともに公開初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります この曲は、第1楽章冒頭がピアノ独奏で始まる点、第2楽章と第3楽章が続けて演奏される点など、当時としては画期的な試みが施されています

第1楽章が秋山さんの弱音のピアノで開始されます この楽章ではカデンツァが見事です 第2楽章冒頭は弦楽合奏と独奏ピアノとの”対話”、というより”問答”が聴けます 切り込むような弦楽合奏と内省的なピアノとのやり取りが独特の緊張感を生み出します   私には次のように聴こえました

ベートーヴェン(弦楽):私のコンチェルトを演奏したいというのはお前か?

秋山沙穂(ピアノ):そうでございます。

ベートーヴェン:なぜ私の曲なのか?

秋山:今年は先生の生誕250年目に当たりますので、これを機会に是非演奏したいと思います。

ベートーヴェン:どれほどの練習をしてきたのか?

秋山:今日のために一生懸命努力を重ねて参りました。

ベートーヴェン:そんな小さい声では私の耳には聴こえんぞ!

秋山:先生の前で緊張しております。

ベートーヴェン:しっかり弾きたまえ!

秋山:ありがとうございます。精一杯頑張ります。

ベートーヴェン:ほほぉ、なかなかやるじゃないか!

特徴のあるこの冒頭の音楽は、タイトルは忘れましたが数年前に観た映画音楽で使われていました 続けて演奏される第3楽章は一転、それまでの暗い森から抜け出したかのような明るく弾むような曲想に転換します 秋山さんはこの辺の切り替えが鮮やかです ベートーヴェン・イヤーの幕開けに相応しい素晴らしい演奏でした

この優勝者コンサートが「前売り券完売」になるほど人気があるとは思いもよりませんでした 来年からはもっと早くチケットを手配しようと思います

 

     

コメント
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