人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

飯森範親 ✕ 角田祐子 ✕東京交響楽団 でラッヘマン「マルシェ・ファタール」、アイネム「ダントンの死 管弦楽組曲」、リーム「道、リュシール」、R.シュトラウス「家庭交響曲」を聴く

2020年01月27日 07時18分06秒 | 日記

27日(月)。マンションの高層階用エレベーターのリニューアル工事が終わり、やっと楽になりました 1月6日から25日までの工事期間中、1階から5階までは低層階用のエレベーターで上がり、内廊下を通って高層階側の外に出て、非常階段を上がらなければなりませんでした 自宅は9階なので4階分上がるだけで済んだのですが、最上階=14階の住人は9階分も徒歩で上がらなければならないので大変だったと思います そもそも、エレベーターの籠に閉じ込められた事故が2回続けて起こったのがリニューアル工事のキッカケでしたが、27年間もリニューアルしてこなかったので事故も起こるでしょう マンション管理会社の担当者によると「エレベーター2020年問題」というのがあって、今年エレベーターのリニューアル工事が集中するので、申し込んでもすぐには来てくれないとのことでした 1月中に終わって良かったです

ということで、わが家に来てから今日で1945日目を迎え、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で、中国の旅行会社を統括する中国旅行協会は25日、中国政府の要求に基づき、国外旅行を含む全ての団体ツアー旅行から一時禁止とすることを決めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

           

             だれか回転を一時禁止にしてくれね?

 

         

 

3月26日(木)午後7時から東京文化会館小ホールで開かれる「東京春祭ディスカバリー・シリーズ  Vol.7 ~ ジャコモ・プッチーニ」のチケットを取りました 公式パンフレット冊子にも公式サイトにも「出演者・曲目は決定後。公式サイトに掲載いたします」と書かれていますが、一般発売開始日の1月26日(日)午前10時になっても内容が明らかになっていません 随分いい加減だと思います しかし、すでに日程表に予定を入れており、内容如何に関わらず聴くことにしているので 予定通りチケット(A席:2500円)を取りました

 

     

 

         

 

ミューザ川崎で年4回開かれる「モーツアルト・マチネ」の2020年度のチケットを取りました 東京交響楽団がモーツアルトの作品を中心に演奏します 日程は次の通りです

第41回 2020年5月23日(土)モーツアルト①交響曲第25番、②交響曲第29番、③グラスハーモニカのためのアダージョとロンド。指揮=井上道義。

第42回  〃 8月22日(土)モーツアルト①2つのヴァイオリンのためのコンチェルト―ネK.190、②ヴァイオリン協奏曲第5番。ヴァイオリン=大谷康子、水谷晃。

第43回  〃 11月21日(土)①リゲティ「ラミフィケーション」、②ハイドン「トランペット協奏曲」、③モーツアルト「交響曲第38番K.504」。②のトランペット=佐藤友紀、指揮=ジョナサン・ノット。

第44回2021年3月6日(土)①モーツアルト「ピアノ協奏曲第23番K.488」ほか。指揮・ピアノ=小菅優。

時間はいずれも午前11時から12時10分です 小菅優さんの弾き振りは今回が3回目です

 

     

 

         

 

25日(土)午後6時からサントリーホールで東京交響楽団の第677回定期演奏会を聴きました プログラムは①ラッヘマン「マルシェ・ファタール」、②アイネム「ダントンの死」管弦楽組曲作品 6a(日本初演)、③リーム「道、リュシール」(日本初演)、④R.シュトラウス「家庭交響曲 作品53」です ③のソプラノ独唱=角田祐子、指揮=飯森範親です

文京シビックホールをあとにして地下鉄南北線で六本木一丁目まで行き、サントリーホールに着いたのは開演20分前の午後5時40分。文京シビックからサントリーホールまでdoor-to-doorで25分でした 会場を見渡すと、いつもの定期演奏会よりも空席が目立ちます まあ、この日のプログラムを見れば理解できるというものです 前半はクラシック好きの人でもあまり聞いたことのない名前の作曲家の作品群、後半が誇大妄想作曲家の作品なのですから そういうこともあってでしょう。開演にあたり、指揮者の飯森氏とソプラノの角田さんがステージに登場し、短いプレトークが開かれました 飯森氏は開口一番「難しい曲ばかり並べたな、とお思いかもしれませんが、そうではないことをお話しします」と語り、個々の作品について簡単に説明しました。角田さんも「このプログラムは集客を狙った対極にあるもので、素晴らしい企画だと思います」とフォローしました

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東響の並び。コンマスはグレブ・二キティンです

1曲目はラッヘマン「マルシェ・ファタール」です   この曲はヘルムート・ラッヘマン(1935~)が2017年にピアノ版を作曲、翌2018年にオーケストラ版を完成させました    長木誠司氏のプログラム・ノートによると、「マルシェ・ファタール」とは「命がけのマーチ」という意味で、「ちゃんと聴かれてこなかった行進曲をいかに聴かれる形にするかが最大のテーマ」とのことです

飯森の指揮で演奏に入りますが、まさに軍楽隊が演奏するマーチそのものといった曲想です    終盤で、まるで行進曲を流すレコードが針跳びを起こしたかのように、同じフレーズを繰り返す場面がありますが、指揮者はステージから客席の方に降り、しばらく座って音楽を聴いています こういうのを一般的に「職場放棄(サボタージュ)」と言いますが、これは作曲者の意図によるものです 曲の最後も、飯森氏が上を向いてピロピロ笛を吹いて終わらせるところは人をおちょくっています これも作曲者の意図です 冗談音楽で有名なホフナング音楽祭で演奏されそうな曲だと思います ひと言でいえば「真面目な演奏によるグロテスクな軍隊行進曲」でした

2曲目はアイネム「ダントンの死~管弦楽組曲作品 6a」です この曲はオーストリアの作曲家ゴットフリート・フォン・アイネム(1918-1996)が1946年に作曲したオペラの管弦楽版です 小宮正安氏のプログラム・ノートによると、「ダントンの死」は19世紀ドイツの革命詩人ゲオルク・ビュヒナーが1835年に書いた4幕物の戯曲を2幕にしたオペラで、フランス革命の立役者ジョルジュ・ダントンが、宿敵マクシミリアン・ロベスピエールによって裁判にかけられ、死刑に処せられるという内容です 全体は第1曲「プレスト」、第2曲「モルト・ソステヌート」、第3曲「フランス軍の速い行進曲のテンポで」、第4曲「モルト・アレグロ」の4つの部分から構成されています

飯森氏の指揮で演奏に入りますが、ジャズ風の音楽あり、悲痛な音楽あり、行進曲ありの多様な音楽が展開し、なかなか興味深い曲でした

次のリーム「道、リュシール」は同じ「ダントンの死」を基に作曲されているため、続けて演奏されました この曲はヴォルフガング・リーム(1952-)が2011年に作曲した作品で、「ダントンの死」の最終場面をテクストにしている「ソプラノとオーケストラのための情景」です リームがテクストにしたのは最後の2つの場面「道」と「革命広場」(第4幕第8、9場)です。ダントンの同僚カミーユ・デムーランの妻リュシールが、夫の死刑を見て狂気に陥っている様子が描かれています

ソプラノの角田祐子が登場し指揮台の傍らにスタンバイします 角田祐子は大阪音楽大学、京都市立芸術大学大学院、ベルリン芸術大学等を経て、2002年にフランス・エクサンプロバンス音楽祭でオペラデビュー ハノーファー州立歌劇場、シュトゥットガルト州立歌劇場のソリストを歴任。2016年10月ドイツ連邦共和国から宮廷歌手の称号を授与されています 東響とは2018年にツィンマーマンのオペラ「白いバラ」で共演し大きな反響を呼びました

角田祐子は、飯森✕東響のバックのもと、断頭台を前にしたリュシールの悲痛な叫びを、抑揚のある美しくも力のある歌唱で見事に歌い上げました

 

     

 

プログラム後半はR.シュトラウス「家庭交響曲 作品53」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1902年から1903年にかけて作曲、1904年に作曲者の指揮によりニューヨークで初演されました

この作品は作曲者自身の家庭=穏やかな夫(リヒャルト)、世話好きの妻(パウリ―ネ)、息子(フランツ)の様子を描いた作品です 夫婦は息子を巡って教育論を戦わせ、息子が寝静まった後は愛を交わし合い、朝の7時を告げる時計の音とともに息子が起き出し、夫婦は息子について口論を始める・・といった物語を音楽として描いています

最初にはっきり言っておきますが、自分の過去の作品を誇示したり(英雄交響曲)、自分の家族の生活を恥も外聞もなく音楽化したり(家庭交響曲)する自己顕示欲旺盛で誇大妄想的な作品は好きではありません リヒャルト・シュトラウスは「どんなものでも音楽にしてみせる」と豪語していたと言われていますが、そんなことしなくてもいい、と言いたくなります しかし、そんな私でもオペラ「ばらの騎士」だけは大好きです これは理屈抜きで楽しく素晴らしい作品です

「家庭交響曲」は、個々の楽器の名人芸が聴けるというメリットがありますが、演奏が良ければ良いほど、この曲にうんざりしてきます そういう意味では、この日の東響の演奏は良い演奏でした オーボエ、フルート、クラリネット、ファゴットといった木管楽器群を筆頭に、トランペット、ホルン、トロンボーンといった管楽器群、渾身の演奏をした弦楽器群、キレのある演奏をした打楽器群、それぞれが素晴らしいパフォーマンスを見せていました

ここでハタと気が付いたのですが、東京交響楽団は前日の24日夜、新国立劇場でオーケストラ・ピットに入って「ラ・ボエーム」を演奏していました その翌日の25日に定期公演で現代ものと大曲を演奏し、その翌日の26日(昨日)には再び新国立オペラで演奏するというハード・スケジュールです 楽員の皆さん、大変ですね。ご同情申し上げます 東響って人使いが荒いですね。でも、演奏レヴェルはどんどん高まっています

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