人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ラース・フォン・トリアー監督「ハウス・ジャック・ビルト」、ジョーダン・ピール監督「アス」を観る ~ グレン・グールドの弾くバッハ「パルティータ第2番」、ヴィヴァルディ「四季」も流れる

2020年01月31日 07時47分48秒 | 日記

31日(金)。今日は英国が欧州連合(EU)から離脱する記念すべき日です 2020年1月も今日で終わりですね 月日の流れは速いもので、今年も残すところあと335日になりました

ということで、わが家に来てから今日で1949日目を迎え、CNNテレビは29日、ホワイトハウスが「ウクライナ疑惑」の真相に言及すると報じられているボルトン前大統領補佐官の著作について書簡を送り、出版を差し止める意向を示していると報じた というニューを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     アメリカはいつから自由の国から不自由の国になったんだ? トランプ政権からか

     

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」を作りました お酒は日本酒です

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「ハウス・ジャック・ビルト」と「アス」の2本立てを観ました

「ハウス・ジャック・ビルト」はラース・フォン・トリアー監督・脚本による2018年デンマーク・フランス・ドイツ・スウェーデン合作映画(152分)です

1970年代の米ワシントン州。建築家になる夢を持つハンサムな独身の技師ジャック(マット・ディロン)は、あるきっかけからアートを創作するように殺人に没頭する ”ジャックの家”を建てるまでの12年間の殺人が5つのエピソードを通じて描かれる

 

     

 

この作品は米国映画協会の審査(日本で言えば映倫みたいなものか)により全米公開時には本編の一部がカットされましたが、今回、日本では完全ノーカット版での上映が実現しました

理性と狂気を併せ持つシリアルキラーのジャックの葛藤と欲望を過激なまでの描写で描いた作品ですが、ラストは「ドン・ジョバンニの地獄落ち」と同じです 本人は殺人をアートの様に見ていますが、最後は神の審判が下されるのです

ところで、この映画では何度かカナダのピアニスト、グレン・グールドがバッハ「パルティータ第2番」の第1曲「シンフォニア」と第6曲「カプリッチョ」を弾くシーンがモノクロ映像で流されます 奇才グールドはコートを着たまま、低い椅子(高さ約30センチ)に腰かけて鼻歌を歌いながら気分良さそうにバッハを弾いています よく知られているように、グレン・グールド(1932-1982)は1955年に録音したバッハ「ゴルトベルク変奏曲」で衝撃のデビューを果たしますが、その後「演奏の一回性」に疑問を抱くようになり、1964年にコンサート活動から引退してしまいます それ以降は録音を中心に活動し、1981年には2度目の「ゴルトベルク変奏曲」を録音しました 写真の上が1955年盤、下が1981年盤です。個人的な感想を言えば、私は1955年盤の歯切れの良い演奏の方が好きです

 

     

     

 

また、第3話では、ジャックが逃げ惑う母親と子ども2人を銃で撃つ衝撃的なシーンが映し出されますが、ここでテーマ音楽のように流れるのはヴィヴァルディ「四季」(正確には「和声とインベンションの試み」と題する12曲から成るヴァイオリン協奏曲集)の協奏曲第3番「秋」の第3楽章「アレグロ」です 「四季」には各曲に音楽の内容を表す「ソネット」という14行の短詩が付いていますが、「秋」の第3楽章には次のような「ソネット」が付けられています

「夜が明けるのを待って、狩人たちは森に出かけて行きます。獣は必死に逃げ惑い、銃声と犬のほえ声が乱れ、力尽きた獣は倒れます」

つまり、狩人=ジャックで獣=母子です 第3話のラストシーンでは、ジャックが撃ち殺した無数のカラスとともに、母子3人の死体がまるでアートのごとく整然と並べられており、背景で「秋」のあまりにも明るく軽快なメロディーが流れています この衝撃的な殺人を扱った第3話などは、真っ先に「米国映画協会」の審査に引っかかったのではないかと想像できます

どんなタブーにも挑戦していくのがラース・フォン・トリアー監督の信条なのでしょうか

 

         

「アス」はジョーダン・ピール監督・製作・脚本による2018年アメリカ映画(116分)です

アデレード(ルピタ・ニョンゴ)は夫のケイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンと共に夏休みを過ごすため、幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪ねる 早速、友人たちと一緒にビーチへ行くが、不気味な偶然に見舞われたことで、過去の原因不明で未解決なトラウマがフラッシュバックする やがてアデレードは、家族の身にも恐ろしい出来事が起こるという妄想を強め、夫のケイブにすぐに帰りたいと言う その夜、家の前に自分たちとそっくりな”わたしたち”がやってくる

 

     

 

ホラーでありサスペンスでありスリラーです 自分たちにソックリな家族が突然目の前に現れたら、それはビックリします しかも、彼らはこちらを憎んでいるらしく攻撃してくる 「同じ顔を持ったあなたたちは何不自由なく幸福に暮らしている。その反面、私たちは不幸のどん底にいる。こんな不公平なことが許されるのか」と

”彼ら”に追い詰められたアデレードは、「ここを捨てて、メキシコに逃げよう」と訴えますが、夫のケイブは「ここにいるのが一番安全だ」と言って動こうとしません 一家が住んでいるのはアメリカです。様々な理由から、メキシコからアメリカに逃げるというのなら理解できます。しかし、アメリカからメキシコに逃げようと言うのです。これは何を意味しているのでしょうか つまり、アメリカほど危険な国はないと言っているのではないか アス(Us)というのは後ろにAを付けるとUSAになりますね

一番怖いのはラストです アデレードの幼少時の”事件”が振り返られ、本当は何があったのかが明らかになるシーンです いつの日か、アメリカは”彼ら”に乗っ取られるのではないか、と心配になってきます

コメント (2)
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