人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでストラヴィンスキー「夜鳴きうぐいす」 & チャイコフスキー「イオランタ」のダブルビル公演を観る 〜 歌唱力・演技力とも優れたソプラノの大隅智佳子にブラボー!

2021年04月05日 07時21分58秒 | 日記

5日(月)。わが家に来てから今日で2277日目を迎え、新型コロナウイルスのワクチン不足が世界的に強まるなか、中国が輸出攻勢をかけており、中国製を承認・契約した国・地域は振興・途上国を中心に70に達し、そのうち37の国・地域が寄付を受けた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「国民の生命を第一に」は理解できるが  覇権主義国家・中国の”見返り要求”が怖い

 

          

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」で新国立オペラ、ストラヴィンスキー「夜鳴きうぐいす」とチャイコフスキー「イオランタ」 のダブルビル公演を観ました 

「夜鳴きうぐいす」の出演は、夜鳴きうぐいす=三宅理恵、料理人=針生美智子、漁師=伊藤達人、中国の皇帝=吉川健一、侍従=ヴィタリ・ユシュマノフ、僧侶=志村文彦、死神=山下牧子、日本の使者1=高橋正尚、日本の使者2=濱松孝行、日本の使者3=青地秀幸。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=高関健、演出=ヤニス・コッコスです

新型コロナの感染症に係る入国制限措置により、指揮者はアンドリー・ウルケヴィチ ⇒ 高関健へ、夜鳴きうぐいすはハスミック・トロシャン ⇒ 三宅理恵へ、中国の皇帝は二カラズ・ラグヴィラ―ヴァ ⇒ 吉川健一へそれぞれ変更となっています

「夜鳴きうぐいす」は、イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882‐1971)がアンデルセンの童話に基づき1908年(第1幕)、1914年(第2、3幕)に作曲、同年5月26日にパリのオペラ座で、ピエール・モントゥー指揮、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)により初演されました ちなみにモントゥーは大混乱となった「春の祭典」初演の時の指揮者です

病気になった中国の皇帝は宮中に呼び寄せたうぐいすの鳴き声のお陰で健康が回復する 日本の使者が機械仕掛けのうぐいすを献上すると、皇帝はうぐいす そっちのけで そちらに夢中になり、本物のうぐいすは宮廷を去ってしまう その後、病が再び悪化した皇帝のもとに うぐいすが舞い戻り美しい声で歌うと、皇帝は死の淵から脱する   感謝する皇帝にうぐいすは毎晩歌いに来ることを約束する

 

     

 

自席は2階3列15番、センターブロック左通路側です 2階席はガラガラですが、1階は結構埋まっているようです ただし1階前の3列は新型コロナ感染症拡大防止のため空席になっています

舞台と登場人物の衣装はメルヘン・オペラに相応しく、赤、青、黄といった原色を多用した鮮やかなもので、ポップな感じを醸し出しています

今回の公演は、出演者変更と相まって、若手の起用が目立ちました 漁師役の伊藤達人、日本の使者役の濱松孝行と高橋正尚は新国立劇場オペラ研修所修了生です

一言で言えば、今回の公演は主役の「夜鳴きうぐいす」を歌った三宅理恵の独壇場でした 三宅は東京音楽大学・大学院修了、バード音楽院特待奨学生修士課程修了。2010年、藤沢オペラコンクール奨励賞を受賞しています 伸びのある美しいソプラノです

 

     

 

「イオランタ」の出演は、ルネ=妻屋秀和、ロベルト=井上大聞、ヴォデモン伯爵=内山信吾、エブン・ハキア=ヴィタリ・ユシュマノフ、アルメリック=村上公太、ベルトラン=大塚博章、イオランタ=大隅智佳子、マルタ=山下牧子、ブリギッタ=日比野幸、ラウラ=富岡明子。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=高関健、演出=ヤニス・コッコスです

こちらも出演者が ロベルトはユーリ・ユルチュク ⇒ 井上大聞へ、ヴォデモン伯爵はヴィクトル・アンティペンコ ⇒ 内山信吾へ、エブン=ハキアは二カラズ・ラグヴィラ―ヴァ ⇒ ヴィタリ・ユシュマノフへ、イオランタはエカテリーナ・シウリ―ナ ⇒ 大隅智佳子へ、それぞれ変更となっています

「イオランタ」はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840‐1893)が童話作家ヘンリク・ヘルツの一幕ものの劇詩「ルネ王の娘」を元に1891年に作曲、1892年にペテルブルクのマリーンスキー劇場で初演された最後のオペラです    このオペラはMETライブビューイング2014/15シーズンで、アンナ・ネトレプコの主演による公演で一度観たことがあります

舞台は中世の とある山中の城。プロヴァンス国王ルネは娘イオランタの目が不自由であることを本人に知らせないように育ててきた  ブルゴーニュ侯爵ロベルトと共に城に迷い込んだ青年ヴォデモン(ブルゴーニュ伯爵)は美しく成長したイオランタに出会い、彼女の目が不自由なことに気づくと、光の素晴らしさを話す 事態を悟った父王は娘の目が治癒すれば娘に真実を明かした罪を許すと宣言する イオランタは治療に耐える決心をしムーア人の医者エブン・ハキアと共に別宮に赴く

 

     

 

ルネ王を歌った妻屋秀和は新国立オペラを代表するバスですが、本作では威厳に満ちたルネ王を堂々と歌い演じていました

エブン=ハキアを歌ったヴィタリ・ユシュマノフは現在、日本を拠点に活動していることから渡航制限にかからず出演することができた唯一の外国人歌手です 期待に違わず立派なバリトンを聴かせてくれました

ロベルトを歌った井上大聞は新国立劇場オペラ研修所第21期修了生ですが、大健闘でした

さて、本公演では誰を指しおいても、イオランタを歌った大隅智佳子が最高でした 歌唱力、演技力の両面で圧倒的な存在感を示しました 彼女は全く目が見えないイオランタに成りきって演技をしていました 歌唱の点では、第7景で光の素晴らしさを説くヴォデモンとそれに戸惑うイオランタの二重唱は感動で背筋が寒くなりました 相手役が絶叫調でイマイチでしたが、大隅はごく自然な歌唱で説得力がありました 歌を聴いて心の底から感動を覚えたのは久しぶりのことでした

大隅智佳子は東京藝大・大学院修了。二期会公演「エウゲニ・オネーギン」タチアーナ、「イドメネオ」エレットラなどで好評を博し、新国立オペラでは「夏の夜の夢」ヘレナ、「フィガロの結婚」伯爵夫人役で出演し絶賛を浴びました 今や飛ぶ鳥を落とす勢いのソプラノ歌手と言えるでしょう

特筆すべきは高関健指揮東京フィルの演奏です 「夜鳴きうぐいす」ともども歌手に寄り添いつつ、素晴らしい演奏を展開しました

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