18日(日)。昨日の朝日朝刊・別刷り「be」の「元気に キレイに」コーナーでコーヒーの効能が特集されていました 超訳すると、
「国立がん研究センター『社会と健康研究センター』の予防研究グループは、コーヒーと病気の関連について、研究結果をこれまで次々と発表してきた 研究結果によると、コーヒーをよく飲む人たちでは男女とも糖尿病になる割合が少なかった
研究グループによれば、糖尿病は精神的なストレスが原因の一つになっていると考えられ、コーヒーのストレス抑制効果が働いた可能性があるという
肝臓がんでは、コーヒーを全く飲まない人のがん発生率を1とした場合、週1~2回飲む人は0.75,ほとんど毎日飲む人は0.49と、大きく低下していた
死亡率とも関係があるようだ。コーヒーを全く飲まない人の全死亡リスクを1とすると、1日3~4杯の人は0.76と、やはり危険度が下がる傾向が見られた
またコーヒーには別の効果もあるようだ。岡山理科大学の安藤秀哉教授(香粧品学)は『コーヒーに含まれるポリフェノールの一種のクロロゲン酸などには抗酸化作用があり、メラニン色素の生成を抑制する』と語る
つまり、コーヒーには、しみを抑えるなどの美肌効果が期待できるというわけだ
安藤教授は『抗酸化成分は多くの食品に含まれているが、短期間での劇的な効果は期待できない。しかし日ごろから取り続けることで弱いながらも効果の実感につながることから、毎日飲めるコーヒーは有用だ
』と言う。また、富山大学の中川崇教授(分子医科薬理学)によると、『人の体には老化の制御にかかわるNADという補酵素があり、年齢とともに減っていくことが知られているが、コーヒーに含まれるニコチン酸にはこのNADを回復して細胞の傷を修復させる働きがある
』と言う。各種の研究によれば、コーヒーには1千種を超す成分が含まれ、ほかにも血糖値の上昇を抑える働きなどが報告されている
ただし、飲み過ぎには注意が必要だ。コーヒーに多く含まれるカフェインには覚醒作用などがある半面、不眠などの副作用も起きうる。カフェインの代謝量には個人差があり、もっともリスクを下げるのは1日に3~4杯とのこと
多くの研究者はこう口をそろえる。『どんな食品も、食べ過ぎ・飲み過ぎにはご注意を
』」
コーヒーって最強の飲み物ですね 皆さんはどれくらい飲んでいますか? 私は2~3杯くらいだと思います
理想的には朝食時、昼食後、3時あたりと、1日3回飲む習慣をつけると良いのかもしれません
夕食後に飲むと眠れなくなる恐れがあるので
ということで、わが家に来てから今日で2290日目を迎え、菅義偉首相とバイデン米大統領は16日の初めての首脳会談で、互いのファーストネーム「ヨシ」「ジョー」を呼び合い、親密さを強調した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
「ヨシ」のうちはいいけれど 「ヨシヨシ」と手なずけられてポチにならないように
昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第689回定期演奏会を聴きました この公演は、1985年生まれの俊英・原田慶太楼の東京交響楽団正指揮者就任記念コンサートという位置づけにあります
プログラムは①ティケリ「ブルーシェイズ」、②バーンスタイン「セレナード」、③ショスタコーヴィチ「交響曲第10番 ホ短調 作品93」という、アメリカとロシアで研鑽を積んだ原田らしいプログラミングです
演奏は、②のヴァイオリン独奏=服部百音、指揮=原田慶太楼です
今回のコンサートは東響の新シーズンの開幕公演で、自席も1階後方右サイドから左サイドに席替えしました 会場を見渡すと、通常配置で この1年間見たこともないほど多くの聴衆で埋まっています
8〜9割の入りではないかと思われます。東響としては幸先の良いスタートとなりました
オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります コンマスはグレブ・二キティン。コントラバス首席の位置には都響の池松宏が客演しています
オーボエ首席・荒木奏美の隣に控えているのはN響の池田昭子か? ちょっと距離があるので確かではありませんが
1曲目はティケリ「ブルーシェイズ」です この曲はフランク・ティケリ(1958~)が1996年に吹奏楽版を、その後2002年に管弦楽版を作曲した作品です
作曲家本人のプログラムノートによると、この作品は「アーリージャズへの愛情と、自身の音楽スタイルを組み合わせた作品で、ブルースの影響を強く受けており、明るい青から暗い青、汚れた青、熱い青まで、多くの”青の色合い”が描かれて」います
原田の指揮で演奏に入りますが、われわれが抱いている「ブルース」の緩やかなメロディーとは異なり、どちらかと言うと、バーンスタインの「シンフォニック・ダンス」のようなリズミカルな作品です 終盤ではクラリネットの独奏が入りますが、スウィング・ジャズの巨匠ベニー・グッドマンの演奏を彷彿とさせます
エマニュエル・ヌヴ―がジャジーな演奏を展開しました
2曲目はバーンスタイン「セレナード」です この曲はレナード・バーンスタイン(1918‐1990)が1951年にクーセヴィツキ-財団からクーセヴィツキ-追悼のために委嘱され、プラトンの「饗宴」に基づいて1954年に完成、同年9月12日にヴェネツィア音楽祭でバーンスタイン指揮、アイザック・スターンの独奏により初演されました
西田紘子さんのプログラムノートによると、プラトンの「饗宴」は酒宴のことで、「エロスについて」という副題がついています 紀元前のアテネが舞台で、悲劇詩人アガトン宅に、教養人たちが集まる。食事後、ファイドロス、パウサニアス、エリュキシマコスとアリストファネス、アガトン、そしてアリストテレスが順に、前の演説を批判しつつ、愛の神エロスを賛美する演説を行う。最後にアルキピアデスが酩酊状態で現れ、ソクラテスを賛美するーというものです
ソリストの服部百音(はっとり・もね)は1999年生まれの22歳。2009年リピンスキ・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールのジュニア部門で史上最年少第1位及び特別賞を受賞しています 今年3月に桐朋学園大学音楽学部ソリスト・ディプロマコースを修了、国内外で活躍しています
管楽器奏者が退場し、弦楽器と打楽器、そしてハープが残ります 服部百音が上が黒、下が黒と白のストライプのエレガントな衣装で登場、原田の指揮で演奏に入ります
服部の演奏は、メリハリが効いていて、ヴィブラートがとても綺麗です
とりわけ弱音がとても美しい
艶のある独特な音色が魅力です
終盤ではチェロ首席・伊藤文嗣との対話が見事でした
原田 ✕ 東響はソリストをしっかりと支えていました
満場の拍手に服部はエルンスト「魔王」を超絶技巧で白熱の演奏を展開し、再び聴衆を熱狂の渦に巻き込みました 服部百音が他の演奏家と全く違う点は、ステージマナーの良さです
まず正面を向いて一礼、次に左を向いて一礼、右を向いて一礼、後ろを向いて一礼、そして再び正面を向いて深く一礼、そして舞台袖に引き揚げていきます
これほどきちんとしたステージマナーを持った演奏家を他に知りません
祖父の時代からの音楽一家・服部家の厳しい躾があったのだろうか、と想像してしまいます
ところで、「セレナード」で思い出すのは、五嶋みどりの伝説の演奏です 時は1986年、当時14歳だった五嶋みどり(1971~)はアメリカのタングルウッド音楽祭でレナード・バーンスタイン指揮ボストン交響楽団と共演し「セレナード」を演奏ました
この時、第5楽章の演奏中にヴァイオリンのE線が2度も切れてしまいます
その時彼女が弾いていたのは3/4サイズ(子供用)のヴァイオリンでしたが、1度目は即座にコンサートマスターの4/4サイズ(大人用)に持ち替えて演奏を続け、2度目の時は副コンサートマスターのヴァイオリンを借りて最後まで演奏を完奏したのです
終演後、バーンスタインは彼女をハグして冷静沈着な天才少女を称えました
この”事件”は「タングルウッドの奇跡」と呼ばれ、アメリカの小学校の教科書に掲載されました
ユーチューブで映像が観られますが、感動で涙なくして観られません
プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第10番 ホ短調 作品93」です この曲はドミートリ・ショスタコーヴィチ(1906‐1975)が1953年に完成、同年12月17日にレニングラードでムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルにより初演されました
第1楽章「モデラート」、第2楽章「アレグロ」、第3楽章「アレグレット」、第4楽章「アンダンテ ~ アレグロ」の4楽章から成ります
この曲が完成した1953年の3月に独裁者スターリンは亡くなっていますが、西田紘子さんのプログラムノートによると、「本作は、スターリンの死後すぐに着手され、彼とその時代を描いたものだという作曲者自身の発言によって語られてきたが、『ショスタコーヴィチの証言』におけるこの発言の妥当性は、今では疑問視されている むしろ、当局から批判を招いた第9番の発表(1945年)から8年あまりを経てようやく書かれたとされてきた大作は、近年では、実はもっと早くから着手されたことが分かってきている
例えば第1楽章の素材は1945年頃に作曲され、結局は破棄されたヴァイオリン・ソナタの素材として関連している」と説明されています
また、「ショスタコーヴィチは第3楽章やフィナーレで、自身のドイツ語つづり「D.SCHostakovich 」を音名に読み替え、これを重要な音型に使っていることは良く知られた話だ
」とした上で、「実は第3楽章には、もう一つの別の音型がホルンによって12回奏される
このホルンの音型が、モスクワ音楽院の教え子エルミーラ・ナジーロヴァの名前に由来するというのだ
1953年8月29日に書かれた手紙でショスタコーヴィチは、エルミーラに音型の含意を説明している」と解説しています
つまり、この第10番は、反スターリン主義的な音楽というよりも、極めて個人的な音楽とも言えるような解釈がなされているのです
再び管楽器が加わりフル・オーケストラ態勢となります 原田の指揮で第1楽章の演奏に入ります
クラリネットのエマニュエル・ヌヴ―、フルートの相澤政宏、濱崎麻里子、ピッコロの高野成之、ファゴットの福士マリ子の演奏が素晴らしい
第2楽章は原田のエネルギッシュな指揮による疾走感溢れる演奏が展開しますが、これはスターリンの横暴を描いているのか
それともスターリンへの怒りの表明か
どちらとも取れる音楽ですが、ショスタコーヴィチのみぞ知る、です
第3楽章では、上に書いたエルミーラ・ナジーロヴァを表す音型がホルンで奏でられますが、大野雄太の演奏が素晴らしい
第4楽章では荒木奏美のオーボエ・ソロ、福士マリコのファゴット・ソロが印象的です
フィナーレは原田のアグレッシブな指揮のもとオケ総動員による渾身の演奏が展開しました
この曲は、東京交響楽団によって1954年に日本初演され、また2016年には創立70周年記念ヨーロッパ公演でジョナサン・ノットの指揮で演奏された由緒ある作品です 原田慶太楼はこの日の正指揮者デビュー公演で、あえてこの由緒ある作品にチャレンジしたわけですが、聴衆の熱烈な反応を見る限り、本公演は成功裏に終わったと言うべきでしょう