人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでドニゼッティ「ルチア」初日公演を観る 〜 イリーナ・ルング(ソプラノ)とローレンス・ブラウンリー(テノール)にブラボー! / オペラ鑑賞時に身を前に乗り出してはいけません

2021年04月19日 07時20分19秒 | 日記

19日(月)。わが家に来てから今日で2291日目を迎え、鳩山由紀夫元首相は18日、菅義偉首相が初訪米してバイデン大統領と会談したものの、「夕食会を断られハンバーガー付きの20分の首脳会談では哀れ」とツイートした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     偉そうに何を言ってるか! せっかく天下を取ったのに下野したのは誰のせいなのか

 

         

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」で新国立オペラ、ドニゼッティ「ルチア」の初日公演を観ました キャストは、ルチア=イリーナ・ルング、エドガルド=ローレンス・ブラウンリー、エンリーコ=須藤慎吾(マッティア・オリヴィエ―リの代演)、ライモンド=伊藤貴之、アルトゥーロ=又吉秀樹、アリーサ=小林由佳、ノルマンノ=菅野敦。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立歌劇場合唱団、指揮=スペランツァ・スカップッチ、演出:ジャン=ルイ・グリンダです

私が新国立オペラで「ルチア」を観るのは2002年10月、2017年3月に次いで今回が3度目ですが、ジャン=ルイ・グリンダの演出で観るのは2度目です

自席は2階3列15番、センターブロック左通路側です。会場は人気演目の「ルチア」とあってか、いつもは空席が目立つ2階席も7割以上埋まっていると思われます

 

     

 

ガエターノ・ドニゼッティ(1797‐1848)は、50歳で死去するまで70作以上のオペラを作曲しました 79歳まで生きたヴェルディが遺したのは28作、65歳まで生きたプッチーニが遺したのは12作に過ぎないのに比べ、圧倒的に多くのオペラを作曲しました 歌劇「ルチア」はドニゼッティが1835年に作曲、ナポリのサン・カルロ劇場で初演されました

物語の舞台は17世紀のスコットランド。ランメルモールの領主エンリーコは妹ルチアをアルトゥーロと政略結婚させようとしている ルチアが宿敵エドガルドと愛し合っていることを知ったエンリーコは、恋人の裏切りを示す偽の手紙をルチアに見せ、結婚を承諾させる 真相を知らないエドガルドはルチアの裏切りを激しく責める ルチアは正気を失い花婿アルトゥーロを刺殺してしまう 血に染まったルチアが祝宴に現れ、錯乱する意識の中で、エドガルドへの愛を必死に訴え息途絶える 全てを知ったエドガルドもルチアの後を追う

 

     

 

イタリア出身の女性指揮者スペランツァ・スカップッチは、2018年4月15日に東京文化会館大ホールで開かれた「東京春祭  合唱芸術シリーズVol.5  ロッシーニ『スターバト・マーテル』」で東京都交響楽団を指揮した時に聴いています ジュリアード音楽院、サンタ・チェチーリア音楽院卒業。2017年よりベルギー王立ワロニー歌劇場音楽監督を務めています

スカップッチがオーケストラピットに入り、悲劇的な前奏曲の演奏が始まります 冒頭の舞台を初めて観た人はびっくりしたと思います 荒れ狂う波が打ち寄せる(映像)なか、大きな岩の上にノルマンノとアルトゥーロが登場し歌い出します ジャン=ルイ・グリンダの演出は、「オペラの冒頭部分で合唱が『海辺を駆け巡り』と歌うように『ルチア』の物語はスコットランドの海岸を舞台にしている」という根拠から、海にこだわった演出となっています 各幕間では岩場の海が映し出されます

結論から先に書きます。今回の公演はルチアを歌ったイリーナ・ルングとエドガルドを歌ったローレンス・ブラウンリーの”二人舞台”でした

イリーナ・ルングはロシア出身のソプラノですが、ミラノ・スカラ座アカデミー在籍中にリッカルド・ムーティによりスカラ座03/04シーズン開幕「モイーズとファラオン」アナイ役に抜擢され、その後同劇場で「愛の妙薬」アディ―ナなどに出演 ヴェルディ「椿姫」はミラノ・スカラ座をはじめ世界各地の歌劇場で歌っており、新国立劇場では2017年「椿姫」ヴィオレッタを歌い、絶賛されました 「ルチア」はボローニャ歌劇場などで歌っています 第1幕のカヴァティーナ、第3幕の最大の難曲「狂乱の場」をはじめとして、美しくも力強いコロラトゥーラで会場を圧倒しました 演技力も申し分ありません

ローレンス・ブラウンリーはアメリカ出身の黒人テノールですが、2001年にメトロポリタン歌劇場ナショナル・カウンシル・オーディションで優勝を果たし、世界各地のオペラハウスで歌っています 新国立劇場では2006年の「セヴィリアの理髪師」アルマヴィーヴァ伯爵を歌っています とにかくベルカント唱法が素晴らしい 「ベルカントの国際的スター」と称賛されるのも頷けます

エンリーコ役の須藤慎吾、ライモンド役の伊藤貴之、アルトゥーロ役の又吉秀樹、アリーサ役の小林由佳、ノルマンノ役の菅野敦も、それぞれ大健闘でしたが、主役の2人の前では霞んでしまいました

新国立劇場合唱団の多数メンバーによるコーラスを久しぶりに聴きましたが、さすがは世界に通用する合唱だと あらためて思いました また、スカップッチ指揮東京フィルは、歌手に寄り添いながらも、オーボエが、フルートが、ホルンが、ベルカントでルチアの悲しみを歌い上げました

 

     

 

さて、ここからは公演余話です

オペラが始まるとすぐに、すぐ前の席の中年男性が身を前に乗り出してステージを見下ろし始めたので、視界が遮られ、歌手陣が見えなくなってしまいました 新国立劇場に限らず、2階以上に席があるホールでは事前に「周りの人の視界を妨げるので、身を乗り出さないように」というアナウンスが入ります この日もしっかりとアナウンスされていました しかし、そんなことは馬耳東風の輩はどこにでもいるものです 仕方ないので、第1幕の終わるのを待って、レセプショニストに”犯人”の座席番号を伝えて「第2幕の開始前に注意してほしい」旨を伝えました 「周囲の全体に、ということでよろしいですか?」と訊くので、「それで結構です」と答えました 主催者側は”犯人”に面と向かって注意することはしないのは分かっているからです。あくまでも「お客さま」の扱いをします。したがって、レセプショニストは”犯人”の周辺に向いて複数の人を相手に注意事項をアナウンスすることになります。心当たりのある者はそれで分かるはずです その後、「身を乗り出さないように」という場内アナウンスが入ったので、それがとどめになったようで、”犯人”は第2幕以降、身を乗り出さなくなりました その代わり、身体を右に傾けたり、今度は左に傾けたりと落ち着きのない動きをするようになりました 普段からこういう人なのでしょう しかし、ステージはしっかり見えるので黙認することにしました

こういうケースで注意しなければならないのは、「相手に直接クレームをつけてはならない」ということです 今のご時世、ポケットやカバンにナイフやスタンガンを忍ばせている者がいないとも限りません 相手が発火点の低い怒りやすい性格の人物だとしたら喧嘩になります それはオペラの進行を妨げることになるし、それが休憩時間に起こったとしても周囲の人の迷惑になることは否定できません。クレームをつけた本人も苛立って 気持ちよくオペラを鑑賞することが出来なくなります まず、レセプショニストに伝えましょう。それが最後まで気持ちよくオペラを鑑賞する秘訣です

コメント (2)
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