人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

コルンゴルト「ピアノ五重奏曲」、アーン「弦楽四重奏曲第2番」他を聴く ~ 新日本フィル室内楽シリーズ「西江辰郎プロデュース編」 / 「大物演奏家」次々 入国基準あいまい

2021年04月15日 07時22分22秒 | 日記

15日(木)。昨日の朝日朝刊 文化面に「『大物演奏家』次々  入国基準あいまい」という記事が載っていました 超訳すると、

「新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除後、日本のクラシック界に外国人演奏家たちがじわじわと戻りつつある 厳しい防疫措置を前提に隔離期間を短縮し、入国を認められるケースも出てきた ただ、判断の基準や経緯は明らかにされておらず、国に明確な指針を求める声もある 外国人の入国は解除後も原則禁止だが、スポーツ界ではすでにバブル方式(開催地を泡で包まれた空間と想定し、選手や関係者と外部との接触を遮断する運営方法)を前提に、3日間の隔離が適用されていた。『音楽家にも相応の対応を』との声に押される形で、国は音楽業界にも門戸を開いた 半径2メートル以内の空間にいる随行者と共演者全員に、3日に1回のPCR検査が義務付けられる。文化庁は『14日隔離と同等の強い防疫措置が前提。緩和、免除ということではない』とする 2日、イタリアの指揮者リッカルド・ムーティが来日し、『東京・春・音楽祭』の指揮者アカデミーで、外国人2人を含む4人の若手を指導している 文化庁が入国許可の要件として挙げるのは、主に①トップクラスの実演家であること、②一定規模の観客動員が見込めること、③文化芸術の水準の維持向上につながるものであること このうち、主催者の多くを戸惑わせているのが『トップクラス』の解釈だ 提出資料にはコンクール暦や受賞歴を書く項目があるが、必ずしも『第一線』であることの証明になるわけではない 音楽祭に出演するマルタ・アルゲリッチが5月、ダニエル・バレンボイムが6月、それぞれ3日間の待機で来日予定だ。一方、日本フィルの桂冠指揮者アレクサンドル・ラザレフは23日の公演を控え 5日に入国、短縮隔離ほど厳しい条件を課されない2週間隔離を選んだ    いずれも『個別の検討』(文化庁)で決まり、可否の事由は明らかにされていない    18日に『ルチア』の開幕を控える新国立劇場は、指揮者ら3人を3月26日、宣言解除の5日後という異例の早さで入国させている

昨年秋にウィーン・フィルが政府の特別措置により来日公演を挙行した時に思ったのは、「誰がどのような基準で来日の許可を与えるのか? なぜウィーン・フィルは良くて、他のオーケストラや指揮者やソリストはダメなのか」という疑問です その疑問は現在も続いています

記事の中で挙げられているリッカルド・ムーティ、マルタ・アルゲリッチ、ダニエル・バレンボイム、アレクサンドル・ラザレフらは世界的に知られているビッグネームです 誰が考えても文化庁が要件としている「トップクラスの実演家であること」「一定規模の観客動員が見込めること」は軽くクリアしています 一方、この記事の中で取り上げられている京都市交響楽団が招聘を計画している米国の指揮者ジョン・アクセルロッドはどうでしょうか? 同楽団が『トップクラス』だと主張しても、「知る人ぞ知る有能な指揮者の一人に過ぎない」と看做される可能性が大きいのではないか、と思います その意味では、文化庁の恣意的な判断でなく、誰もが納得できる「基準」の設定が必要ではないか 不公平感を抱かせる政策が一番良くないと思います

ということで、わが家に来てから今日で2287日目を迎え、成田空港と羽田空港で、顔認証システムを利用した「顔パス搭乗」が始まった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      パスポートなしで 本当の「顔パス」で通過しようとしたら 即刻逮捕されるだろうな

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラこんにゃく」と「ニラ玉」を作りました ニラ玉は玉子に白出汁を少量加えて、ニラを上に乗せて焼くだけですが、美味しいです

 

      

 

         

 

昨夜、すみだトリフォニーホール(小ホール)で、新日本フィル「室内楽シリーズⅩV11~楽団員プロデューサー編 〜 西江辰郎」を聴きました    プログラムは①R.アーン「弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調」、②コダーイ「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 作品7」、③コルンゴルト「ピアノ五重奏曲 ホ長調 作品15」です 演奏は ヴァイオリン=西江辰郎、ビルマン聡平、ヴィオラ=高橋正人、チェロ=サミュエル・エリクソン、ピアノ=坂野伊都子です

 

     

 

自席は6列1番、左通路側です。会場は9割近く入っているでしょうか 閑古鳥が鳴く頃の室内楽シリーズを知っている身としては、隔世の感があります どちらかと言うと玄人好みのプログラムで  この「大入り状態」の根拠は、プロデューサー西江王子人気でしょうか? それともイケメン・メンバーをそろえたせいでしょうか? それにしては男性客も多く見られます ”新日本フィル愛”としておきます

開演に先立って、この日のプロデューサー西江王子からメンバーの紹介と曲目解説がありましたが、理路整然としたトークは要領を得たもので好感が持てました それでも最後のコルンゴルトの作品解説は時間不足になってしまいました トークの天才、第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんの名トークが懐かしく思い出されます 原稿なしでピッタリ15分で終わる職人芸とでも言うべきトークでした 残念ながら篠原さんは1年前に定年退職されました。新日本フィルは惜しい人財を卒業させました

さて、1曲目はR.アーン「弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調」です   この曲はベネズエラ生まれ、3歳の時にパリに移住したレイナルド・アーン(1875‐1947)が1939年から43年にかけて第二次世界大戦の戦時下で作曲した作品です ユダヤ系の血を引いていたためナチスから作品の演奏を禁じられていたとのことです この曲は全4楽章から成ります

4人の演奏で曲を聴く限り、第1楽章と第2楽章は、ひたすら忙しない曲想で落ち着きません 第3楽章に入ってやっとメロディーらしい曲想が聴かれ、ノスタルジーを感じましたが、第4楽章に入ると再び忙しない音楽に戻りました 西江王子のプレトークによると、この曲の楽譜は国内では販売しておらず、オンデマンドで発注したそうですが、取り寄せた楽譜は間違いだらけだったといいます よくもそういう作品を選んだものだと思います

2曲目はコダーイ「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 作品7」です この曲はゾルターン・コダーイ(1882‐1967)が1914年に作曲した3楽章から成る作品です 西江王子とサミュエル・エリクソンによる演奏です 全体を通して、民俗色豊かな西江のヴァイオリンと、朗々と奏でるエリクソンのチェロがマッチして、緩急自在の演奏が展開しました

 

     

 

プログラム後半はコルンゴルト「ピアノ五重奏曲 ホ長調 作品15」です この曲はエーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルト(1897‐1957)が1920年から翌21年にかけて作曲した3楽章の作品です 実は、この公演のチケットを購入したのはこの曲を聴くのが主目的でした コルンゴルトは「ヴァイオリン協奏曲」と歌劇「死の都」にそれぞれ忘れがたい思い出がありますが、ここに書くと腱鞘炎が悪化するので省略します

4人の男性奏者に紅一点のピアニスト坂野伊都子が加わります この曲だけCDで予習しておいたのですが、第1楽章の冒頭の演奏を聴いて、何か違うのではないか、と違和感を覚えました しかし、エリクソンのチェロ独奏が出てくるあたりから演奏に慣れてきて、コルンゴルトらしい曲だと思うようになりました 第2楽章のアダージョは弦楽とピアノのアンサンブルが美しく響きました 第3楽章は5人の奏者による渾身の演奏が展開しました

 

     

 

5人はアンコールにピアソラ「天使の死」(西江王子編曲)を演奏、やんややんやの喝采を浴びました 演奏に先立って 西江王子は「アンコールに、皆さんご存知の曲を演奏します」とアナウンスしましたが、少なくとも私は初めてこの曲のタイトルを知りました どうやら私は「ご存知の」皆さんの中には入っていなかったようです

この日のプログラムは3曲とも滅多に演奏される機会がない作品だけに、よくぞここまで仕上げたものだと思いますが、現状に甘んじることなく より一層アンサンブル技術を磨き上げることが肝要だと思います

コメント (2)
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